Extra part.008 -義姉の居ない日-

「…あー…」

 暇だ。暇すぎる。昨日、伶衣が修学旅行に行ったから家に伶衣はいなくて、佐藤さんも家の事情とかで今この辺には居ないし、天笠先輩は大学行ってレポートに追われてるみたいだし、母さんは仕事で居ないし。

「…暇だなぁ」

 そう言葉を零す。

 伶衣の居ない日は余りにも暇すぎる。

 自室の回転チェアから立ち上がり、そのままベッドに両手を広げて背中から倒れ込む。

「………」

 …はぁ。



「ただいま―――」

 伶衣が玄関の扉を開けて家に帰ってくるのと同時に、僕は伶衣に抱き着く。

「…彼方?どうしたの?」

「…寂し…かった」

「…そっか」

 母さんも、佐藤さんも、天笠先輩も、伶衣も居ない家で、趣味もなくて、暇を潰すものもなくて。

 伶衣の体温が、感触が僕に伝わってくるのが、最高に嬉しい。

 …独りって、こんなに寂しかったんだ。

 …独りじゃないって、こんなに嬉しいんだ。

「…伶衣」

「ん?」

「おかえり」

「うん。ただいま」


――――――――

作者's つぶやき:こっちを更新するのは久しぶりですね。まあ多分、これを公開する前にGSMワールドの方が更新されてると思いますけど。

彼方くんは正直、結構甘やかされてる環境だと思うんですよね。水香さんも、表立って色々しないだけで、裏では結構頑張ってますし、佐藤さんも、伶衣さんも、あまっちも、なんだかんだ彼方くんに甘いんですよね。

その所為か、彼方くんの甘えん坊な一面が時々出てきて癒されてるみたいです。

――――――――

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