第2話 アスカ・カーライルの事情
俺の育った街はスコットランドの首都エディンバラだ。
スコットランド人のお父さんと日本人のお母さんは仕事が忙しくてあまり話し相手になってくれない。
だから、どうしてもお爺ちゃん、お婆ちゃん子になる。
言葉はスコットランド・ゲール語と英語で育った。英語はスコットランド訛り。
プライマリースクール二年の時にお母さんの生まれた日本という国に行くという話になったけど、そもそも日本って国も知らなかったし、何処にあるのか知らないくらいだった。アマゾンの方がよっぽど知っている。
だから俺は両親に聞いた。
「なんで日本とかいう国に行かないといけないの。その国って何処にあるの?」
お父さんが、
「アスカ、お父さんの仕事で日本に行く事になった。お母さんも一緒だ。お父さんは学生時代、日本に行ったがみんな親切で安全でとても良い国だ。
場所はここからずっとずっと東に行くんだ。太平洋という大きな海に面していて地球で朝の太陽が一番先に見れる所だ」
お母さんは
「日本はとても優しい人達がいる国よ」と言ってくれた。
お爺ちゃんとお婆ちゃんはスコットランドに残ってもいいよと言ってくれたけど、両親と離れて暮らすのは嫌だから付いて来た。
日本に行く事が決まってから日本語の勉強をする事になったのだけど、エディンバラには日本語を学べる環境なんて無い。
お母さんが日本から取り寄せてくれた絵本には変な文字がいっぱい書いてある。全く読めない。発音も分からない。
お父さんの伝手で在エディンバラ日本国総領事館に行って事情を話して、毎週三回一時間ずつ日本語を教えて貰う事になった。
黒髪の優しいお姉さんだった。お陰で挨拶と自分の紹介位は出来るようになったつもり。
そして長い空の上の時間を過ごして両親と一緒に日本に来た。街がごちゃごちゃしてやたら人が多いし、蒸し蒸しとにかく暑い。最初の日は怖くてお母さんと一緒に寝た位だ。
驚いた事に、日本の家は木で出来ている。石じゃないんだ。そして小さくて狭い。あまりにもエディンバラと違う景色に一日目で帰りたくなった。
一週間後、俺は日本では小学校三年という枠で入学したけど周りが何を言っているのかさっぱり分からない。欠片は分かるけど。勉強も毎日決まっている。スコットランドとは全然違う。
ただ、隣に座っている長い黒髪のユズリハラレイラという女の子は俺の事を随分気にかけてくれた。
先生の言っている事も片言分かって来た時、おかしいと感じたことをスコットランド語で聞いていたら、みんなから相手にされなくなった。
国語が全く分からない。なんでこんなに棒ばかりの四角い文字を書くのか分からない。真直ぐに線を一杯引く文字なんてこの国くらいじゃないかと思った。
レイラが、日本語を覚える為に声の出る絵本を教えてくれた。これはとても役に立った。
日本の漫画も教えてくれた。日本の漫画の表現レベルは、スコットランドのレベルと比較するとかいう世界じゃない。
キャラクタの表現や質が違い過ぎる。ストーリーもレベルが高い。映画にもなっている。これはとても役に立った。
そしていつもレイラが居てくれた。だって本屋に行く時とか映画館に行く時、彼女が居ないとどうしようも無かったからだ。
それでも一生懸命覚えて何とか中学生なった。幸い学区域というのがあり、無条件で入学出来たのが良かった。
ちょっと話を戻す。
実言うと小学校のころから気になっている女の子がいる。俺の隣に座っていつも俺を気にかけてくれていた女の子。名前はユズリハラレイラ(譲原麗羅)。縦棒と横棒の塊みたいな名前だ。
とても細いけど艶やかな黒髪が腰辺りまで有って、ちょっと吊り上がった大きな目が特徴の女の子。
国語を教えてくれていたおかげで色々話もしたけど、半分位しか分からない。
だからこちらから話しかけたかったけど、何をどう言って良いか分からない。でも中学になって大分日本語が分かる様になった。
この頃になるとお互いの家にも遊びに行くようになった。レイラは、俺の部屋を見て広いと言っていたけど、彼女にエディンバラだったらこの倍以上在ったと言ったら驚いていた。
俺は、中学二年生になった時、みんなが持っているスマホが欲しいとお父さんにお願いした。
実際にはお母さんと一緒にお店に行って買った。俺の知らない言葉が飛び交っていた。そして一番先に欲しかったのは、レイラの連絡先の登録。
説明書は英語でも書いて有ったけど彼女の連絡先が知りたくて、日本語で難しい言葉しか書いていないから彼女に協力して欲しいとお願いし、彼女の連絡先も登録した。
早速レイラにメールしようと思ったのだけど…。で、でも、なんて書いて良いか分からず、ネットで女の子に声を掛ける方法と検索したら、
ヤホーの伝言板に『これで成功する女子を惹きつける方法』という所に日本ではスリーサイズを聞くのが一番だと書いてあった。
だから早速そのテンプレで彼女のスマホにそれを書いた。
『とても可愛い譲原さんへ。僕はあなたをとても魅力的に感じます。だから教えてください。バスト、ウエスト、ヒップのサイズを』
そうしたらそうしたらすぐに返信が来た。流石日本は凄い。だから俺は自分のお願い事を書いた。
ゴーグルの翻訳機能を使って。
『俺、悪い頭ので教えて下さい勉強』
そうしたらOKの返事が来た。俺は嬉しくて堪らなかった。メールなら言葉では直ぐに言えない事も考えて書ける。これは大変有効になった。
そして今、レイラは俺の隣でブツブツ言っている。ホワイジャパニーズピープル?と言いたい。
―――――
変な内容満載ですがお許しを。
次話からは普通の学生生活風景になります。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます