第3話

何故生きているのだろう。


1人の夜に見る夢は決まって悪夢。


憂鬱を加速させることを知りながらも、義務感と好奇心に飲まれ前日の夢をぼんやりと思い出す。



気付けばバスの最前の席に座っていた。


呼吸をするのでさえ憚られる重い空気。

窓の外を流れる景色は灰色の霧に覆われ、自分自身のいる場所が見知った場所なのかそうでないのかすらわからない。




「あなたも、死ぬんですか。」


小心者でいつもビクビクしている私だが、運転手の静かな問いかけにぼんやりと頭を動かした。




…………死ぬ……


後方を見るとバスの中には同世代の子たちが思い思いの席に座っている。


……自殺……しにいくのか……。


たったひとこと、運転手の問いかけに不気味で穏やかなこの空気感のわけを理解した。




『……あぁわたし、死ぬことにしたのか。』


不思議と疑問も恐怖もなかった。

ただ、状況を受け入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたしが、眠れないのは @haruhi_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