ー 65話
国王「はぁ........はぁ..................。」
執事「陛下!お待ちください!」
国王「来るでない、セドリック!」
執事「へ、陛下!」
国王「はぁ.................はぁ.............。」
バン!(ドアを激しく開ける音)ガチャ(ドアを閉める音)
執務室まで急いでやって来た国王は、ドアを激しく開けて誰も入って来れないようにドアを固く閉めて息を整える。
国王「いるんだろ.........?全部見ていたんだろ?」
国王は、震える拳を握り締めて誰も居ない窓に向かって話しかける。
国王「悪魔よ姿を現せ!」
???「はぁ、悪魔とは何とも酷い言い分ですね。」
???「それに、この前、一度お手伝いをしましょうか?と言う我々の心優しい提案を外見を理由に無視したのは、貴方だったじゃないですか?国王陛下。」
何処からともなく聞こえてくる声に、国王は尻込みしながらも、拳を握り締めて跪く。
国王「そうだ........。私が、其方らを信用できずに断ったのだ。」
???「それで?そんな我々の手を振り掃い、自身の権力でどうにかなさろうとしていた国王様が、我々に何の御用で?」
唇を噛みしめた国王は、声を震わせながら頼み込む。
国王「どうか......我が息子を救ってほしい。」
国王「我は息子以外、他に......何もいらぬのだ。」
国王「国も、民も、名誉も、富さえも....全ては息子の将来の為を想いここまで頑張って来たのだ。」
国王「それなのに......教会は........いいや、
国王「富だけでなく、息子までをも奪おうと言うのだ!」
国王「どう"が、我が息子を"すぐっでぐれ......。」
国王「望むなら、我の命も、名誉も、富も全て差し出そう。」
国王「だがら"..........どうかだずげでぐれ.........。」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で、窓を見つめながら国王は床に頭を押し付けて訴える。
ドンドンドン(ドアを叩く音)
執事「陛下!ここをお開け下さい!陛下!」
騎士「陛下!」
騎士「執事殿、そこを退いてください。このドアをぶち壊します!」
???「はぁ、そんなモノは、必要ないのですが良いでしょう。」
???「私の名は、アルカードです。以後お見知りおきを。」
アル「それでは、皆さん、お仕事の時間ですよ。」
アル「国王陛下の頼みというのを叶えて差し上げましょう。」
バキ、ドン(ドアを壊して開ける音)
執事「陛下!ご無事ですか?」
騎士「陛下!」
騎士「何も.....以上は御座いません。」
騎士「どうやら、陛下はあまりにショックが大きかったようで気絶しているようです。」
執事「仕方ないであろう.....いくら国王と言えど、大切な1人息子が
(それよりも....国王が自暴自棄になって自殺を図らなかっただけ良かった。)
(しかし.....この姿勢はどういう事なのだろうか........誰かに跪いて......いや.......ここには、誰も居ないのだから私の考え過ぎだろう。)
執事「国王を、安全な部屋のベッドまで御運びしなさい。」
騎士「ッハ!畏まりました。」
執事「ふぅ.......それでは、城内に一時的に非難し集まっていただいた貴族達の世話でもしましょうか。」
「ひゅ~ぁぁぁあ」
「え?なぁに?働きなさいって?」
「アルカードがいるんだから良いでしょ?」
「ひゃ~~~あ!」
「うっさいわね!」
「分かったわよ!もう!」
「アビスフィールド。」
ゴゴ.....ゴゴゴゴ......(地面が揺れる音)
Player「な、なんだ!?」
Player「急に空が暗くなったと思ったら、今度は地面が割れ出したぞ!?」
NPC「き.....きっと、ぷ、プレイヤーのせいよ!」
NPC「俺達を殺そうとしてるんだ!」
NPC「助けてくれ!皇太子様!」
Player「お、俺達じゃない!」
Player「うわぁ!に、逃げろ!こっちまで地割れが広がってくるぞ!」
ボスである皇太子殿下とプレイヤー達の距離を離したゴーストプリンセスは、溜め息を付きながら空中を飛び回る。
アル「ご苦労様です。」
「も~ぉ、後で働いた分のお菓子を要求するんだからね。」
アル「はぁ.....畏まりました。」
アル「ポチチップで良いですか?」
※ポチチップ:たぶんジャガイモ薄く切って揚げて塩をふったやつ。
「それだけじゃダ~メ!ペロペロキャンディーと~魔手マロンも!」
魔手マロン:異世界産マシュマロだと思われるもの。
アル「はぁ........畏まりました.....その分貴方には、しっかり働いて頂きますからね。」
「は~い。」
「それじゃぁ、レイスちゃん達よろしくね!」
「ひゅ~あ。」
「ひゃ~あぁ。」
「わ、分かってるわよ!今回は私も働きます~だ!」
「フン!見てなさいよ!完璧にプレイヤーとNPCを守って見せるんだから!」
「スリーピーオルゴール。」
※スリーピーオルゴールのデバフである永眠により近くにいたNPCとプレイヤー達が全員眠りにつきました。
