第14話エイプリルVSダレン
エイプリルとダレンが戦うにあたって俺はダレンに条件を提示する。
「ダレン、申し訳ないのだが、ルールをこちらで決めさせてもらってもいいか?」
「そういうことですか。自分とエイプリルでは何かハンデがないと成り立ちませんから。いいでしょう。どんなハンデも受け入れます」
ダレンはエイプリルを完全に舐めきっている。そんなことを言っていられるのは今のうちだ。
「魔法の使用を認めてくれないか?」
「は? 何を仰っているのですか、隊長? 魔法? 自分とエイプリルが戦うのではないのですか?」
ダレンは何を言っているのだという態度だ。エイプリルが魔法を使えるのだと微塵も信じている様子もない。
「そうだ。お前とエイプリルが戦うということで間違いない。やってみればわかる」
「そうですか。何か隊長にはお考えがあるのでしょう。すぐに終わると思いますが」
逆にここまで舐めていると爽快だ。そして、その態度が覆されると思うと楽しみだ。次に俺はエイプリルに声をかける。
「エイプリル、準備はいいか?」
「いつでもいけます! 任せてください!」
エイプリルは自信満々だ。ダレンがこちらを睨んでいる。エイプリルの変化と自信満々な態度に苛立っている様子だ。
「エイプリル、これを」
俺はエイプリルに杖を渡す。エイプリルの得意武器は二つあり、そのうちの一つが杖だ。杖装備で魔力×1.5倍、賢さ×1.5倍、力×1.2倍、体力×1.3倍、敏捷性×1.2だ。魔力が1.5倍になっているのと、スキルで魔法与ダメージ1.3倍になっている。
「これは?」
「お前に力を与えてくれる。使ってくれ」
エイプリルは杖を受け取る。
「うわ! 力が湧いてくる。凄い!」
これで準備万端だ。そろそろ始めるか。
「双方準備はいいか?」
「ええ……」
「はい! いつでも行けます!」
渋々といった態度のダレンと比べて、エイプリルは気合が漲っている。勝負が始まる前から結果は見えているな。
「では、始めてくれ」
「ふん、エイプリルお前は修練場に来るのが遅かった。恐らく隊長から何かを教わっていたのだろう。だが、短期間で実力差は埋まらんぞ!」
ダレンは斧でエイプリルに斬りかかる。エイプリルは軽々とダレンの攻撃を躱す。それはそうだ。元々敏捷性はエイプリルの方が高い。バッドステータス弱気のせいでエイプリルの方が敏捷性は低かったが、それもなくなった。
ダレンがエイプリルに攻撃を当てることは困難だろう。
「ふん、相変わらずすばしっこいな。だが、逃げてばかりでは勝てんぞ」
「わかっています。ダレン先輩私の成長を見てください!」
「ふん、何をするかわからんが来い! 受けてやろう」
エイプリルの周囲に強力な魔力が渦巻いている。
「何だ?」
魔法に疎いダレンでも目の前の異変に警戒している。
「エアロブラスト!」
エイプリルの手の平から風魔法が巻き起こりダレンを直撃する。
「ぐは……」
ダレンの体は吹き飛ばされ、地面に落下した。
「くっ……どういうことだ……? エイプリルが魔法……?」
ダレンは立ち上がろうとしているが、足はふらふらだ。
「勝負あったようだな。よくやったぞ、エイプリル」
「おいおい、エイプリルが魔法を使ったぞ……」
「どういうことだ……あいつは実は優秀だったのか……」
少しづつではあるが、隊員の中でもエイプリルの評価が上がっているようだ。良かった。
「テオドリック隊長、私……私……勝ったのでしょうか?」
エイプリルは興奮冷めやらないようだ。突然開花した自らの才能に戸惑っているのかもしれない。
「ああ、お前の勝ちだ。良かったぞ」
「はい。ありがとうございます」
これで一件落着と思ったが、ある人物の様子がおかしい。ダレンだ。
「負けた……自分が負けた……こんなことがあるなんて……自分なんて……自分なんて……」
かなり落ち込んでいる様子だ。そして、ダレンの能力を見てみるとバッドステータスがついている。弱気だ。折角上手くいったと思ったのに、今度はこっちか。見た目とは違い、結構繊細だったんだな。
今後は何か対策を考えないとな。隊長も楽でない。
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