第21話 仮

 僕の名前は、レオン! 僕は訳あって、父親と共に果ての大地にある。古代の遺跡で修行を行っていた。


「レオン! ここの遺跡には、魔素が沢山あるために魔物が多く発生する。

 お前は、そいつらを倒して最強の勇者となるべく経験を積むんだ。分かったか!!!」


「はい! 父さん……」


 僕は、勇者となるべく毎日。父さんに鍛えられていた。


 そして、僕の父の教えは徹底していた。


 勇者とは……


 一つ、絶対に倒れてはならない。


 一つ、感情を持ってはならない。


 一つ、全ての悪を滅ぼさなくてはならない。


 父が求める勇者とは、仲間を犠牲にしても屍を越えても魔王軍を殲滅させる。


 そんな、最強の勇者!!!


 父は、僕にそんな勇者を求めていた。


 それは、父の経験に基づくものであった。


 父はその昔、東の勇者と呼ばれ! 魔王を倒すべく魔王領へと向かっていた。が……父は魔王と戦う事もなく魔王軍の幹部に敗れる事となってしまった。

 そして、その時——亡くなった仲間や村人達の責任を押し付けられたらしく。

 父は、仲間に対して嫌気がさしてしまったらしい。

 なので、父は仲間に対して感情をもつ事をもっとも固く禁じた。

 


「くそッ! 俺達は、魔王にも届かないのか……」


「勇者! 魔法使いが……息をしてない」


 仲間の戦士が東の勇者を攻める。


「お前が、魔王領に攻めるとか言い出したからこうなったんだからな!!!」


「しかし、こうしなければ近隣の村々が……今も魔王軍は村に侵攻していると言うのに、言い争ってる暇はない!」


「仲間が死んでるんだぞ!!!」


「俺達は、そんな事——覚悟の上で旅をして来たんじゃないのか!?」


「そんな訳ねぇーだろ! 俺達は、お前が守ってくれると思ったからついて来ただけだ。

 勇者だったら、村人も仲間もちゃんと守れよ!!!」


「そんな……仲間なら……」


「俺達は、もう限界だ! このパーティーを抜けさせてもらう……」


 そして、東の勇者の前から仲間が全て離れて行った。


 その後、近隣の村に向かうと村は全壊……生き残った村人達からは、責められた。


 この事が原因で、東の勇者は勇者の称号を剥奪された。


「ああ……勇者とは、ここまで全ての責任を負うしかないのか……

 なら、俺ではダメだ! もっと強い勇者でなくては……」

 

 東の元勇者が闇落ちしなかったのは、責任感の強さが大きかった。


 そして、東の元勇者は自分よりも強い勇者を探す事にした。

 そんな矢先に、魔物の襲撃を受けた村を訪れると……


 大人達が魔物に襲われ殺されていく中……一人の十歳にも満たない子供が大人用の槍を振り回し——魔物を薙ぎ払っていた。


 元勇者は、そこに助太刀に入り子供と一緒に魔物を殲滅した。


「よぉ、ボウズ……お前、なかなか強いな」


 そう声をかけて、覗き込んだ子供の顔は——汗と血で酷く汚れていた。


どのぐらい一人で戦っていたのか……


「両親は……?」


「居ない……」


 その言葉を残して、子供は糸が切れた様に崩れ落ちた。


 そうか、我慢していたのか……


 それから二人は、村人達を集めると——アンデットとならない様に全て焼いてから地面に埋めた。


「お前、平気なのか? コイツら、知り合いじゃないのか?」


「ここは、暗殺者の村だ……だから、死んだのは暗殺者か暗殺者として育てるために攫われて来た奴隷達だ。僕も暗殺者として育てられた——だから何とも思わない」


「そうか……なら、お前は——コレからどうするんだ?」


「皆んな死んだから分からない……」


「なら、俺と来るか? お前の戦闘スキルは使える。俺が鍛えてやるから勇者になって魔王を倒せ!」


「食べ物をくれるならやってもいい……」


「よしッ! じゃ決まりだ!!!

