幻想になっちゃうから

古 散太

幻想になっちゃうから

君の目の前にカーテンがある

その向こうに何があるのかな

分厚い木のドアが閉じていて

その向こうに何か見えるかな


いま見えているものしか

君には存在してないから


砂漠でおでこは見えるかな?

頬っぺたのほくろは見える?

つむじを見ることはできる?

虫に刺された背中はかける?


あることは分かってても

見えないモノ、あるんだ


昨日は彼女と別れてしまった

明日は大切なイベントがある

さっき階段で転んでしまった

すぐに誰かに助けてもらった


君が何かできるとしたら

いまここで走りだすこと


カーテンを引き裂いて

分厚いドアを蹴飛ばし

自分の目でたしかめて

自分の手で握りしめる

そうでないとすべてが

幻想になっちゃうから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幻想になっちゃうから 古 散太 @santafull

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