第18話 彼の過去

「いやはや...本当に欲に塗れた人って扱いやすいですよね。金さえ渡せば何でも言う事を聞くので!」


正直私は金に興味はありませんし、どうせ彼は殺されますし。おそらくヘルさんがもう殺してるでしょうね。


ここで彼を手に入れたのはとても良い!彼は色々気になる点が多いんですよ!ウキウキしながらようやく私の研究所に着き、彼を固定イスに座らせた。


「さて、貴方に質問する事が多いんですよね!ああ気になります!」

「クソ野郎どもが....」


小声で何か聞こえましたがまぁいいです!さて質問攻めと行きましょう!


「貴方はどうやってその力を得ました?」

「多分、神から貰った物だ....はっ?」

「神?へぇ?なるほど....」


神ですか....一応、本当の事を話す魔法をかけていますが...神とは驚きですね!親ではなく創造主とは。ま、ここはどうでもいいですか


「ま...まてっ...何だこれ...」

「あ、そういえば彼女から生まれた地域を聞かなければいけないんでした。どこに生まれました?」

「に...にほん...」


....にほん?聞き覚えがないですね。


「それ何処ですか?聞き覚えが無いとなると相当な田舎かと思うんですが。」

「日本の東京....クソ...何なんだ....!」


....いや、まさか。



「貴方は...別の世界から来ました?」

「そう....だ....」


これはこれは!とんでもない事を聞いてしまいましたね!!別の世界から来た人なんて聞いた事がありません!これはもっと聞かねばいけませんね!!


____________________

数時間後...


「なるほど...貴方は日本の東京という、私たちの世界よりも文明がとても進んでいてかつ魔法が無い世界から来たと...!」


聞けば聞くほど不思議な世界です!魔法がなければこんなにも人間は必死になれるのか!

これが作り話だとしてもとても面白いですね!それにこれが本当だと、彼はすごい人間ですよ!


私の仮説ですが、元々生まれる人間に、彼の魂が宿った、とでも言いますか。本当良く今まで他の人間にバレませんでしたね...ここの世界とは違う別の世界ですか、興味が湧きますね!


「すみませんが、少しじっとしてて下さいね」

「は...?やめ...!」


彼の頭をわしづかみにし、魔法の詠唱を始める。今から私が使う魔法は記憶を見る魔法。

これを使うのは初めてで、あまり使い所がないですが意外と面白い魔法です。あ、そろそろですね。


「あがっ....やめろ...うっ...」



まず見えたのは彼の本当の家族です。やはり私達とは違う服装です。ふーむ、部屋が結構ボロボロですね。それも汚い。


「あークソっ!あのクソ上司イライラする!!おいこっち来い!」

「ちょっとやめてよ!」

「うるせぇさっさと来い!」


そう言って彼の父が母を引っ張って部屋に行きましたね。記憶はまだ続いていて、家族の所に行きました。


「痛い!!やめてよ!!」

「暴れんな!!」


ドアを覗いた先には父が下半身丸出しのまま襲いかかっています。はぁ、私はこうゆうの嫌いなんですがね。ドアを閉じ、彼は何かの本?を読んでいますが声がここまで聞こえてきます。ですが聞こえるのは母の痛みに苦しむ声しか聞こえません。


「やめろ...昔の記憶は...思い出させるなよ...」


おっと?急に変わりましたね。何やら...学生のような服を着ていますね。ここは案外どの世界でも変わりませんね。


「だからさぁ、何でお金貸してくれないの?」

「だって返してくれないじゃん...」

「いつか返すって言ってんでしょ。」

「コイツマジウザくない?」


お金の貸し借りですか。まぁ察せますが、多分返してもらえないんでしょうね。あっ...殴られましたね、それも腹に。


「はぁ!?コイツ財布の中空っぽじゃん!」

「コイツ舐めてるんだけど。もっとボコすか。」


あ〜あ。この世界の彼は魔法が無いのでやられる事しか出来なかったんですね。そのまま何分か続いて何処か行きましたね。


「俺は...何でこんな...苦しまなきゃいけないんだよ...」


また変わりました。今度は...皆んなが黒い服装をしていて目の前にあるのはさっき見た母の絵ですね。それにしても母の絵は凄いですね!あんなに似せることができるなんて!


「心中ですって...」

「ハシクラさんのとこって荒れてたもんね」

「可哀想に、子供を残して何処かに行くなんて」


ああ、これは葬式ですか。この世界でもあるんですね。そうして葬式が終わり誰にもついていけないまま歩いてますね。


「俺...何かしたのかな?」


「こんな可哀想な事、あってもいいのか?」


「ああ...何でこんな...」


「本で見た...あの苦しみの詩...」


「はは...結局はただの言葉遊びじゃないか。」


「はぁ...来世は幸せでいたいな。」


そして、謎の光に包まれて鉄の箱の様な物に当たり死亡したと...。


彼の人生はまぁ...同情します。だからと言って逃すわけは無いんですけど!魔法の詠唱をやめ、彼を見たら涙を流し目がうつろになっていました。


「あー...流石にやり過ぎましたかね?」

「はは...こんな世界、壊れてしまえばいいのに...」


首元にある首輪がヒビが開きました。...え?嘘でしょう?これは国でも数個しかなく、私が手を加えた魔力を出させなくする首輪です。これにヒビが入るって事は...ランク4を超えるぐらいの魔力が流れてるって事です。はい!まずいですね!


「えーと....あっ!そうだ!あれを使えば...!」


私は小さな箱の中から注射器を取り出し、彼に打ち込む。そして、彼はゆっくりと眠っていく...死んだ訳じゃないですよ?まぁでも、これで一安心です!



でもどうしましょう?一度あの首輪を治すとして。彼をどこにやれば....ヘルさんのとこでもいいですが...いかんせん殺しそうですね。となれば残るのはあの人だけですか。


多分彼女なら殺さないと思いますが...大丈夫ですかね...?



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異世界行ったら過酷すぎました!? @kuantamuman

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