 お前、名前は?」


「とくにない……」


「なら、俺がつけてやる。レオンなんてのはどうだ!?」


「レオン……別に構わない」


「じゃー決まりだ! レオン、俺が名前をつけたって事で、俺の事は父と呼べ! その方が色々と説明が面倒じゃなくでいいから。と、言う訳で、コレからよろしく。

 俺が、お前を最強の勇者にしてやる!」


 そして、二人は旅をしながら最強の勇者となるべく修行にあけくれた。


 ある時は、ダンジョンに入り最強と言われる武器を探したり。

 ある時は、武道大会に参加して体術を強化したり。

 そんな事をしながら旅を続けていると、最強の魔法を知りたくなった二人は、西の賢者の元に向かっていた。



「アンタが西に賢者か!? イメージ通りのお爺さんなんだな……」


「失礼じゃな……魔法とは、研究が必要なのじゃ! 最強の魔法使いとは、一番長生きした魔法使いの事を言うのじゃ!!!」


「そうか、俺は元東の勇者と呼ばれていたが、魔王には遠く及ばないと分かった時から魔王を倒すべく勇者を探していた。

 そして、見つけたのが——このレオンだ! だから西の賢者! この子に最強の魔法を教えてくれ……」


「お前が、東の勇者……!? そして、この子に魔王を倒す可能性があると言うのか?」


「コイツなら必ず魔王を越えられる!」


「そこまで言うなら、わしがこやつに魔法を伝授してやろう!!!」


 そうして、レオンと西の賢者の魔法の修行が始まった。


 それから数年……レオンは、西の賢者の魔法を全て覚えると、新たな力を求めて旅に出る事にした。


「わしが教えられる事は、もう無い……。

 しかし、果ての大地の古代の遺跡なら古代魔法が眠ってるやもしれん……わしもついて行く! 果ての大地に向かうのじゃ!!!」


 そうして、レオンと西の賢者と東の元勇者は、果ての大地へと向かう事になった。


 そして、果ての大地は魔素が濃く魔物の発生が多い為に毎日良い戦闘訓練が出来た。

 しかし、始めは良かったが……レオンの強さに魔物が追いつかなくなると、西の賢者と東の勇者は考えた。


 そして、レオンに対して負荷をかせる事にした。


 それは、古代の遺跡で見つけた。


 呪いの防具……


 一つ目は、魔力を放出する腕は……コレは、体内の魔力をを常に放出して魔力を使えなくする腕輪で、魔力が無い状態でも戦える訓練! 少ない魔力を上手く使う為のスキルを磨く為に使われた。

 しかも、人は全ての魔力を消費すると気絶する為に——東の勇者いわく! 魔物に囲まれた時に気絶してしまっては、死に直結する為に、魔力が無くなっても気絶しない様の訓練にもちいられた。


 他にも、スピードを制限する足枷……常に精神攻撃をしてくる兜。

 そんな呪いの防具をつけたままで、一週間寝ずに魔物と戦い続けた。

 しかも、武器はナイフを二丁と——後は闘気を込めた手刀だけで……これは、武器が無くなったとしても戦い続ける為の訓練を兼ねていた。

 しかし、元々暗殺者としての訓練も受けていたのでレオンには、とくに問題なかった。


 数ヶ月経った頃には、魔物がウジャウジャいる遺跡で、仮眠をとりながら一ヶ月戦い続ける事が出来るようになっていた。


 しかし、そんな古代の遺跡で修行を行う東の勇者を魔王軍はほっとかなかった。



「くそッ……レオンの事が見つかってしまったか!?」


「東の勇者よ! こんな所に隠れていたとは……」


「僕のことでは無いみたいですよ。父さん……」


「なら、お前と賢者は逃げろ!!! アイツらは、俺が何とかする」


「心配するな! わしは戦闘は好まない。

 魔法を覚えるのは好きだが、戦いに使いたいとは思っておらん! だから、転送魔法で避難させてもらう……」


「なら、レオンも連れて行ってくれ!」


「普通に、嫌ですよ! それより。この呪いの枷を外して下さい。僕が魔物を倒しますから……」


 そして、二人はレオンの呪いの枷を全て外すと……


「しかし、お前をここで失う訳にはいかない……」


「問題ないですよ。いつも通りです! あなた方が、近くの村で休んでいる時も……大人の遊びだとか言って飲みに行っている時も……

 僕は一人寝ずに魔物と戦っていましたから。何の問題もありません……」


「そうか、では、わしは避難させてもらう。

 二人は、力を合わせて魔王軍を殲滅してくれ! 殲滅し終わったら、通信魔法で連絡してくれ。じゃー無事を祈っておる……」


 そして、西の賢者は消えて行った。


「くそッ! あのジジイ……本当に戦わないとは、しかもレオンも置いていきやがって……」


「大丈夫ですよ。父さん……これも、練習だと思ってチャチャと倒しましょう……」


 そして、二人は魔王軍とぶつかり合う事になった。

 魔王軍の数は、10万を超えていた。しかも、遺跡の魔物と合わさり……戦闘は、数日間続いた。


「…………コレで、最後か……」


レオンが最後の魔物を倒した後に、西の賢者に連絡を入れた。


「賢者様……終わりました……」


『おお! では、戻るとするか……』


 そして、西の賢者が戻ってくると……


「お前さん達、本当に二人であの数の魔物倒すとは……信じられんな。

 所で、東の勇者は何処じゃ……!?」


「……さぁ……父さんは、離れた所で戦っていたと思いますが……」


 それから二人は、東の元勇者を探すと…東の勇者は、血だらけで倒れていた。


「……父さん……」

「東の勇者! 大丈夫か!?」


「ぐはッ……さすがに、この数は無理があった……」


「…………そうですか!?」


「レオン……父の最後の言葉を聞くのじゃ……」


「はい……」


「レオン……お前は、もう俺達をとっくに超えている。

 だから、後の事は任せた! 魔王を必ず倒してくれ……

 そして、コレだけは覚えておいてくれ。俺は、お前を一人でも戦える様に鍛えた! だから、仲間にする者は俺や賢者以上の腕の持つ者だけにしろ! でないと、俺と同じ過ちを繰り返す事になる。

