第9話 部活どうする?


 今日は、学校内の案内と部活のオリエンテーションがあると言っていた。中学時代は言葉の問題で部活に入る事が出来なかったのでどんな部活があるか楽しみにしている。


 レイラの家の最寄り駅に電車が入って行くといつものように俺が乗っている電車の二つ目のドアの前で彼女が待っていた。


「おはよう明日香」

「おはようレイラ」


 学校のある駅は隣だ。話す時間も大してないままに着いてしまった。改札を出ると

「今日部活の説明があるな。レイラはどのクラブ入るつもりだ」

「うーん、考えていない。オリ聞いてからかな」

「俺もそうする」


 二人で教室に入るとクラス委員長の毛利とクラス委員の百瀬が挨拶して来た。俺とレイラの前だから当たり前か。


「「おはよう、カーライル、譲原さん」」

 ハモったよ。この二人仲良いのかな?


「おはよう、毛利君、百瀬さん」

「おはよう、毛利、百瀬さん」


 周りの様子を見ると、俺と同じで慣れていないのか、緊張している顔が多い。隣の子と話せない子もいる様だ。

 もっとも俺もこの二人が声を掛けて来なかったらレイラ以外には同じようなものだったろう。


 二人に挨拶をしたのは良いが、話が続かない。レイラと話をしていると予鈴が鳴って担任の小早川先生が入って来た。


 出席を取り終わると

「これから学校の中を案内します。他のクラスの生徒も同じです。すれ違う時は気を付けて下さい。では廊下に出ましょう」


 廊下に出ると昨日は気付かなかったが、俺の身長より高い奴はいない様だ。自然と後ろに行く。


 職員室や校長室…入らないけど、音楽教室や理科実験室、体育館の舞台裏や倉庫、校舎裏の焼却炉も案内された。


 学食の傍に購買部が有って学用品とは別に昼だけお弁当やパンを売るという事もするらしい。


 俺は、それを聞きながら

「レイラ、ランチはどうする?」

「当面は購買か学食で過ごそうか。慣れて来たらお弁当も有りだね」

「俺のお母さんは作ってくれないぞ」

「明日香の分は…私が作るわ」

「本当か。じゃあ明日から」

「人の話聞いてないでしょ」

「ごめん」



 教室に戻ると小早川先生が再度、今見に行った所の注意事項を説明してくれて午前中が終わった。

「レイラ、学食行こう」

「うん」


 初めての学食だ。どんなものが食べれるのか楽しみにして行って見ると結構チケットの自販機の前に並んでいる。

「うわぁ、結構いるんだな」

「始まったばかりだからね」


 俺達が並んでいると他の生徒からジロジロ見られている。慣れているとはいえ、近くでこんなに多くの視線を向けられるのは初めてだ。


-おい、金髪で背の高い奴がいるぜ。一年生じゃないか。

―カッコいい。何処の国の子のなのかな?

―喋っている子も可愛いな。



 好きな事を言われている。列が進みチケット自販機の傍に来るとA定食、B定食、ラーメン、カレーライス、かつ丼、蕎麦、うどんと一杯ある。

サンプルがガラスケースに入っているけど


「レイラ、どれ選ぶんだ?」

「うーんとね、明日香はお金を入れてからA定食と書かれているボタンを押して」

「了解」


 レイラはB定食のボタンを押した。


 チケットを買うと今度は受取カウンタの列に並んだ。中にいる生徒から一斉に見られた。これは結構きつい。


「レイラ、明日から購買で買って教室で食べるか?」

「そうしようか。ちょっときついよね」

「ああ」



 A定食のチケット出すと中にいたおばさんが驚いた顔をしていた。トレイにA定食のおかずとご飯とお味噌汁を乗せて横にずれて待つとレイラもB定食をトレイに乗せて横にずれた。


「あそこ空いている」

 窓の横の二人掛けのテーブルが空いていた。


 A定食はチキンカツレツだ。フォークで切ってからお箸で持ってかぶりつくと隣から


―箸使えるんだ。

-器用なものだな。


 自分達も使っているでしょう。



 食べ終わったものの周りからの視線が気になってあまりゆっくりも出来なままに早々に教室に戻った。


「定食は美味しかったけど、ちょっと居辛いな」

「そうね。明日は購買にしようか」



 午後になり小早川先生が入って来ると

「体育館で部活オリが始まります。廊下に出て下さい」


 体育館に行くとクラス順でパイプ椅子に座った。俺は一番後ろだ。壇上に上がった先生が、最初は運動部、次に文芸部、最後に園芸部の説明をすると言っている。明日はここで図書オリをするそうだ。



 最初に説明を始めたのは男子硬式野球部だ。持ち時間が五分の所為かあっという間に終わった。

 次は女子軟式野球部。という順で男女テニス部、男女バレーボール部、男女バスケットボール部、男女剣道部、男女空手部、男女柔道部と説明が有った。


 凄い数だな。この後は文芸部だ。最初に何とブラスバンド部の案内が有った。ここは十分近く時間を取っていた。その後の軽音部、演劇部も十分近い時間を取った。そして最後に園芸部の案内が有った。


 終わったと思ったら、なんと部ではないが同好会として映画研究会、漫画研究会、星空観測会というのもあるらしい。これは説明なかったけど。



 これで終わったと思ったら、昇降口から校門までの間に各部の勧誘があるからそこでも詳しい説明が聞けると言われた。


 一度教室に戻ると

「レイラ。どれが良いのか分からない」

「私もあれ聞いただけじゃ決められないわ」


 前に座っている毛利が

「カーライルは背が高いからバスケとかバレーに向いているんじゃないか?」

「毛利君、背が高いという意味ではどの運動部も適していると思うんだけど」


 百瀬さんの反撃に

「いやあ、流行りもあるだろう」

「そんな事気にしなくていいわカーライル君」


 この二人クラス委員長と委員だろう。大丈夫かな?

「まあ、レイラと決めるよ」

「へーっ、カーライルは結構譲原さん依存なのか?」

「ああ、勿論だ」


 それ言うか。もう!

 まあ事実だけどさ。

「あははっ、とにかくゆっくり考えよ」



 教室の前のドアが開いて小早川先生が入って来た。

「部活は強制では有りませんが、高校生活をより豊かにする為にも入部を勧めます。期限は有りませんが、GW前までに決めるのが馴染む為にも良いでしょう。

 明日は、図書オリが有ります。図書委員の募集もしています。しっかりと聞いて下さい。今日はこれで終わりです」



 レイラと一緒に昇降口で履き替えて外に出ると早速声を掛けられた。

「おーっ、そこの背の高い男子。ぜひ野球部に入ってくれ。君の体なら直ぐにレギュラーになれる」

「いや、バスケだ。絶対にこっちだ」

「何を言っている。バレーボールに決まっているだろう」

「いやいやテニス部だ」


 その後も全部の運動部から声を掛けられた。レイラも同じようだ。何とか校門の所まで来ると水やりをしている女子がいた。


「レイラ、あれは?」

「園芸部よ」

「そうなのか」

 さっき説明していた子と違う感じがするけど。



 駅まで歩きながら、

「先生もああ言っていたし、入った方が良いのだろうけど、まだ決められないな」

「まあ、GWまで時間有るし、ゆっくり決めようか」

「そうだな」


―――――

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


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