聖女「まぁ、何という事なのでしょう!」
聖女「皆さん、上をご覧ください!」
NPC「な!?あれはなんだ!」
NPC「女の子が浮いているわ!」
騎士「あ、あれは!もしや悪魔なのでは!」
聖女「そうです。あれは、魔側に所属する霊人なのです!」
聖女「彼女の攻撃により、NPCやプレイヤー達が永遠の眠りについてしまわれたのです。」
聖女「きっと、皇太子殿下をモンスターに変えたのも彼ら魔側の計画に違いありません!」
聖女「皆さん、今はプレイヤーだとかNPCだとかで争っている場合では、ございません。まずは協力して彼ら魔側を倒しましょう!」
聖女「そうしなければ、彼らの手によって皇太子殿下が完全にモンスターとなってしまいます!」
聖女(本当に....今日は良い日ね。こんなところまで、のこのこと霊人がやって来てくれたんだから。)
空中で聖女の意味の分からない演説を聞いていたゴーストプリンセスは、聖女のあり得ない物言いに、開いた口が塞がらなかった。
「な!誰が皇太子をモンスターに変えたやばい霊人ですって!」
「もう一度言ってみなさいよ!」
「この、ブス女!」
聖女「な!」
聖女「今のお聞きになりましたか?」
聖女「彼らは、なんと野蛮な事を言う人種なのでしょう......。」
聖女「決して彼らに耳を貸してはいけません。」
聖女「共に、魔側の人間を退治しこの国を!皇太子殿下をお救いしましょう!」
「ちょ、馬鹿!」
「あのねぇ私は、皇太子を助けにきたのよ!」
「って聞きなさいよ!」
「なんで、プレイヤーもNPCも私の言葉を無視すんのよ!」
「あのバカ勇者と私の上司と同じじゃない!」
聖女「聞きましたか?」
聖女「皆様、勇者様も彼らと敵対しているのです!」
NPC「勇者様が......。」
Player「なんだか分からないが!あいつのせいなんだな!」
Player「魔法使えるやつ!空中を狙え!」
Player「手の空いているやつは、倒れているNPCとプレイヤーを回収して回復させるんだ!」
「ちょ、聞きなさいよ!」
ピピ(通信魔法)
「ア、アルカード!」
アル「すみませんが、今はこちらで忙しいので貴方の話を聞いてあげられる余裕はありません。」
アル「それに、あなたは、全ての物理と魔法攻撃が効かないのだから問題はないでしょう?」
「バカ!効かないんじゃないわよ!効きにくいの!」
アル「一緒の事です。」
アル「それでは.....また後程。」
ブツ(切断)
「こんのバカ―――――!(大声)」
「今度、イブちゃんにチクってやるんだからね!」
「それと、お菓子追加だから!」
「召喚!モンスターパレード!(大声!)」
Player「な.....なんだ?」
Player「空がさっきよりも真っ暗に.......。」
Player「.....おい......ちょ........これ.....。」
Player「今すぐ、NPC達を守れ!」
NPC「な、なんだ。なんだ!」
騎士「どうなっているのだ!」
空中に浮いている少女が大きな声で何かを唱えたと思った瞬間、空中と地面の辺り一面にモンスターがいるという真っ赤なアイコンと名前が光り出しプレイヤー達の画面を埋め尽くす。
聖女「落ち着いて下さい!皆さん!」
聖女「ここには、アンデットの弱点である私がいます。」
聖女「私が支援いたしますので、皆様は攻撃をお願いします!」
聖女「♰
明るい光が聖女の周りから溢れ出し、辺りを一瞬だけ照らすが、すぐに周りが真っ暗に染まる。
聖女「ど.....どうして......。」
聖女があり得ないと言う風に驚いていると、空の上から聖女に向かって指を指しながら大声を上げて笑っている少女が近づいてくる。
「ふっふっふ~、この性悪女!」
「残念だったわね!」
「私を誰と思ってるの?」
「神聖がアンデットの弱点ですって?」
「バカね!私はそのアンデットを司る女王様よ!」
「そんなちんけな魔法ごとき私が粉砕してあげるんだから!」
「⚰️
聖女「........本当に存在していたんですね。(小声)」
聖女「司教!」
司教「はい!ここにおりますぞ、聖女様。」
聖女「今すぐ、聖騎士を連れてくるように教会に命じなさい。」
聖女「それから、ゴーストプリンセスが出たという事もね。」
司教「了解しました。」
「ふっふっふ~、逃がすと思ってるの?」
司教「ハハハ.......そうは思っておりませぬぞ。」
司教「ですがなぁ.....こういう、もしもの時のために私ども教会の連中はアーティファクトと呼ばれる古代の聖遺物を所持しておるのです。」
司教「それでは、またお会いしましょう。」
司教が自身の胸倉に手を突っ込んだ瞬間、エフェクトとなって目の前から一瞬にして消え去ってしまった。
「ちょっと!もぉ!アイテムとかせこよ!せこ!」
聖女「フフフ、貴方のような人種に言われたくはないですね。」
聖女「物理、魔法ともに無効だなんて......。」
「だ~か~ら~さっきも言ったけどって、あんたには言ってなかったわね。」
「それに私の弱点じゃない!」
「これって誘導尋問ってやつ?」
「やっぱり性悪女ね!」