 分かったか……レオン。忘れるな! 仲間にする者は、必ず俺達より強い者だけだ!」


「分かりました。

 父さんの最後の遺言でする従いましょう……

 では、僕は魔王を倒す旅に旅立ちます……」


「もう、行くのか……? なら、コレを持って行け。何かの役に立つはずじゃ……」


「ありがとうございます……」


レオンは、賢者から貰ったものを空間魔法に収納すると……

 果ての大地から魔王領へと向かって旅立った。



「わしらの息子が旅立ったが……」


「わしらのじゃなくて、俺のな……」


「別に、お前の息子でもなかろうに……てか、お主まだ生きておったのか?」


「ああ……だから、早く回復してくれ! 本当に死ぬから……」


「仕方ないのうぉ……どれ! ヒール……」


「イッテテテ……アイツ、どれだけ強くなったんだ。

 後の事は、任せたぞ! レオン……」



 それから、レオンは魔王領を目指して旅をした。


 途中、魔物に襲われた村々を救いながら旅をしていると、ドワーフとエルフの仲間が出来た。いや……勝手についてくる事になった。


 それは、レオンが口下手だったせいであった。

 レオンは、元々暗殺者の為にあまり人と話すのは得意ではなかった。

 そして、エルフとドワーフが仲間になる際も断る事が出来ずについてくる事になった。

 しかし、レオンは迷っていた……父である東の勇者との最後の約束! あの二人より弱い者は、仲間にしてはいけない。


 エルフとドワーフは、なかなか強かったが……レオンから見ると賢者と父より強いのかが分からずに、ズルズルと旅を続けていると……


 魔王領に近づくにつれて、異変が起き始めた。


「ちょっと、アンタ! 私の邪魔しないでよ!!!」


「お前こそ、ワシの邪魔をするな! 出しゃばるな!!!」


 そう、二人は魔王領に近づくにつれて敵の強さに己の実力がついていかずに、喧嘩が増え始めた。


 そして、魔王領に入ると野良の魔物達との戦闘が数日続くと……二人に限界が来た。



「……魔物が来た……二人とも起きてくれ……」


 そんなレオンの声は、疲労の限界を迎えた二人には届かなかった。

 そして、寝ている二人を守る為にレオンは魔物の群と一人戦った。二人を守りながら……


 それから、魔物を殲滅したレオンは二人をかなり離れた村へと転送すると、一人で魔王を倒す為に魔王領に向かった。


 その後二人は、数日間目を覚まさなかった。



 レオンは、最後の戦いに向けて……魔王領の手前の街でポーションなど武器やアイテムなどを揃えていると……


 街に、魔王軍より! 警告の通信が入った。


「この街に、勇者一向が隠れている事は分かっている。

 直ちに勇者を差し出すなら、命だけは助けてやる。

 100万以上の獣王軍が魔王領にて待っている。

 もし勇者を差し出さなければ、100万以上の魔物がこの街を滅ぼすであろう……」


 すると、街は大パニック……街の人達は、勇者を血眼になって探し始めた。


「勇者は、何処だ!?」

「勇者って、エルフとドワーフのあの三人組よね……」

「エルフとドワーフでも良い探せ!!!」

「でないと魔王軍が攻めてくるぞ……」

「でも、勇者様は私達の為に戦ってくれているのに皆んなは本当にそれで良いの?」

「そんな事を言っても、今は魔王軍に従うしか無いだろ……」


「街の者達よ! 国王からの命令だ!!!

 直ちに勇者を魔王軍に差し出せ……」


「王様の命令なら、仕方ない……」


 そして、国総出で勇者を探した。



「魔王様……今頃、勇者は守ってきた人間達の裏切りで絶望をしながら、この地にやって来ます。それを我が見事に倒して見せます!

 この100万以上の獣王軍で……」


「ああ、期待している」


「明日には、勇者も現れるでしょう。

 それまでは、醜い人間どもの行動を観察する事にしましょう」


 すると、一人の魔物が魔王と獣王の元に走って来た!


「魔王様、獣王様!!! 勇者です! 勇者が現れました!!!」


「なに!!!」


「早すぎはしないか……人間どもに警告を入れたのは今だぞ!!!」


「それが、勇者は我々が警告を入れる前に魔王領に侵攻していたとのことです!

 しかも、一人きりで……」


「一人きり!? 仲間は……」


「分かりません……」


「まぁ、良いだろう……一人で来るとは愚かな。だが、都合は良い!

 全軍に告げる。勇者を血祭りに上げろ!」


「「「「「おおーーーーー!!!!!」」」」」


 その歓声と共に、魔王達の遥か前方では激しくぶつかり合う爆音と砂煙が上がっていた。


「まぁ、勇者とて……たかだか人間です!

10万も使わなくても肩がつくでしょ……。

 しかし、我は獣王! 獅子はウサギを狩るのにも全力を尽くす……相手が悪かったな勇者よ!」


 そして、それからも激しい爆発音が幾度となくこだまする……

 それから、少し静かになるが勇者を倒したと言う報告が無いまま夜を迎える事になった。


「夜まで粘るとは、勇者もなかなか……

 だが、視界の悪い夜でも獣王軍の猛攻は休まらんぞ!!!」


 勇者は、夜も魔王軍と戦いながら朝を迎えた。


「……なんて奴だ! 夜も持ち堪えやがった。

 しかし、もう魔力も尽きただろう……」


「勇者は、ポーションで回復をしながら戦っている模様です!」


「何、では……兵をもっと当ててポーションを使い切らせろ!!!」


「はあーーー!!!」


 それから三日三晩戦い続けた勇者は、半分以上の魔王軍を屠っていた。

 実際の所、魔王と獣王は焦っていた。人である勇者がここまで強いとは……


「魔王様……我が出向き! 勇者のポーションだけでも破壊して来ます……」


「大丈夫なのか、獣王よ……」


「なに、心配はいりません。我が倒れても魔王様が残っていますから……」


「すまない……」


「あら、獣王さん! 魔王様! 深刻な表情でどうなさったのですか?」


 そこに現れたのは、デーモン——悪魔であった。


 悪魔は、二人に尋ねた……


 二人は、事と次第を悪魔に伝えると……


「では、私目にお任せ下さい! 魔王様……

 必ずや勇者の首を持ち帰って見せます」


「では、頼む!」


 すると、悪魔は数十の群れをなし勇者に向かっていった。


 悪魔とは、本来普通の魔物より。格段に強い為に数十体の群れて勇者を屠れると思っていた。


 しかし、悪魔と勇者の戦闘は——あまりにも激しく周囲に居た魔物達も巻き添えとなり。またもやかなりの兵を失った……

 そして、勇者はキッチリと悪魔を倒した!


