満ち足りることもないのに欠ける月 その空洞を誰も知らない

拙いながらもひとこと紹介として短歌を詠ませていただきました。
キャッチコピーの短歌に惹かれて拝読しましたが、個人的に共感する歌がとても多く、感情を揺さぶられる連作でした。

共同体からあぶれぬように、本心では傷付きながらも真面目に必死に生きて、それでも大切なものを失ってしまう……そんな虚しさに胸を打たれます。


特に好きな短歌をここにいくつか引用させていただきます。

言の葉の海に漕ぎ出し膿を出すように生み出すうた またひとつ

材料の「やる気」がいつも買えなくて作れず仕舞いだよオムライス

瞼裏佇むあなたはひどいひと もう縋れない距離まで行ってよ

「大丈夫、みんなそうだよ」って笑う「みんな」に没する名無しの私