主人公のるりは、佐久間先生の魔法の力で、離ればなれになってしまったあさぎに会いに行く。言葉の選び方、文の並べ方がすごく好きです。静かでやさしくて、だけど強くて、読んでいるというよりも、自然にスッと入ってくるような感覚。もっとこの世界に浸っていたい、と思わされるような、素敵な作品でした。
繊細な少年の心の動きがとてもよく表現されていて、世界に没入しやすいです。レビュータイトルに時間旅行と書いてますが、SFではありません。アルバムをめくるように、あるいはぼんやりと思い出を取り出した時のように、時間軸が散らばっていますが、それも物語のいいギミックになっています。良い読書時間をありがとうございました。
夢中になって一気読みしてしまいました。淡い夢をみているような、かなしさが心地よく包み込まれる優しい物語でした。短い中にあさぎやるり、佐久間先生の魅力がいっぱいに詰まっていて、三人ともに不思議と親近感を感じました。文章も物語の魅力を最大限に引き出していて、読んでいてとても心地よく、目の前に景色が浮かぶような錯覚がします。とても素敵な作品でした。