 それを見た獣王は、覚悟を決めた!!!


「魔王様! 行ってまいります……」



「我は獣王、この獣王軍の大将である!!!」


 そして、勇者と対峙した獣王は必死で戦い勇者の持つポーションの破壊に成功した。

 しかし、その代償は大きく! 獣王は勇者に撃たれる事になってしまった。が……

 その甲斐あって、勇者は魔力と回復がない為に魔物を倒すスピードは格段に低下……残り40万の兵を倒すのに一週間の時間を費やした。


 そして、全てのモンスターを倒した勇者は疲労困憊だが……魔王の元に辿り着いた。


「よくぞ我の元に辿り着いた! 勇者よ。

 我の手を取れ! さすればこの世の半分をお前にくれてやろう……」


 勇者は、静かに首を振る。


「なら、七割でどうだ!? なんなら、人間界は全てお前にくれてやろう。

 そして、我々魔族は魔王領にて静かに暮らす事にするよ!!!」


 勇者は、静かに首を振る。


「そうか、分かった……ならば望み通り! 地獄に送ってやろう!!!」


 そして、勇者と魔王の最終決戦が始まった。


 魔王は、莫大な魔力を武器に強力な魔法を次々と繰り出した。

 勇者は、魔力がない為にそれを全て剣技で受けるしかなかった……


「コレでもくらえーーー!!!」


「…………」


 そして、激しくぶつかり合う二人の戦いに幕が閉じる事となった。


 勇者は、最後の力を振り絞り魔王に対して強烈な一撃を加えると……魔王は、倒れたかと思われた。

 

 しかし、魔王の心臓は二つあり。生き残った魔王は、力の全てを使い果たした勇者に


「愚かな勇者よ!

我、豪炎に焼かれて死ね……」


「くそぉぉぉ魔王ぉぉーーー!!!」


 そして、勇者は灰となり。


 跡形も無く消えた……。


 一人残された魔王は、力尽きて倒れると……


「バケモノか……」



「そして、魂となった俺はボスに捕まってカエルに転生させられたってわけだ!」


「はいはい……もう良いすッよ! 先輩……さすがに10回も聞くと飽き飽きして来ます」


「そうね。最初は、面白い作り話だと思ったけど……ここまでしつこく話されると、つまらないを通り越して腹が立つほどつまらないわ!!!」


「そんな……聞きたいと言ったのは、お前達の方なのに……」


「まぁ、良いじゃないすかそんな事……それより! そろそろ街のお祭りの季節ですよ。そろそろ戻りましょう」


「お前らは、この旅をなんだと思っている!!!

 最終的には、魔王を止める殺すのが俺達の目的だからな!!!」


「何夢物語を話しているんですか!?」


「次は、必ず出来る! この体なら……」


 そして、フロック達一行は祭りの為に一度街に戻る事になった。



 街に戻ると、リサが出迎えてくれた。


「早いなお前達……祭りは、明日からだぞ! まぁ、いい来たなら手伝え!」


「はい!」


 そして、皆んなで祭りの準備が急ピッチで行われ! 次の日……


「街が活気ずいてますね……」


「そうだな……」


「あっ! あそこに吟遊詩人が居るわよ。少し聞いていきましょう……」


 そうして、四人は吟遊詩人の元に向かうと詩人が歌う歌を聴いた。


「これはこれは、遠い昔……魔王と勇者が戦った話し。

 はるかはるか南の勇者は、賢者と武人に育てられた……その勇者は、エルフとドワーフと力を合わせて魔王に挑むが……力及ばす敗北する事となった。

 しかし、魂になった勇者はハイエルフに転生されて生まれ変わったとさ……」


「なんか、話がぐちゃぐちゃしているな……」


「なんか、俺達の知ってる話しと先輩の話を掛け合わせたみたいな話ですね」


「吟遊詩人の歌なんて、信じちゃダメよ! コイツら人から聴いた話をあたかも自分が体験したみたいに歌ってるだけだもの……」


「失敬だな! 君達は、僕はこの話を有力な人から聴いている。

 だから、間違いなく真実だ!!!」


「なら、俺が本当の話を話してやる!!!」


「いらない!!!」

「もう、いいすッ!!!」

「もう、やめて!!!」


「なんでアンタそんなに毛嫌いされているんですか? カエルだから毛もないのに……」


「うるさい! 黙れ!!! 俺は、本当に勇者なんだって!!!」


「分かった。信じるから、あの話はもう良いわ!!!」


「分かった。なら、もう行こう……」


 そして、フロック達はその場から離れる事になった。



 それから次の日……。


 この街の祭りは、三日三晩行われる為にボスの命令を受けてフロックは街の警護についていた。


「……なんで、俺だけ!!! ふざけやがって、明日は絶対に一日中遊んでやる!」


 そんな事をフロックが騒いでいると、何やら盗賊みたいな集団が現れた。

 そして、その集団は人を攫ってるみたいで、それを見つけたフロックは……


「ああ言う奴らが居るから、俺が警護に当てられて祭りを楽しめないっだ!!!

