鏡の目 🪞

上月くるを

鏡の目 🪞



繊月の尖りてうすき夏の暁

靴ひもを花に結びて五月晴


百合咲くやしづかに潤む鏡の目

腕時計ばかり見てゐるソーダ水


青嵐しおしお犬の曳かれゆく

噴水やしぐさをさなき大型犬


ににんがしとは限らずに茗荷の子

かといふてさざんがくなり青山椒


天性のぐうちよきぱあや木下闇

木洩日にちよいと出ました蝸牛


日盛りの旗に塗れる砂ぼこり

動くとも見えず親亀子亀かな


峡谷の庭に転がるはうき草

同姓の目立つ地籍や紫蘇畑


きつちりと畳むハンカチ雲の峰

丸顔に似合ふ浴衣を選りにけり


南国の太陽の色バナナ食ぶ

清濁を併せ食らふや泥鰌鍋


知らぬ間に一番星や青林檎

月涼し湧き水めぐる寺の町




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