第4話 いよいよ異世界へ!
「スキルを三つ決めたことだし、あとはお前と契約をすればいいのか」
「うん、そうだよ拓斗。契約をしないと、異世界に行ったときに私たち天使がその世界の様子が見れないし、行けないからね」
「なるほどなるほど・・・、うん、お前も異世界に来るのか?」
エルラの言葉に疑問をもった拓斗。
「何いってるの拓斗、当たり前じゃん。異世界に行き、その世界の状況やお前の活躍を間近で見れないしな」
「・・・天使がアバターの活躍を見るために異世界に行くってありなのか?」
「うーん、どうだろう?契約をすれば、そこからアバターの活躍や異世界の状況はいつでも見れるし、行かない天使もおるんじゃないかな?」
・・・どうやら、天使の中には実際に異世界に行きたがるもの好きな天使がいるみたいだ!
そして、エルラはその物好きな天使みたいだ。
(俺としては、一人で異世界を攻略したいんだけど。・・・エルラが来てしまうと厄介なことになりかねない気がするし)
と、拓斗はそう心に思って渋いをみせた。
それを見たエルラは途端にゲスみたいなにやけた顔で
「私はもちろんサポートするために直接異世界に行き、お前のそばについていくぞ」
それを聞いた拓斗は、一言「マジかよ」っていい、溜息を大きく吐いて、その場で天を仰いだ。
エルラは天を仰いでいる拓斗を見て「クスクス」と笑った。
「私が間近でサポートしたほうが拓斗には、とてもメリット大ありなんだよな」
「ただただ厄介なやつが、ついてくるだけじゃないのか」
そんな二人のやり取りが神殿の中で繰り広げられていた。
???神殿
「・・・はあ、結局見つけれなかったよ。エルラ先輩のアバターと対等に戦えるアバターを」
男の天使はがっくりとテンションが下がったポーズを見せた。
「時間ももうないし、どうすればいいのだろうか。」
頭を抱えたような感じで悩んでいると
「もうアバターは私にしなよ、私ならこのゲームにも勝てるんだから!」
と一人の女子高生が男の天使の肩をポンポンと軽くたたいた。
「・・・前も言いましたけど、あなたを異世界にいかせると必ず勝つから私は嫌なんですよ」
男の天使は女子高生をにらんだ眼でじーっとみた。
「私が今まで呼んだ中であなたはピースラグナロクに勝ちすぎなんですから」
「私はただ、ゲームを楽しんでいるだけなんだけどなあ~」
女子高生は目をそっとそらしながらいった。
「あなたは毎回毎回、私の召喚術に出てますよね。他の人を邪魔しているように」
「だって、ピースラグナロクが面白すぎるんだからしょうがないじゃん。勝ったら勝ったで、次のゲームに無理やり参加したいんだから」
と女子高生は腕を組みながらうなずいた。
「・・・はあ、天使会議であなたの参加を拒否するかしないかで議論になったことなんてあるんだよ」
男の天使は溜息を吐きながらそういった。それを聞いた女子高生は「マジで!」といいながら驚いた。
「それぐらい、勝ち続けてるってことだから、少しは自重とかしなよ。じゃなかったら本当にこれから先のピースゲームに参加できなくなるぞ」
と忠告をした。
それを聞いた女子高生は「むうぅ」とした感じの顔を見せた。
運命の時【ピースゲーム開始数時間前】
「なあ、他の参加者ってやっぱり、天界五大教団のだよな」
「うんうん、基本はそうだよ。・・・たまに私たち以外の天使が参加することもあるけど、私たちよりは弱いと思うわ。私たちみたいな強いアバターを召喚できることはないし」
「ほうほう、天使ならだれでも参加できるのか。てっきり偉い立場の天使がやるものだと思った」
一般の天使が参加するってことがわかって拓斗は「フムフム」と納得した。
一般天使と天界五大教団の大きな違いは召喚術のランクらしい。天界五大教団のトップ天使は強い召喚術を持っているから、俺みたいな優秀な人材を呼べるらしい。
一般の天使はそんな強い召喚術を持ち寄せてないから、基本の召喚術を頼りにアバターを召喚してる。そりゃ、天界五大教団の相手にはならないわな。
「まあ、中には私たちと同等、それ以上の召喚術を持っている天使もいるから一概にいえないんだけどね」
どうやら天使の中には一般でも強い召喚術を持っている天使もいるらしい。エルラは目を閉じながらそう話した。過去にそんな奴がいたなんて拓斗はちょっとだけビックリをした。
「それじゃあ、私『エルランサー』トップのエルラと地球出身の人間、夜空拓斗の契約を始めるわ」
エルラは拓斗に手の平を向けた。そしたら、拓斗の体が急に光りだしてきた!