 許さん! ブッチ殺してやる!!!」


 しかし、盗賊の話が聞こえ! 攫われた人達がまだ居る事を知ったフロックは、一度盗賊達を泳がせる事にした。


 そして、アジトを突き止めると……眷属のカエルを召喚してアジトを潜入させた。


「なんだ、このカエルは!?」


「雨でも振るんだろう。放っておけ」


 フロックはアジトの中に、攫われた人達が沢山居る事を確認すると助け出す為の作戦を立てる事にした。


「とりあえず、メンバーは俺一人だけだ……

 盗賊達もまだ外に出てる者も居るかも知れない。なので、盗賊達を一網打尽にするのは夜にする」


 そして、作戦が決まったフロックは夜になるのを待って作戦を開始する事にした。


「よしよしッ! 皆んなアジトに戻ったな。一網打尽にしてやる!」


 そして、フロックはアジトにそろりそろりと入っていくと……


「入り口には、粘着性の粘液を撒いといてやる」


 すると、後ろからプスっと刺されると盗賊達に眠らされた。


「このカエル野郎は、有名だからな。

 アジトにカエルが入って来た時に警戒心しておいてよかった」


 その後フロックは、縛られた後にボコボコにされると牢屋にぶち込まれた。


「お前は、ここに入っていろ!!!」


「ケロ〜……」


「あら、カエルさん! フロック様ではありませんか……」


「アンタは……」


 そこにいたのは、ジュリエット王女であった。


「アンタまた捕まってたのか? あんたっていつも捕まってるんだな……」


「そうなのですよ。出かけるとすぐに捕まってしまうのです。

 でも、よかったです! フロック様が助けに来てくれたならもう一安心です!」


「あんた……今の俺を見て良く安心出来るな……」


「………………………………………………」


 そして、フロックは、助けが来るまで昔の話をする事にした。



 僕の名前は、レオン! 僕は訳あって、父親と共に果ての大地にある。古代の遺跡で修行を行っていた。


「レオン! ここの遺跡には、魔素が沢山あるために魔物が多く発生する。

 お前は、そいつらを倒して最強の勇者となるべく経験を積むんだ。分かったか!!!」


「はい! 父さん……」


 僕は、勇者となるべく毎日。父さんに鍛えられていた。


 そして、僕の父の教えは徹底していた。


 勇者とは……


 一つ、絶対に倒れてはならない。


 一つ、感情を持ってはならない。


 一つ、全ての悪を滅ぼさなくてはならない。


 父が求める勇者とは、仲間を犠牲にしても屍を越えても魔王軍を殲滅させる。


 そんな、最強の勇者!!!


 父は、僕にそんな勇者を求めていた。


 それは、父の経験に基づくものであった。


 父はその昔、東の勇者と呼ばれ! 魔王を倒すべく魔王領へと向かっていた。が……父は魔王と戦う事もなく魔王軍の幹部に敗れる事となってしまった。

 そして、その時——亡くなった仲間や村人達の責任を押し付けられたらしく。

 父は、仲間に対して嫌気がさしてしまったらしい。

 なので、父は仲間に対して感情をもつ事をもっとも固く禁じた。

 


「くそッ! 俺達は、魔王にも届かないのか……」


「勇者! 魔法使いが……息をしてない」


 仲間の戦士が東の勇者を攻める。


「お前が、魔王領に攻めるとか言い出したからこうなったんだからな!!!」


「しかし、こうしなければ近隣の村々が……今も魔王軍は村に侵攻していると言うのに、言い争ってる暇はない!」


「仲間が死んでるんだぞ!!!」


「俺達は、そんな事——覚悟の上で旅をして来たんじゃないのか!?」


「そんな訳ねぇーだろ! 俺達は、お前が守ってくれると思ったからついて来ただけだ。

 勇者だったら、村人も仲間もちゃんと守れよ!!!」


「そんな……仲間なら……」


「俺達は、もう限界だ! このパーティーを抜けさせてもらう……」


 そして、東の勇者の前から仲間が全て離れて行った。


 その後、近隣の村に向かうと村は全壊……生き残った村人達からは、責められた。


 この事が原因で、東の勇者は勇者の称号を剥奪された。


「ああ……勇者とは、ここまで全ての責任を負うしかないのか……

 なら、俺ではダメだ! もっと強い勇者でなくては……」

 

