雅な思想には見合った雅な文章が必要なのだと分かる。


 人間は長い長い道程の果てに、えら呼吸を忘れ、狭い檻の中に入ることを選びました。

 それは進化なのでしょうか。

 疑問を抱く女の子の葛藤、または美しい風景の描写。



 開始の一文からやられました。

 なんという雅さ。こんな高度の文章は滅多にお目にかかれません。

 そして物語の語り部は、その一文に見合う高さの思考をしているわけです。

 背景を示さずとも、おそらく他と釣り合わなかったんだな、と分かるほどの高さ。

 この高さが作中、ずっと続くのです。

 彼女が檻とどう向き合っていくのか、じっくりと考えたくなる一篇でした。