「カクヨム」や「小説家になろう」に対する理解度が異常に高い小学生たちの異世界クラス転移もの

クロノペンギン

第1話 先生のかわりに何か来るやつ

 朝のHRの時間になっても担任の田中先生が来ないと思っていたら、教卓の上にいつの間にか、不気味な人形が置かれていた。


 某ネズミィーかな? そいつをブサイクにして、ボロボロにしたような趣味の悪いデザイン。色々な意味で危険な雰囲気をぷんぷん漂わせていた。


 まあ、最近、著作権が切れたからオーケーだと思いたい。


 できるだけ、気にしないでおこう。


 騒がしかった教室も、みんなが人形の存在に気づき始めて、徐々に静かになっていく。ガヤガヤ遊んでいた子たちも、ピンと来た表情になって自分の席に戻った。


 しばらく、静寂。


 ……。


 ……。

  

 ……あれ?


 いや、何も起こらないの?


 人形はピクリとも動かない。


 あー、違うか。


 これはたぶん、あれかな?


 誰か、気の利いた一言をお願いします。

 

「ねぇ、ちょっと!」


 空気の読める花畠さんが、教卓の近くまでわざわざ歩み寄りながら叫んでくれた。


「こんな所にキタナイ人形を置いたのは誰よ。先生が来たら、怒られるわよ。早く片付けて……」


 すると、人形がブルブル震え出した。


 花畠さんは、仕事は終わりと云わんばかりのヤレヤレとした表情になり、自分の席に戻ろうとする。だが、みんなは両手を突き出して、「まってまって……」と彼女をその場に留まらせた。


『オオォ、オハヨーゴザイマスゥゥアッ!』


 しゃがれた声で、そいつはいきなり叫んだ。教卓の目の前に座っていた伊達さんは、非常に迷惑そうな表情で耳を塞ぐ。


「きゃあああ!」


 花畠さんはもう一仕事、大活躍である!


 わーお。すげえ。


 さすが、空気の読める女子は違うね!


 なんと、悲鳴を上げながらド派手に尻餅を着いていた。やるー。その衝撃で、眼鏡がコミカルに傾いている。……か、完璧じゃないか。


 立ち上がり、パッパッと汚れを払い、今度こそ自分の席に戻っていく花畠さんに、僕らは惜しみない拍手を送った。


『ギミタチニィは、キョオーから、ダノジイゲェェムをシテもら……』


 うるさいな、この人形。


 どうせデスゲームとか学校サバイバルとか、そんな感じって予想付くんだから。


 今は、花畠さんの勇姿を讃えようぜ。


 ブラボー。オー、ブラボー!

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