 東の元勇者が闇落ちしなかったのは、責任感の強さが大きかった。


 そして、東の元勇者は自分よりも強い勇者を探す事にした。

 そんな矢先に、魔物の襲撃を受けた村を訪れると……


 大人達が魔物に襲われ殺されていく中……一人の十歳にも満たない子供が大人用の槍を振り回し——魔物を薙ぎ払っていた。


 元勇者は、そこに助太刀に入り子供と一緒に魔物を殲滅した。


「よぉ、ボウズ……お前、なかなか強いな」


 そう声をかけて、覗き込んだ子供の顔は——汗と血で酷く汚れていた。


どのぐらい一人で戦っていたのか……


「両親は……?」


「居ない……」


 その言葉を残して、子供は糸が切れた様に崩れ落ちた。


 そうか、我慢していたのか……


 それから二人は、村人達を集めると——アンデットとならない様に全て焼いてから地面に埋めた。


「お前、平気なのか? コイツら、知り合いじゃないのか?」


「ここは、暗殺者の村だ……だから、死んだのは暗殺者か暗殺者として育てるために攫われて来た奴隷達だ。僕も暗殺者として育てられた——だから何とも思わない」


「そうか……なら、お前は——コレからどうするんだ?」


「皆んな死んだから分からない……」


「なら、俺と来るか? お前の戦闘スキルは使える。俺が鍛えてやるから勇者になって魔王を倒せ!」


「食べ物をくれるならやってもいい……」


「よしッ! じゃ決まりだ!!!

 お前、名前は?」


「とくにない……」


「なら、俺がつけてやる。レオンなんてのはどうだ!?」


「レオン……別に構わない」


「じゃー決まりだ! レオン、俺が名前をつけたって事で、俺の事は父と呼べ! その方が色々と説明が面倒じゃなくでいいから。と、言う訳で、コレからよろしく。

 俺が、お前を最強の勇者にしてやる!」


 そして、二人は旅をしながら最強の勇者となるべく修行にあけくれた。


 ある時は、ダンジョンに入り最強と言われる武器を探したり。

 ある時は、武道大会に参加して体術を強化したり。

 そんな事をしながら旅を続けていると、最強の魔法を知りたくなった二人は、西の賢者の元に向かっていた。



「アンタが西に賢者か!? イメージ通りのお爺さんなんだな……」


「失礼じゃな……魔法とは、研究が必要なのじゃ! 最強の魔法使いとは、一番長生きした魔法使いの事を言うのじゃ!!!」


「そうか、俺は元東の勇者と呼ばれていたが、魔王には遠く及ばないと分かった時から魔王を倒すべく勇者を探していた。

 そして、見つけたのが——このレオンだ! だから西の賢者! この子に最強の魔法を教えてくれ……」


「お前が、東の勇者……!? そして、この子に魔王を倒す可能性があると言うのか?」


「コイツなら必ず魔王を越えられる!」


「そこまで言うなら、わしがこやつに魔法を伝授してやろう!!!」


 そうして、レオンと西の賢者の魔法の修行が始まった。


 それから数年……レオンは、西の賢者の魔法を全て覚えると、新たな力を求めて旅に出る事にした。


「わしが教えられる事は、もう無い……。

 しかし、果ての大地の古代の遺跡なら古代魔法が眠ってるやもしれん……わしもついて行く! 果ての大地に向かうのじゃ!!!」


 そうして、レオンと西の賢者と東の元勇者は、果ての大地へと向かう事になった。


 そして、果ての大地は魔素が濃く魔物の発生が多い為に毎日良い戦闘訓練が出来た。

 しかし、始めは良かったが……レオンの強さに魔物が追いつかなくなると、西の賢者と東の勇者は考えた。


 そして、レオンに対して負荷をかせる事にした。


 それは、古代の遺跡で見つけた。


 呪いの防具……


 一つ目は、魔力を放出する腕は……コレは、体内の魔力をを常に放出して魔力を使えなくする腕輪で、魔力が無い状態でも戦える訓練! 少ない魔力を上手く使う為のスキルを磨く為に使われた。

 しかも、人は全ての魔力を消費すると気絶する為に——東の勇者いわく! 魔物に囲まれた時に気絶してしまっては、死に直結する為に、魔力が無くなっても気絶しない様の訓練にもちいられた。


