土人の書
土人の書
カン!カン!カン!(金属音)
土人とは、どういう種族かだって?
「そりゃぁ、手先の器用な種族さ。」
ボゥ(炎の音)
「他の種族とくらべちゃぁ、俺たちゃ種族は戦闘には向いとらんが、他のどの種族よりも俺らが作った物や芸術品に勝る物はない!」
「ガッハッハ、自惚れ過ぎだって?」
ドン(黄金の鎚を置く音)
「まぁ......そう思うのも仕方ねぇ話だなぁ。」
「だって、今のプレイヤー.....いや、NPCもか.....そん中には本気で技術と向き合い、それに生涯を掛けて取り組むやつが、なかなかいやしねぇんだから.......。」
「竜人がドラゴンだかなんだかを模して造られた種族だとしたら、我々土人はある"神"を模して造られた種族だからなぁ。そりゃぁ技術に関しては、どの種族にも負けねぇさ。」
「おいおい、土人の話じゃなくて、何故竜人はドラゴンを模して造られたのかが気になるのか?」
「はぁ......そりゃぁ、唯一主が創造した種族の中で"魔法"が使えるからさ。」
「あ"?魔法は、どの種族でも使えるって?」
「ガッハッハ、そりゃただの勘違いさ。」
「お前さんらが魔法だと思っているそれは、厳密には魔法じゃねぇ。」
「魔法の根源は、"怨念"だ。」
「つまり、その怨念を媒介にし本当の意味で使用できる種族は、魔側か竜人しかいねぇんだよ。」
「いや、"人"って種族もか......。(小声)」
「はぁ......まぁ、んでそんな俺らの話でもねぇ竜人の話ばっかになんで興味があるんだ?」
「あぁ、おめぇさんは竜人の書で聞いた話が気になったのか。」
「"呪いのような"能力って書いてあったんだったか?」
「怨念を呪いと例えるとはまぁ......笑える話だな。」
「呪いなんて可愛いもんじゃねぇ。ありゃぁ、一種の世界を揺るがす力だ。」
「誰にでも手に入るもんじゃぁねぇが、誰でも手に入れうることが出来るモノだ。」
「ただまぁ......主ですら手に入れられなかった力なだけあって、そうとう厄介なモノなんだがなぁ。」
「あ?次は主が創造した5種がなんだか気になるって?」
「今更だなぁ、そんなもん獣人、森人、竜人、土人.....最後に天人に決まってんだろ?」
「天人が何かって?あぁ....てめぇらの言葉で言うと天使だよ天使!」
「あれだ.....天に住まう翼の生えたうぜってぇ種族の昔話を何度か聞いたことがないのか?」
「あるだろ?」
「そう、人類が創造される前の世界で世界の管理していた者共だ。」
カン!カン!カン!(金属音)
「はぁ....どうやらおめぇさんは、土人には興味がねぇらしいな。」
「あ"?そんな事はねぇって........。」
「まぁ、武器の製作なら注文通り造っちゃるから、もう出てけや!仕事の邪魔だ。」
カン!カン!カン!(金属音)
「おい.......武器は一週間後に取りに来い!」
「それと.......機会があったらまた話ちゃる。(小声)」
「さぁ帰った帰った。」
バタン(ドアの閉まる音)
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???「はぁ......なんなんやこの時計は.......。」
???「全っ然直し方が分からへんやないか。」
小柄でありながらも体格はムキムキな女性プレイヤーは、時計を手に持ちながらため息を吐く。
???「それにしてもなんなんやこの素材は......。」
???「時の歯車っちゅうもんは、何処で手に入るもんなんや?」
???「それに他に必要な素材の名前も、変な鉱物の名前や聞いた事の無い物ばっかりや.....。」
幸いアイテム名と何処の地名にそのアイテムがあるのかだけ書いてあったから良かった物の、こんな聞いた事も見たこともない素材を一から集めて修理しないといけなかった時には、こんな依頼早々に諦めて投げ出していただろう。
???「着いたで土人の里......ウルカーヌスに。」
巨大な岩山を横からゴッソリくり抜き、そこの中に巨大な都市が作られているウルカーヌス。横の火山の山からは、マグマを引っ張ってきており、岩山の中はとても熱気が籠っている。
