Extra part.009 -どっちのキスが良い?-

「…―――んっ――」

 朝、うっすらと覚醒した僕の意識は、伶衣のキスによってさらに覚醒する。

「起きた?」

「…うん、おはよ伶衣」

「おっはよ~~~!!!!」

 そんな勢いの良い…と言うか正直煩いレベルの声を上げながらドアを勢いよく開かれ、佐藤さんがやって来る。

「お~、朝からイチャついてる、変わらないね~。さっすが夫婦」

「だから夫婦じゃ…」

 そう言いかけた時、僕と伶衣の左手薬指に指輪が付いていたことを思い出す。

「………」

「ほら、夫婦でしょ?」

「ま、まだ婚姻届けは出してないから…ね、彼方?」

「いや、伶衣ちゃんと瀬戸くんはもう事実婚でもいい気がするけど?」

「…まぁ、別に…」

 伶衣が良いならそれでもいいけど…。

「…じゃあ、佐藤さん、僕たちもうちょっとイチャイチャしてるから」

「あぁうん、もう帰るから大丈夫。ありがとね~じゃね~」

 そう言って僕達に手をひらひらと振って、佐藤さんは1階へと消えていく。

「…どうする?キスも、それ以上の事も…たっくさんしても良いよ…?」

「…二度寝する?」

 僕がそう聞くと、何も言わずに僕の右腕に抱き着いてくる。

「寝れるかなぁ?」

「…ふふっ、どうだろうね」

 前までの様に、鼓動が早くなることもなくて、幸せだとか、嬉しいだとか、そんな感情が僕達の心を埋め尽くす。

 どうか、この幸せが何時までも続きますように。

「…ねえ、伶衣」

「ん?」

「当たってるよ、諸々」

「当ててるから問題ないよ、それに…彼方にどこ触れられても、別に嫌じゃないし。…なんだったら、私の事、今からメチャクチャにしてみる?」

「しないよ。…メチャクチャになるなら僕もだって」

「ふふっ、そっか…」

 どうか、伶衣に、僕に、この先幸せな未来が待っていますように。



――――――――

作者's つぶやき:彼方くんと伶衣さんのキス、実はディープの方が多いって設定があるんですよね。

…まあ、それは別にいいとして。久しぶりのギシカノなんで書き方がちょっと頭から飛んでましたね。

さて、これにてギシカノは本当に終了です。ありがとうございました。

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『ギシカノ』Extra part(番外編) ver. ますぱにーず/ユース @uminori00

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