第13話 人気者明日香


 私と明日香は、何日か放課後部活を見て回ったけど、これといって入りたい部活が無かった。


 部活を見に行くと必ずと言っていいほど簡単なプレイをさせてくれる。バスケならドリブルやシュート、バレーボールならボールを持ってパスするとか。


 明日香は背が高いからかバスケとかジャンプすると結構簡単にシュートをゴールネットに入れたりしている。


 バレーもジャンプ力があるのか練習なんかしないのに上手くスパイクとかして皆を驚かせていた。


 そして是非入部してくれのコールだけど、本人は今一つ興味が湧かない様だ。



 そんな感じで日も過ぎた金曜日、健康診断が有って明日香は、中学三年の四月に百八十三センチ有った身長はなんと百九十センチになっていた。


 私は、三センチ伸びて百六十五センチ。普通に考えれば女の子が高一で百六十五センチは低くないはずだけど、いつも居る明日香と並んでいるとどうしても低く感じる。本当は彼が高すぎるだけだけど。


 そして、その翌週行われた体力テストでは、またまた目立っていた。高一で百九十センチの男子なんてそうそういない。


 バレーボールの選手やバスケの選手だってみんなそんなに高くない。強豪校でも行けば別だけどね。


 だから彼が一つの種目を終わらせると周りの人がその度にオーッ!とか声をあげていた。

 こればかりは一緒にやる訳には行かないので別々だけど、明日香の周りには何故か女の子が随分溜まって話しかけていた。


 中にはとても可愛い子や綺麗な子もいる。学校のアイドルとか美少女とか言われている女子も近くにいた。そんな所を見ると心がとても寂しくなる。



 一通り終わって教室に戻って見ると明日香の周りには普段話しかけないクラスの女子が集まっていた。


 私の姿を見た明日香が

「レイラ、どうだった。上手く出来たか?」

「うん。大体ね」


「カーライル君、いつも譲原さんとだけ話しているじゃない。偶には私達とも話をしようよ」

「そうよ。譲原さんだけずるいよ」

「わ、私は…」


「レイラとはいつも何処に行っても一緒だ。君達と話すのは構わないけど、必ずレイラがいる」

「えーっ、そんな事言わないでさ。ねえ今日放課後一緒に遊ぼうよ」

「俺は行かない」

「譲原さんと一緒なら良いんでしょ。譲原さん一緒に遊ばない」

 こうなるのは時間の問題だと思っていたけど、高校に入って一ヶ月とちょっとしか経っていないのに。


「俺はレイラと一緒に帰る。する事があるんだ」

「えっ、譲原さんとする事って何?」


 タイミングよく予鈴が鳴って昼休み時間になった。


「レイラ、購買に行こう」

「うん」



「行っちゃったわね」

「譲原さんだけカーライル君を独り占めするなんて」

「うーん、カーライル君が譲原さんを独り占めしているように見えるけど」

「じゃあ、譲原さんに誰か素敵な人が現れれば良いのか。誰かいないかしら」

「それ、難しんじゃない。だって彼女の好みなんて知らないし」

「よし、将を射んとせばまず馬を射よで行こう」

「それ、これに当てはまるの?」

「まあ、いいじゃない。とにかく譲原さんと仲良くなろう」

「「「うん」」」




 明日香に手を握られて何とか教室から出たけど

「明日香、人気者になったね」

「俺はそんなもの興味ないよ。レイラと居る事が一番だ」

「私も明日香が一番」

「あははっ」

「うふふっ」



 購買から菓子パンとジュースを買って教室に戻って来るとさっきの女子達はバラバラで教室でお弁当を食べている子もいれば教室にいない子もいる。


 私達も席に戻っていつものように食べていると、教室の後ろドアに視線が言っている。気になってみて見ると、あっ、周防生徒会長と碓井副会長だ。でも何故か入ってこない。廊下にいるだけだ。


「あの人また来たよ」

「明日香に用事あるんじゃない?」

「生徒会なら入らないって言って有るけど」

「じゃあ、なんだろうね」


 ドアの傍にいる二人を無視して、読んでいる歴史書の事なんかを話ながら食べた。食べ終わって、少しすると二人が入って来た。当然こっちに向かって来て


「カーライル君。食べ終わった?」

「終わりましたけど」

「ねえ、ちょっと廊下で話せないかな?」


 明日香が私の顔を見た後

「何か用ですか?生徒会の件は断りましたけど」

「生徒会の件はもう良いの。ちょっと廊下に出れない?」

「食事後は動かない事に決めているんです」 


 そんな事無いでしょ。まあ、嘘も方便と言う事で。


「仕方ないわ。じゃあここで。ねえカーライル君。私、君とお友達になりたいの。駄目かな」

「駄目です。俺の女の子の友達はレイラ一人です」


 あら、一刀両断ね。


「そ、そんなぁ。じゃあ友達はいいわ。私の彼になって」

「「「えっ!」」」 


 そりゃ、みんな驚きますよね。


-周防会長がカーライル君に告白した。

-でも無理でしょ。

-まあね。


 ほら言われている。


「生徒会長、俺はあなたの彼氏にはなりません」


 あっ、断られた。


-当たり前よね。

-周防会長顔赤くして帰って行ったわ。

-いつも偉そうな態度だからいいきみよ。


「明日香、スパッとやったわね」

「当たり前だ。俺はレイラだけだ」


「「「「えっ!」」」」


 これも驚くよね。私はもう慣れたけど。




「京子、いきなりあれはないわ」

「だってぇ。何が何でも彼の恋人になりたいの!」

「恋愛は三年の秋からって言ったでしょ」

「間に合わないわよ。彼女出来たらどうするの!」

「もういると思うんだけど」


「誰?」

「譲原麗羅さん」

「彼女は友達でしょ」


 はぁ、こんなに頭いい子でも恋愛になると見えなくなるんだ。これじゃあ、これから目が離せないよ。


―――――

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

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宜しくお願いします。

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