 他にも、スピードを制限する足枷……常に精神攻撃をしてくる兜。

 そんな呪いの防具をつけたままで、一週間寝ずに魔物と戦い続けた。

 しかも、武器はナイフを二丁と——後は闘気を込めた手刀だけで……これは、武器が無くなったとしても戦い続ける為の訓練を兼ねていた。

 しかし、元々暗殺者としての訓練も受けていたのでレオンには、とくに問題なかった。


 数ヶ月経った頃には、魔物がウジャウジャいる遺跡で、仮眠をとりながら一ヶ月戦い続ける事が出来るようになっていた。


 しかし、そんな古代の遺跡で修行を行う東の勇者を魔王軍はほっとかなかった。



「くそッ……レオンの事が見つかってしまったか!?」


「東の勇者よ! こんな所に隠れていたとは……」


「僕のことでは無いみたいですよ。父さん……」


「なら、お前と賢者は逃げろ!!! アイツらは、俺が何とかする」


「心配するな! わしは戦闘は好まない。

 魔法を覚えるのは好きだが、戦いに使いたいとは思っておらん! だから、転送魔法で避難させてもらう……」


「なら、レオンも連れて行ってくれ!」


「普通に、嫌ですよ! それより。この呪いの枷を外して下さい。僕が魔物を倒しますから……」


 そして、二人はレオンの呪いの枷を全て外すと……


「しかし、お前をここで失う訳にはいかない……」


「問題ないですよ。いつも通りです! あなた方が、近くの村で休んでいる時も……大人の遊びだとか言って飲みに行っている時も……

 僕は一人寝ずに魔物と戦っていましたから。何の問題もありません……」


「そうか、では、わしは避難させてもらう。

 二人は、力を合わせて魔王軍を殲滅してくれ! 殲滅し終わったら、通信魔法で連絡してくれ。じゃー無事を祈っておる……」


 そして、西の賢者は消えて行った。


「くそッ! あのジジイ……本当に戦わないとは、しかもレオンも置いていきやがって……」


「大丈夫ですよ。父さん……これも、練習だと思ってチャチャと倒しましょう……」


 そして、二人は魔王軍とぶつかり合う事になった。

 魔王軍の数は、10万を超えていた。しかも、遺跡の魔物と合わさり……戦闘は、数日間続いた。


「…………コレで、最後か……」


レオンが最後の魔物を倒した後に、西の賢者に連絡を入れた。


「賢者様……終わりました……」


『おお! では、戻るとするか……』


 そして、西の賢者が戻ってくると……


「お前さん達、本当に二人であの数の魔物倒すとは……信じられんな。

 所で、東の勇者は何処じゃ……!?」


「……さぁ……父さんは、離れた所で戦っていたと思いますが……」


 それから二人は、東の元勇者を探すと…東の勇者は、血だらけで倒れていた。


「……父さん……」

「東の勇者! 大丈夫か!?」


「ぐはッ……さすがに、この数は無理があった……」


「…………そうですか!?」


「レオン……父の最後の言葉を聞くのじゃ……」


「はい……」


「レオン……お前は、もう俺達をとっくに超えている。

 だから、後の事は任せた! 魔王を必ず倒してくれ……

 そして、コレだけは覚えておいてくれ。俺は、お前を一人でも戦える様に鍛えた! だから、仲間にする者は俺や賢者以上の腕の持つ者だけにしろ! でないと、俺と同じ過ちを繰り返す事になる。

 分かったか……レオン。忘れるな! 仲間にする者は、必ず俺達より強い者だけだ!」


「分かりました。

 父さんの最後の遺言でする従いましょう……

 では、僕は魔王を倒す旅に旅立ちます……」


「もう、行くのか……? なら、コレを持って行け。何かの役に立つはずじゃ……」


「ありがとうございます……」


レオンは、賢者から貰ったものを空間魔法に収納すると……

 果ての大地から魔王領へと向かって旅立った。



「わしらの息子が旅立ったが……」


「わしらのじゃなくて、俺のな……」


「別に、お前の息子でもなかろうに……てか、お主まだ生きておったのか?」


「ああ……だから、早く回復してくれ! 本当に死ぬから……」


「仕方ないのうぉ……どれ! ヒール……」


「イッテテテ……アイツ、どれだけ強くなったんだ。

 後の事は、任せたぞ! レオン……」



 それから、レオンは魔王領を目指して旅をした。


 途中、魔物に襲われた村々を救いながら旅をしていると、ドワーフとエルフの仲間が出来た。いや……勝手についてくる事になった。


 それは、レオンが口下手だったせいであった。

 レオンは、元々暗殺者の為にあまり人と話すのは得意ではなかった。

 そして、エルフとドワーフが仲間になる際も断る事が出来ずについてくる事になった。

 しかし、レオンは迷っていた……父である東の勇者との最後の約束! あの二人より弱い者は、仲間にしてはいけない。


 エルフとドワーフは、なかなか強かったが……レオンから見ると賢者と父より強いのかが分からずに、ズルズルと旅を続けていると……


 魔王領に近づくにつれて、異変が起き始めた。


「ちょっと、アンタ! 私の邪魔しないでよ!!!」


「お前こそ、ワシの邪魔をするな! 出しゃばるな!!!」


 そう、二人は魔王領に近づくにつれて敵の強さに己の実力がついていかずに、喧嘩が増え始めた。


 そして、魔王領に入ると野良の魔物達との戦闘が数日続くと……二人に限界が来た。



「……魔物が来た……二人とも起きてくれ……」


 そんなレオンの声は、疲労の限界を迎えた二人には届かなかった。

 そして、寝ている二人を守る為にレオンは魔物の群と一人戦った。二人を守りながら……


 それから、魔物を殲滅したレオンは二人をかなり離れた村へと転送すると、一人で魔王を倒す為に魔王領に向かった。


 その後二人は、数日間目を覚まさなかった。



 レオンは、最後の戦いに向けて……魔王領の手前の街でポーションなど武器やアイテムなどを揃えていると……


 街に、魔王軍より! 警告の通信が入った。


「この街に、勇者一向が隠れている事は分かっている。

 直ちに勇者を差し出すなら、命だけは助けてやる。

 100万以上の獣王軍が魔王領にて待っている。

 もし勇者を差し出さなければ、100万以上の魔物がこの街を滅ぼすであろう……」


 すると、街は大パニック……街の人達は、勇者を血眼になって探し始めた。


「勇者は、何処だ!?」

「勇者って、エルフとドワーフのあの三人組よね……」

「エルフとドワーフでも良い探せ!!!」

「でないと魔王軍が攻めてくるぞ……」

「でも、勇者様は私達の為に戦ってくれているのに皆んなは本当にそれで良いの?」

「そんな事を言っても、今は魔王軍に従うしか無いだろ……」


「街の者達よ! 国王からの命令だ!!!

 直ちに勇者を魔王軍に差し出せ……」


「王様の命令なら、仕方ない……」


 そして、国総出で勇者を探した。



「魔王様……今頃、勇者は守ってきた人間達の裏切りで絶望をしながら、この地にやって来ます。それを我が見事に倒して見せます!

 この100万以上の獣王軍で……」


「ああ、期待している」


「明日には、勇者も現れるでしょう。

 それまでは、醜い人間どもの行動を観察する事にしましょう」


 すると、一人の魔物が魔王と獣王の元に走って来た!


「魔王様、獣王様!!! 勇者です! 勇者が現れました!!!」


「なに!!!」


「早すぎはしないか……人間どもに警告を入れたのは今だぞ!!!」


「それが、勇者は我々が警告を入れる前に魔王領に侵攻していたとのことです!

 しかも、一人きりで……」


「一人きり!? 仲間は……」


「分かりません……」


「まぁ、良いだろう……一人で来るとは愚かな。だが、都合は良い!

 全軍に告げる。勇者を血祭りに上げろ!」


「「「「「おおーーーーー!!!!!」」」」」


 その歓声と共に、魔王達の遥か前方では激しくぶつかり合う爆音と砂煙が上がっていた。


「まぁ、勇者とて……たかだか人間です!

10万も使わなくても肩がつくでしょ……。

 しかし、我は獣王! 獅子はウサギを狩るのにも全力を尽くす……相手が悪かったな勇者よ!」


 そして、それからも激しい爆発音が幾度となくこだまする……

 それから、少し静かになるが勇者を倒したと言う報告が無いまま夜を迎える事になった。


「夜まで粘るとは、勇者もなかなか……

 だが、視界の悪い夜でも獣王軍の猛攻は休まらんぞ!!!」


 勇者は、夜も魔王軍と戦いながら朝を迎えた。


「……なんて奴だ! 夜も持ち堪えやがった。

 しかし、もう魔力も尽きただろう……」


「勇者は、ポーションで回復をしながら戦っている模様です!」


「何、では……兵をもっと当ててポーションを使い切らせろ!!!」


「はあーーー!!!」


 それから三日三晩戦い続けた勇者は、半分以上の魔王軍を屠っていた。

 実際の所、魔王と獣王は焦っていた。人である勇者がここまで強いとは……


「魔王様……我が出向き! 勇者のポーションだけでも破壊して来ます……」


「大丈夫なのか、獣王よ……」


「なに、心配はいりません。我が倒れても魔王様が残っていますから……」


「すまない……」


「あら、獣王さん! 魔王様! 深刻な表情でどうなさったのですか?」


 そこに現れたのは、デーモン——悪魔であった。


 悪魔は、二人に尋ねた……


 二人は、事と次第を悪魔に伝えると……


「では、私目にお任せ下さい! 魔王様……

 必ずや勇者の首を持ち帰って見せます」


「では、頼む!」


 すると、悪魔は数十の群れをなし勇者に向かっていった。


 悪魔とは、本来普通の魔物より。格段に強い為に数十体の群れて勇者を屠れると思っていた。


 しかし、悪魔と勇者の戦闘は——あまりにも激しく周囲に居た魔物達も巻き添えとなり。またもやかなりの兵を失った……

 そして、勇者はキッチリと悪魔を倒した!


 それを見た獣王は、覚悟を決めた!!!


「魔王様! 行ってまいります……」



「我は獣王、この獣王軍の大将である!!!」


 そして、勇者と対峙した獣王は必死で戦い勇者の持つポーションの破壊に成功した。

 しかし、その代償は大きく! 獣王は勇者に撃たれる事になってしまった。が……

 その甲斐あって、勇者は魔力と回復がない為に魔物を倒すスピードは格段に低下……残り40万の兵を倒すのに一週間の時間を費やした。


 そして、全てのモンスターを倒した勇者は疲労困憊だが……魔王の元に辿り着いた。


「よくぞ我の元に辿り着いた! 勇者よ。

 我の手を取れ! さすればこの世の半分をお前にくれてやろう……」


 勇者は、静かに首を振る。


「なら、七割でどうだ!? なんなら、人間界は全てお前にくれてやろう。

 そして、我々魔族は魔王領にて静かに暮らす事にするよ!!!」


 勇者は、静かに首を振る。


「そうか、分かった……ならば望み通り! 地獄に送ってやろう!!!」


 そして、勇者と魔王の最終決戦が始まった。


 魔王は、莫大な魔力を武器に強力な魔法を次々と繰り出した。

 勇者は、魔力がない為にそれを全て剣技で受けるしかなかった……


「コレでもくらえーーー!!!」


「…………」


 そして、激しくぶつかり合う二人の戦いに幕が閉じる事となった。


 勇者は、最後の力を振り絞り魔王に対して強烈な一撃を加えると……魔王は、倒れたかと思われた。

 

 しかし、魔王の心臓は二つあり。生き残った魔王は、力の全てを使い果たした勇者に


「愚かな勇者よ!

我、豪炎に焼かれて死ね……」


「くそぉぉぉ魔王ぉぉーーー!!!」


 そして、勇者は灰となり。


 跡形も無く消えた……。





_________________________________________

あとがき


今回書いたものは、後で書き直そうと思っています。


10万文字になる様に書いていたのですが……最近スランプ!? いや、落ち込んでいて……とりあえず10万文字になる様に頑張って書きましたが……なんかずっとしくりしないまま書き進めていました。

 なので、後からちゃんと書き直したいと思っております。


 必ず書き直します!!!

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【旧作】帰る勇者!(面白いです✌︎('ω')✌︎) 国語力 漫点 @kokugo0

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