コテツ物語

こーいちろー

第1話

『ねこのこい』


私は猫だ

猫だけの街、猫町で暮らす4歳のハチワレの自称『たま』だ。

毎日寝て起きて、食べて寝て、気ままな生活を送っている。

そんな私には、好きな猫がいる。

サファイアのようにキラキラと輝く瞳、つややかな毛並みの美しい白猫、この猫町のアイドル『しろたま』だ。

彼女はチュールデイ(人間で言うとバレンタインデーのような日)には、100以上のプレゼントを集めたとか。

ライバルは大勢いる。

その中でも、目の色がグレーの体格のいい黒猫『コテツ』というやつのことを彼女は好きらしい。どうも彼女は、優しい猫が好きらしいのだ。

そいつはしろたまの前では紳士的に振る舞い、裏ではしらたまに近づくオス猫たちを得意の右猫パンチで倒し、猫町から追い出し、地位を上げてきたらしい。

僕は彼女に告白したい。そのためには僕が一番になる必要がある。つまりコテツが出ていくということだ。


だからチュールデイが明後日に迫った今、

「コテツを追い出そう‼︎」

決意した言葉を口にしたその時だった。

「何がで追い出そうだって?」

⁉︎

この声は、コテツの声だ。

「君はたしか、たまだったね。」

なぜ友人しか知らない名前(猫は友人以外に名前を知られるとまずいのだ)を⁉︎

「さあ、キミ、出ていってもらおうか」

まずい、まずいぞ。このままじゃ、告れないぞ⁉︎

ヤバい、猫パンチが繰り出されるっっ

…そのとき、大きな声が響いた。

「フニャーーーーーーッ」

この声は…

「コテツさんがそんな猫だとは思わなかった、私弱いものいじめをする人は嫌いよ。」

この声は…しろたまだ‼︎

「違うんだしろちゃん、信じ…」

「あんたなんか大嫌いよ。もう私の前に姿を見せないで。」

コテツはしろたまに嫌われたと思い、とぼとぼと猫町を出た。そして私は戦わずして、しろたまちゃんと、付き合うことができた。


To be continued…

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