むし

夢美瑠瑠

第1話

※これは、今日の「虫の日」にアメブロに投稿したものです。




 田舎の生まれ育ちなので、比較的、昆虫というものに触れる機会は頻繁で、ムシ一般に詳しい方だと思う。


 子供のころの夏休みの思い出などは、昆虫抜きには語れない感じもある。


 昆虫は、やはり6月の今頃の初夏から盛夏にかけてが、もっともよく見かけるし、多種多彩になる。


 アブラゼミ、ミンミンゼミ、キリギリス、カブトムシ、カマキリ、スズメバチ、カナブン、タマムシ、シオカラトンボ、ギンヤンマ、アゲハ、カラスアゲハ、…

 色とりどりの宝石を鎧った、俊敏なプラモデルのような昆虫たちが、庭やら山野に、雨後の筍のようにたくさん現れて、百花繚乱の様相を呈する…


 モチロン?啓蟄とも言うように、春ごろにも既にいて、見かける昆虫は夏とは微妙に違いますが、春の昆虫の方が好み?かもしれない。紋白蝶。モンキチョウ。ベニシジミ。ハルゼミ。ナナホシテントウ。イチモンジセセリ。蜜蜂。イトトンボ…


 蝶でも蝉でも、詳しい人は、幼虫や蛹までどんな形状かとか大きさかとかしっかりイメージがあるのです。カミキリムシという甲虫の瑠璃色に雪を散らしたような紋様がどんなに綺麗か、ハンミョウの眩惑的なユニークな美麗さとか、大輪の牡丹に大きい揚羽蝶が羽ばたきながら取りついて蜜を吸っている様子が(花札やなw)どんなに優雅か、とか、ありありと目に浮かぶ…


 最近はめっきり昆虫も小動物も減ってしまった気がする。蚊や蠅はもとより、ツマグロヨコバイとか、アマガエル、カメムシ、ニイニイゼミ、ミミズやナメクジ、ハエトリグモ、夏になると必ずそこかしこにうじゃうじゃ?文字通り五月蠅いほど現れたこういう風物詩のような生き物が、最近はまれにしか見かけなくなってしまっている。


 こういうムシたちとの遭遇や触れ合いが田舎暮らしの醍醐味でもあって、もう昔ながらの豊饒な自然は失われてしまっていて戻ってこないのだろうか?外に広がる風景はあまり変わらなくても、温暖化や水枯れで、どこかなにかが違っているのかもと寂しい感じです。レイチェルカーソンの「沈黙の春」は、環境破壊で、ムシや生き物が絶滅して「サイレントスプリング、静かな”沈黙の春”しか来なくなる…」そういう警世の書、なのですが、故郷がもうそういうすっかり自然界が鳴りを潜めている「沈黙の春」しか来ないことになってしまいつつあるのかな?とか考えるとなんだか空しくやりきれない今日この頃です。


 



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むし 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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