「うおっ、俺の体が急に光りだしたんだけど、何なんだこれ」
と驚いた表情で話すと頭の中に謎の声が聞こえた。
声の感じからして女性っぽい声がしてきた。
『エルランサートップ"エルラ"と地球人の青年"夜空拓斗"の契約を遂行いたします。なお、契約完了まで数十秒かかります』
「契約にはあと数十秒かかるから我慢してくれ♪」
すると、拓斗の手の甲に光の模様が現れた!天使の羽に一本の槍が、まるで槍から天使の羽がはえているような模様だった。
「この模様は天界五大教団エルランサーの"天界紋章"だよ。どう、かっこいいでしょ!」
それをまじまじと見ている拓斗。じっと見て「フムフム」とうなずいて模様がついている手の甲を天に向けた。
「うん、なんかかっこいいな。平和の象徴みたいなマークで俺にぴったりだ」
「・・・確かに天使の羽は平和でいいけど、一応槍とかあるんだぞ」
拓斗がにこやかにいうと、エルラは何ともいえない顔を見せ「ハハハ」と苦笑いをした。
「えー、気を取り直して、天を見ろ拓斗!【ピースゲーム】始まるまで残り僅かとあの時計が知らせているわ!」
とエルラは空に向けて人差し指をビシッと指した。拓斗は指が向けている方向を見た。そこには神殿に近いぐらいの天空時計だった!
「キャーハハハ、あの時計が12の刻になったとき、天界紋章を刻んでいる人間は異世界に転移されて、アバターとしてゲームがスタートするわ」
エルラは狂ったように笑いながらゲーム開始の説明を拓斗にした。
「・・・とうとう始まるのか、正直時間になるこの時が一番心臓がどきどきして悪いぜ。なんで平和主義者である俺がこんなことに・・・と悔やんでいるぜ」
「私が選んだアバターはどれも優秀だったけど、最後には悲惨な末路になって私がゲームに負けることが多かった。でも今は拓斗という人間を見つけた。これは天から私に勝利を渡してくれるかのようなごとく」
緊張が走って心臓が暴れるほどにドキドキしている拓斗、今までの悔しさを感じながら新たな希望を胸に感じているエルラ。
そしてついに時計が12の刻を刻んだ。刻んだ瞬間に「ボーンボーン」と時計から音が鳴り響いた!
そしたら、拓斗の天界紋章が緑色に光りだして、次第にその光が拓斗の体を包み込むように光が!そう、これが異世界に転移することである。
「うわっ、俺の体が光に包み込まれていく。いよいよ異世界の転移が始まるってわけか」
「これで何度目の送り出しか・・・。転移したら、紋章に語りだしてほしいわ。通話もできるようになっているわ♪」
紋章に通話機能もあるのか、本当に便利なものだと内心思った拓斗である。
光が拓斗の体を完全に隠したようにまとった瞬間に拓斗がその場からいなくなった。
???
「う、うーん・・・転移は成功したのか。・・・うおおおお!」
・・・拓斗が目を覚ますとそこはとても広い草原だった。
明るい緑の草がそこら中に生えていて、空を見たらとっても広い青空がそこにはあった。さっきの天界とはまた違ってきれいな景色が拓斗の目の前には広がっていた。
天気はとっても気分がいい快晴、そして心地よい風が吹いていて、大変気持ちがよかったと拓斗は感じた。
今からこの世界を救うゲームが始まるとは・・・誰も思うまい。
「空気が澄んでいて、天気もとってもいい快晴、草はとっても明るい緑色で青空がめっちゃ広がっている。俺の世界より断然ここの世界が心地よい!」
と拓斗は心から思ったことをとっても大きな気持ち、声でそういった!
そしたら、拓斗の目の前に急にピコン!とゲームのメニュー表みたいなのが現れた!
「お、これがエルラがいっていたこの正解を救う条件ってものか。・・・なになに?」
そこにはこう記してあった。
"この世界は悪しき魔王が千年もの時から目覚め、町中に被害が回っている。実際にこの世界の半分以上が魔王軍が仕切っている。
そして毎日毎日、人間やエルフ、ドワーフや亜人が魔王軍の手によって日々苦しむ生活だ。
この世界を救うには魔王軍を一匹残らず倒し、魔王を排除することである。
魔王率いる魔王軍を倒したらこのゲームに勝利する!"
「フムフム、なるほど。魔王軍の殲滅と魔王の撃破か。いきなり王道な条件だな。沙代里が好きそうな場面だな」
と一人でそう思ったら、ハッと思い出した!
「・・・あ、そうだった、エルラについたって報告をするんだった。いやあ、自然が広大で美しいから忘れてたわ」
と手の甲にある紋章に話しかけようとしたときに
キャアアアアアアアア!
「!!」
遠くのほうから悲鳴らしき声が聞こえた!明らかに女性の悲鳴だと拓斗は感じた!
「女性の悲鳴か、声的に結構遠くのほうから聞こえるじゃないか、急がないと女性の方が危ない!」
拓斗は紋章のある手を下におろして、悲鳴が聞こえて方向へダッシュで向かった!
拓斗が異世界に転移すると遠くのほうから女性の悲鳴が聞こえた。由々しき事態だ。
これが拓斗の異世界転移してからの初戦闘である。
ピースラグナロク 刈谷夏音 @1223kanon01
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