五 いざ弔はん數々の
0.木瓜になりたかった
秋だった。
けれど目を閉じて思い描いたのは、淡い紅色の
そんなことを、あの小説の主人公は語っていた。
どうしようもなく不器用で。どうしようもなく愚直で。けれどその
分かりやすいものだとか、見た目の華やかさだとか、表面上の面白さだとか、そんなものが注目される世の中にあって、
彼に咲いた花は、
きっと
「
目先のものばかりに、囚われることなく。
不器用であろうと何であろうと、愚直に生きる。たとえ人に理解されずとも、馬鹿にされようとも。そこに芯を通し、根を張り、己を貫く。
拙とはきっと、そういうものだ。
「漱石
目を閉じる。瞼の裏で、
そういう風でありたかった。目の前にいた彼らに、そういうことを教えたかった。けれど教えられたのは、自分の方であったのかもしれない。
来世は、
けれど、
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