2 思い出の樺太 (1)伏子の思い出【ゴメ釣り、小鳥とり】
生れ育った古里の村を思い出すとき、懐かしい思い出は尽きないが、特に強い印象と共に思い出されるのは、子供の頃の遊びである。小学校の五、六年の頃はよく"ゴメ釣り"をやったり、紅ヒワをとって遊んだことがある。ゴメというのは春の鰊漁の頃になると亜庭湾内に飛来して、雪が降る頃まで海岸を飛び廻っているうみねことあじさしの類を総称して伏子ではゴメと呼んでいた。延繩用の針に小鰊を餌につけ、波打際に置き、永井綿糸をつけて、綿糸の先端を持って、飛んでいるゴメに姿を見られないように隠れて、波打際を注視しているのである。ゴメは数羽で群をなして海岸沿いに飛びながら、小魚をあさっているのである。ゆっくり飛びながら小魚を見つけると、急降下してきて持ち去る。そしてある程度飛んでから呑み込むような習性をもっていたようだった。こうした習性をある程度知っていた私達は、波打際においてある針のついた小魚をゴメが銜えて飛びあがると、持っている糸をどんどん伸ばしてやる。そして呑み込む寸前に糸を引張ると、針が
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