それに、都市の中は鉄の匂いや汗の匂いがもの凄く充満している。
???「ひゃぁ....久しぶりに来たが、ええとこやな。」
???「なんというか腕がウズウズしてきて今にでも作業を始めたいわぁ。」
肩をブンブン振り回しながら辺りを見回して目的の鉱物を探すが、何処のお店にも売っていない。
聞き込みを行うものの、そんな鉱物の名前は聞いた事が無いし見たこともないと全員が首を横に振り、そんな物はがあるわけ無いと否定する。
???「はぁ....ほんまにここにあるんか?」
???「アダマスっちゅう石は.....。」
???「もしかして何かの隠語か古語かぁ?」
???「はぁ.....こうなったらまぁ、図書館に行くしかないわなぁ。」
そう言いながら、ウルカーヌスにある大図書館に向かう。
巨大な都市にある図書館なだけあって、ここウルカーヌスの図書館は、他の小さな街や都市よりも大きく、芸術と技術を売りにだしている都市なだけあって、柱だけでも一級品の彫刻が掘られてある。
ここに来るのももう数十回目くらいなのだが.....。
いつ来てもここは、"映えスポット"になっている。
(図書館に来るなら本でも読めやなぁ.....。)
と、毎回観光客や写真撮ってる連中に思うのだが、まぁ残念ながらゲームの中だけあって、図書館で勉強しようという物好きな奴は少ないらしい......。
だいたい、最近のゲームは分からない事があれば掲示板やネットの検索でヒットするし、技能が欲しければ本を手に取って流し読みをすれば未完成ではあるものの手に入れる事が出来る。
後は、その未完成をアップされている動画や掲示板の方法を参考にしながら練習すれば一瞬で欲しい技能が手に入るという寸法だ......。
まぁ、最近分かったやり方なだけあって、まだまだ知られている技能の種類は少ないのだが、わざわざゲームの中でも勉強して技能の研究なんかするよりも、それを調べて動画でアップする攻略組やそれで稼いでいる動画配信者が増えてきているのだから、それがアップされるのを待つ方がいくらか楽なのだ........。
そのため、図書館の利用者はゲーム内でだんだん減っていっているのが現状であり、自然な事なのだろう......。
ただまぁ.....俺が今調べている内容は、掲示板でも動画でもネットでも検索したのに、全くヒットし無かったのだから地道に調べるしかない。
こんなめんどくせぇ依頼を出した奴に対して、文句は尽きないが.......もしこれで俺の鍛冶のレベルが上がるなら安いものだ。
それに、期限がいつまでというのを言われていない事からも、このクエスト(?)は、どうやら長期間を考えられたクエストのようで、無期限であるため慌てる必要はなさそうなのだ。だから、俺はこうやってのんびりゆっくり図書館で情報を集められているわけなのだが.......。
どうせ必要な素材が分かるなら、もう少し詳しい場所やら内容やらを教えて欲しいものだ......。
そうすれば、こんなに苦労する事もないだろうに......。
特にこの時の歯車という素材.....。
これだけ場所の詳細が不明なのだ。
PlayerName:不明
種族:土人
職業:鍛冶師
Level:不明
Skill:不明
称号:不明
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「土人についてのお話はいかがだったでしょうか?」
「時の歯車.....何処かで聞いたような?」
「そうです、あのおじさんの娘さんが探している物ですね。」
「という事は、その持っている時計って?」
「まだまだ謎が深まるばかりですね。」
「以上で本日のサクッと解説を終了します。」
「いろんな質問やコメントをお待ちしております。」
「いつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「さようなら~。」
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