12:6歳上の未亡人を娶った僕の馴れ初め 感想

お話

https://kakuyomu.jp/works/16818093078124332759/episodes/16818093078758019450


 BSS!!

 おい、BSSじゃないか!!

 どうしたんだよ、こんなとこで! いやぁまさかここで会えるとは思ってなかったよ……、よくここまで来てくれたなぁ。

 ま、お互い積もる話もあるだろうし、とにかく飲もうぜ! ほんと、また会えて嬉しいよ。顔見せてくれてありがとな、BSS。


 ということで、芳醇なBSS導入を頂きました、ありがとうございます。五体投地で感想を書きたいんですが、かまいませんね!!

なんの文字も!! 打てませんでした!!! 普通に感想を書きたいんですが、かまいませんね!!


 弱冠……あ、いくつかは明言されませんでしたね(王都に残ることになったのは6歳の頃)、ともかく一桁年齢であろうハロルドくんの胸に訪れた淡い──恋と呼ぶにも淡い、けれど純粋な想い。幼いながらも真摯な気持ちを込めたアマンダへのプロポーズ、そして返された笑顔!! その全てが!

 最後の一文で引っくり返るんですよね!!!!(タイトル読まない人かな?)


『この4年後、僕より15歳も上の男に彼女が嫁ぐとも知らずに。』


 Brilliant……!

 Superb……!

 Splendid……!


 なんと言えばいいのでしょうか、DankeでもMerciでも謝謝でもСпасибоでも、この気持ちを言い表すのは難しいようです。

 筆者にはもうわかってしまいました。

 間違いない、これは……これはBSSだ!!


 とここまで書き綴っておいてなんですが、そもそもBSSとは何ぞやという方もいらっしゃると思います(胸キュン企画で筆者が投稿した作品がそれに近かったですが、BSSの名称をご存知ない方も見受けられた)ので、まずはざっくりと。

 BSSというのは、『僕が 先に 好きだったのに』の頭文字を3つ取って名付けられた、言うなればNTRの亜種のようなジャンルですね。筆者が感想の冒頭で親しげに呼び掛けていた相手も、この『僕が先に好きだったのに』です。いま、楽しくやっています。


 ある相手と、恋人としての交際関係には発展していないもののある程度近い距離感にあり、少なくとも「僕」側は相手への好意を抱いている状態で、その相手が「僕」以外の相手と交際または結婚してしまう──そんなタイプのお話に対して、基本的にBSSという呼び名が当てはまります。たまにこの手の展開でもNTR(寝取られ)ではないかと言われていたりそういうタグ付けをされているのを見かけますが、個人的にはNTRとBSSというのはだいぶ違うもののように思っているので(NTRの肝は奪われていくヒロインの心の矢印の変遷で、BSSの肝はヒロインへの想いが遂げられなかった瞬間の主人公の感情だと思っています。快楽堕ち系のNTRもあったりするので、この辺りは個人の意見ですけれどね)、まぁあまり細かいことをいうのも粋でないことはわかりつつも複雑な気持ちになることがあるんですよね。あと、BSSの関係なら取る取られるの段階まで行っていないだろうというね。

 いいですよね、本作も、個人の純真な想いなど小さきものと嘲笑う残酷な歴史の時風かぜが、ふたつの手を引き離すのです。本作『6歳上の未亡人を娶った僕の馴れ初め』の描写から類推される時代において貴族の婚姻は家と家との繋がりだったりするので、当人の意思なんていうものはあまり反映されなかったりするみたいなんですよね(ちなみにアマンダとお相手さんの年齢は、一説によるとギリギリ遅婚になるかならないかくらいの年齢かもしれないとか?)。ちなみに位の高い貴族だと(さすがに王族だけだったかな)夜の営みが公開されていたりする時代や国もあったりしたようなので、そういうところでもまざまざと当人の心や脳に刻み付けられていくのかも知れませんよね、婚姻関係というやつをね(これは余談ですね)。

 アマンダのあの笑顔にも、きっと嘘などなかったのでしょう。10近く年上の男に嫁ぐことを宿命付けられていた彼女の心に、きっと幼いハロルドのプロポーズは残ったはずなのです(そんな状態で迎える10歳近く年上の男との結婚生活、想像すると滾りますねぇ!!)


 そうですね、BSSのわかりやすいケースって何だろうな……。たとえばクラスでは目立たない存在ながらも「僕」とはマイナー趣味を通して仲良くしており、『この人のことわかってるのは僕だけなんだよな』と思っていた相手が、面白半分もしくは何かの拍子に相手に目を付けたクラスの人気者●●くんに告白されて、その返事に迷っていると『せっかく●●くんがこう言ってるのに酷い、●●くんが可哀想』とかそういう周りの非難がましい野次に「僕」共々押されて付き合うことになり、だんだんふたりの時間が減っていき、いつしか「僕」と相手は別世界のふたりになってしまう──みたいなのがけっこう代表的なやつなのではないでしょうか。もしくは同じシチュエーションだけど、明らかに如何わしい目的で近づいてきた相手にコロッと落とされてしまい、そのまま情を通じてその人物に依存して「僕」の忠告も聞き入れてくれずに疎遠になってしまう──とか。


 BSSとNTR、個人的にはまぁ違うだろうと思いつつ世間一般的に見れば似通って見えるのだろうというのは理解しているのですが、恐らくBSSの方がよりリアルな痛みとなって読者の胸を刺してくれるのではないかなと思うんですね。何せ、たとえば本作のハロルドくんが抱いたような年上のお姉さんへの憧れという感情はわりと普遍的なものだと思いますので! それに、好きになった相手が自分以外と付き合い出したり結ばれたりというのって、わりとありますものね。あと、本作ではハロルドくんが未亡人となったアマンダを娶る未来が示唆されていますが、その後ね、折に触れて前夫の影を感じてほしいですよね。彼の幼い思い出のなかのアマンダと重なる部分もあるけど確かに知らない部分もあり、それらが前夫によって開花したものであるということを感じて、息を荒くしてほしいところであります。幼い頃好きだったものとかに対して、遠い昔のことを懐かしむような反応をしたりするアマンダとか……あると思うんですよ! その反応を受けたときのハロルドくんの胸中たるや……!


 Bravo!

 Sei eccezionale!

 Sei mitico!


 もちろんこんな言葉でも不足なのですが、それでも贈りたい……賛辞と共にこの歓喜を!!


 ということで、まだまだ語り出したらキリがないのですが、今回はこの辺りで。以上、『6歳上の未亡人を娶った僕の馴れ初め』の感想とさせていただきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る