第14話 GWはどうしようか


 体力テストが終わった次の日から四日間はGWの後半だ。ところが何も予定していないので、初日は明日香の家に行って何をするか考える事にした。


 でも二人共忘れていないけど忘れていた事が有った。そう、今、目の前にいるレッドゴールドの綺麗な髪の毛が腰まで有るジェシカ・アンダーソン。


 私と明日香が座っているソファの前、ローテーブルを挟んで座っている。背は私と同じ位。でも体つきが全体的にでかい。それに足が長い。ジーンズを履いているから良く分かる。


 で、何故彼女がここに居るか。それは…。

『アスカ、遊びに連れって』

『もう自分で行けるだろう』

『無理に決まっているじゃない。スクールバスで往復するだけ。他の移動はお母さんの車だし。ねえ良いでしょう』

『そんな事言ってもレイラもいるし』

『この子なんて置いて行けばいいじゃない』

『ジェシカ、今度そんな事言ったらもう口聞かなぞ』

『ぶーっ、じゃあ一緒でもいいから』


「明日香、何話しているの?」

「ジェシカがどこか遊びに連れて行けと我儘言っている」

「でもスクールにも日本語学校にも行っているんでしょ」

「予定は入れなかったみたいだ」


『アスカ、何言っているか分からない?』

『ジェシカ、ちょっと待って』


「レイラ、ジェシカはスクールはバスで行って、普段はお母さんと車で移動しているから、まだ街は見ていないらしい」

「そうなんだ。私達も予定入れて無いし、案内込みで街歩きするのも良いんじゃない」

「でも、ジェシカ。まだ日本語話せないぞ」

「そうだよね。一ヶ月じゃあ話すのは無理かぁ。じゃあ一緒だね」


『ジェシカ、街を案内してあげる。でもレイラも一緒だぞ』

『アスカだけじゃ駄目なの?』

『駄目だ。レイラも一緒だ』

『じゃあ、良いよ』



「レイラ、三人で出かけよう」

「どこ行く。明日香とジェシカだと結構目立つよ」

「うーん、そればかりは仕方ない。取敢えず渋山に行ってみるか」

「そうね。女の子だからファッションビルも良いかも知れない」

「そうだな」



 明日香のお母さんが作ってくれたお昼を三人で食べた後、渋山に出かける事になったのだけど、どうも交通系ICカードを持っていない様だ。ジェシカに私の持っているポスモを見せると

『何それ?』

『これは電車に乗る為のパスだ。こいつが無いと乗れない』

『そうなの。何処で手に入れるの?』


 ジェシカを駅に連れて行き、ポスモの発行が出来る機械で取敢えず三千円分入れて購入した。


『ジェシカ、こうしてタッチするんだ』

『ふーん』


 彼女がタッチして中に入ったので三番目に私が入った。ホームで電車を待っていると他の人からの注目度がマックスの様だ。


-ねえ、あの子の髪の毛。

-信じられないわ。


-おい、凄いな。あの子。

-ああ、可愛いし、あの髪の毛。染めている感じじゃないしな。

―外国人だから本物だろう。


 私も初めて見た時は驚いたけど。



 電車の中でも周りからジロジロ見られている。

『アスカ、日本人っていつもこんな感じなの?』

『ジェシカは可愛いし、髪の毛は綺麗だからな。注目されているんだよ』

『そっかあ。アスカは私を可愛いと思っているんだ』

 そっちかよ。


 渋山の駅に着いてから

『ジェシカ、出る時も入る時と同じようにタッチするんだぞ』

『分かった』


 改札の外に出ると

『うわっ、何この人の数。どこから来たの。それに交差点をクロスで渡っている。何でぶつからないの?』

『ここが有名な渋山のスクランブル交差点だ。レイラに手を繋いで貰え。反対側に行くぞ』

『やだ、アスカがいい』



 いきなりジェシカが明日香の手を掴んだ。そうか交差点をクロスする為か。なんか嫌だな。


 外人は一杯いるのにここでも凄い注目だ。ジェシカの髪の毛は日本人、いえ外人でも珍しいからね。百九十センチの金髪の明日香とジェシカが手を繋いで一緒に歩けば目立つよね。


―すごーい。お人形さん見たい。

-カッコいいわぁ。


―すげえな。あの髪の毛。本物かな?

-どう見ても本物だろう。



 渡り切っても手を放さない。今日は仕方ないか。


 ポルコに連れて行って。フロアごとにウィンドウショッピングした。それから近くの紅茶専門店で紅茶を飲み。駅の傍の西急スクエアや西急スクランブルの各フロアを見た。


「明日香、結構な時間になったよ」

「そうだな」


『ジェシカ、もう帰るぞ』

『うん、ちょっと疲れた。東京は人が多すぎる』

『ジェシカ、スコットランドは五百四十三万人だけど、日本は東京だけで千二百万いるんだ』

『えーっ、こんなに狭い所にそんなにいるの?驚いた。それにエディンバラと景色全然違う』

『当たり前だよ。紙と木で出来ていた街は第二次世界大戦後、全て作り変えられたんだから』

『アスカ、詳しいのね』

『もう七年も日本で勉強していれば常識になる』

『じゃあ、アスカが私に日本と日本語教えて』

『それは駄目だ。予定通り自分で努力しろ』

『いつからアスカは私にそんなに冷たくなったの』

『ジェシカが我儘なだけだ』


 さっきからこの二人何話しているんだろう。後で明日香に聞いてみれば大丈夫か。


 ジェシカを連れて家に帰ると疲れたと言ってさっさと自分の家に帰ってしまった。次の日とその次の日はジェシカが来なかったのでレイラと一緒に映画を見たり図書館に行って過ごした。


 四日目にまた来たけど、また三人で今度はデパートのある街の方に出かけて本屋に行ったり、洋服を見たり、GW限定のイベントを見て楽しんだ。


 ジェシカのお母さん、一人にして大丈夫なのかと聞いたら、昨日と一昨日はお母さんの買い物や家の事をして過ごしたと言っていた。後、お母さんは英語教室の先生になるとも言っていた。流石だ。


―――――

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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