苔生すままに。

西芳 怜

『クスノキの女神』読了

将に来んとす。私は将来が怖い。


会う度に腰が曲がって小さくなっていく祖母。

白髪が増えていく親。荒んでいく実家、庭。

今がそのまま、一生変わらないなどということはありえないわけだが、30年弱でここまで老いていく現実に心が痛む。表記すると長く感じる年数も、実際に過ごした日々を思い返して、長かったと感じることはない。


今作の『クスノキの女神』は、前作である『クスノキの番人』から時が流れている。続編というものは、主要人物の過去か未来を描くことが多いものだから当たり前のことではあるのだが、寂しい気持ちは拭えなかった。


今を、懸命に、生きる。

それだけを感じて生きていきたいけれど。

やはり私は、明日が怖いよ。

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