聖女(な!....貴方が勝手にしゃべりだしたんじゃない......。それに話の流れから察するにどうやら、何か方法があるようね。)
聖女は、ニコッ笑い顔には出さないようにしながらも内心この霊人に対してぶち切れていた。
先ほどから高貴な身分である
聖女「きゃ~、攻撃されるわ。」
「ちょ、何もしてないでしょ!」
NPC「せ、聖女様が危ない!」
騎士「退け!そこの化け物!」
Player「この~!幽霊め、当たれ!」
「ちょ、だから!辞めなさいって!」
「それに攻撃なんてしてないわよ!」
ゴーストプリンセスが、ちらっと聖女の方を見ると、上手くいったという風に苦笑いしながらこっちを見下すような目で見ているのが目に入り、相当腹が立って怒り出す。
「もぉ~!性悪女!」
「絶対あいつ泣かしてやるんだから!」
「ひゅ~あ!」
「ひゃぁ~あ。」
「そう!あいつよ!あいつ!」
「ひゅ~ぁぁぁあ。」
「そうね、まずは落ち着いて、プレイヤーとNPCの安全を確保するために、戦闘不能にさせる事からよね.....。」
「あんた達!気合入れてこの場にいる全員に、デバフのオンパレードにさせるのよ!」
「ひゅぁぁぁあ!」「ひゃぁぁぁぁ!」「ひょぉぉぉああああ!」
「もちろん!殺しちゃダメよ!!!」
「ひゅあ!」「ひゃぃ!」「ひょぉ!」
PlayerName:不明
種族:霊人
職業:
Level:不明
Skill:不明
称号:..../Perfect Ghost(パーフェクトゴースト)/GhostPrincess(ゴーストプリンセス)
PlayerName:アルカード(?)
種族:血人
職業:不明
Level:不明
Skill:不明
称号:不明
Name:♰イザナ・ファルネアス皇太子殿下♰
種族:モンスター
職業:皇太子殿下
Level:370(?)
Skill:........../王国騎士流体術(伝説級)/王国騎士流剣術(伝説級)/王の威圧
称号:...../皇太子/罪への清算
※システムの限界を突破し、願いと無念によりNPCという枠から逸脱した優しき英雄的な存在、一部スキルとステータスが偉業の達成により上方修正されました。
Name:第二騎士団長
種族:モンスター
職業:第二騎士団長
Level:表示不可
Skill:表示不可
称号:...../第二騎士団長/ソードマスター
※ファルネアス王国のNPCの中でプレイヤーに対して好感度が下回らなかった偉大な人物。
Name:表示不可
種族:人
職業:聖女
Level:表示不可
Skill:......./聖力(伝説級)[聖に関する技能統合]/神聖[神聖に関する技能統合]/聖なる威圧
称号:...../聖女
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「王国編第13話です。」
「久しぶりの霊人、ゴーストプリンセス様の登場です!」
「レイスちゃん達も元気いっぱいなようです。」
「アルカードさんは、初登場のように思われる方も多いかもしれませんが、過去にちょこっとだけ登場していたりします。」
「第30話でリリスと会話していたのがこのアルカードさんです。」
「どうやら血人だったようですね。」
「ちなみに大陸の書で、ゴーストプリンセスが文句をぶつぶつと言っていたのもこのアルカードさんに対して文句を言っていたのです。」
「さぁさぁ、そんなアルカードさんはどうやって皇太子殿下を救うのでしょうかね?」
「本日のサクッと解説ですが、本日ゴーストプリンセスがモンスターパレードと称して大量に召喚した技能について説明しましょう。」
「以前に大陸の書で解説したように、パーフェクトゴーストという称号に関して説明をしたと思います。」
「霊に関する召喚項目の完全制覇!」
「つまり、霊に関するモンスターであれば、何でも召喚可能だという事です。」
「そんな、ゴーストプリンセスが、モンスターパレードと言って空中も地上も埋め尽くすほどのモンスターの量を召喚したので......。」
「とんでもない数という事は分かっていただけたでしょうか?」
「まぁ、さすがに戦うために召喚したわけではないので戦闘向けの強力なモンスターは召喚していないようですが.......。」
「それでも数千を超える量のアンデットを呼び出したようです。」
「ちなみに呼び出したモンスターの例として。」
「デバフ系が出せるモンスターが多いようですね。」
「もう.....この子がラスボスでいいのでは?と思われるかもしれませんが、いろいろ出来ない事も多いので........。」
「出来ない事についてですか?」
「そうですね.........それこそ....."天秤"が傾くような事ですかね。」
「以上でサクッと解説を終了します。」
「いろんな質問やコメントをお待ちしております。」
「いつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「さようなら~。」
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