ー 64話
皇太子「...............。(小声)」
???「ア"?てめぇ何ボソボソと言ってんだぁ?」
皇太子「我が愛しき恋人の命を弄び奪った、貴様らプレイヤーの事を私は決して許しはしない。(小声)」
???「ひっひっひ、許さないだと?だからなんだってんだ。」
???「どうせ貴様らは、システムによって生み出されたプログラムに過ぎないんだ。俺達プレイヤーは、一度NPCやプレイヤーに殺されれば、死んだ人間として記録され俺達の事を探し出せなくなるだろ?」
???「さらに言えば、お前たちは俺達を本当の意味で殺すことなんてできないんだ。」
???「逆にお前達NPCは、プログラムの癖に俺達と違って一度死ねば完全にデータが破壊され消去されてこの世から消え失せる。いわば本当の意味での死と同義なんだからなぁ。」
???「何度殺されようが、死んでも覚えている事の出来る俺達プレイヤーは、何度でもお前達NPCを探し出し復習し絶望の淵まで叩き落とすことが出来る。」
ガキン(金属音)
???「悔しいかぁ?悔しいよなぁ。」
???「自分の恋人の敵討ちも出来ないなんてなぁ。」
皇太子「許さない........。」
皇太子「お前を......お前達プレイヤーを地の果てまで追いかけて殺してやる。」
System:伝説的な偉業を達成しました。[罪への清算]
System:全プレイヤーに緊急イベントのお知らせ。
System:出会いと別れの季節に突如として訪れた正義を掲げるモンスターをプレイヤー皆で協力して倒しましょう。
System:参加して下さるプレイヤーは、ファルネアス王国の貴族街までお越しください。
System:また、下記のクエストボタンをクリックすると、ワープしファルネアス王国の入り口まで転送されます。
System:警告:警告:警告:警告:警告
System:全プレイヤーに緊急イベントのお知らせ。
System:出会いと別れの季節に訪れた正義を掲げるモンスターをプレイヤー皆で協力して倒しましょう。
・
・
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Monster:♰イザナ・ファルネアス皇太子殿下♰
「貴様らプレイヤー共、我は決して貴様らの悪行を許しはしない。」
「楽に死ねると思うなよ。」
「どれだけ貴様らが蘇ろうとも、どれだけ我が傷だらけになろうとも、恋人の無念を晴らし何度でも貴様ら悪党共を死へ追いやってやろう!」
???「ア"?んだとゴラァ"。」
「まず手始めに.......貴様からだ。」
「王 国 騎 士 流 剣 術 奥 義
ガキン(金属が折れる音)
剣を振りかざした皇太子の剣が眩い光を放ち、振り下ろした瞬間、先ほどまで皇太子を嘲笑っていたプレイヤーをナイフごと真っ二つに半分に斬り割く。
キィーーーン(金属音)
全プレイヤーが皇太子に注目し、先ほどまでパニックになっていた民衆も貴族も騎士も全員が動きを止めて皇太子に注目しその場が一瞬にして静まり返る。
斬り割かれたプレイヤーは、赤いエフェクトとなって皇太子の目の前から消えてしまった。
[残虐非道の悪鬼は、モンスターの攻撃により死亡しました。」
「父上!(大声)」
皇太子は城門の方に振り返り、入口の方で息子の元へ急いで駆け寄ろうとして騎士に危ないからと抑えられた状態で固まっている父上である国王の方を見る。
国王「息子よ、早くこっちへ戻ってくるのだ!(大声)」
「父上、後の事は頼みます。」
国王「何を言っておるのだ!(大声)」
国王「息子よ!」
国王「息子よ!聞かぬか!」
国王「退かんか騎士共!」
騎士「な、なりません!陛下!」
騎士「いくら陛下の命令と言えど、聞けませぬ!」
騎士「陛下の安全が最優先でございます!」
執事「陛下.........。」
首を横に振るセドリックを見て、国王は抑えている騎士を突き飛ばして息子の方へ向かおうとする。
執事「陛下!」
目の前で両手を広げて立ちふさがる執事を見て、国王は涙を流し跪く。
国王「どうしてなのだ.......。」
国王「どうして、こんな事が.......。」
ドーーーン(衝撃波)
その瞬間、先ほど皇太子がいた場所から衝撃音と共に突風が吹き荒れ、
「プレイヤー共!よく聞け!」
「貴様らの蛮行を我は決して許してはおけぬ。」
「我は、貴様らプレイヤー共を皆殺しにし、我々NPCの尊厳と意志を取り戻す。」
「さぁ、何処からでもかかってこい!」
「かかってこないと言うのであれば、我から貴様らを死に追いやってやろう!」
Player「おい.......どうしろってんだよ。」
Player「俺達は、こんなのを望んでいない!」
NPC「..............。」
NPC「こ、皇太子殿下、ばんざーい!」
NPC「皇太子様......ばんざーい!」
周りのNPCが皇太子の言葉に、沸き立ち声援を送る。プレイヤー達はそれを聞いて後退りし後退する。
そこへ1人の男性プレイヤーが皇太子の元へ走って行き跪く。
Player「皇太子殿下、我々プレイヤーは、貴方達NPCとの争いを望んでいません!」
Player「悪しきプレイヤーがいるのは事実です。」
Player「我々が犯して来た事が決して許されない事だっていうのも理解しました。」
Player「これからは、我々プレイヤー達も心を改めてNPCに接していこうと思っています。」
Player「だから......どうか先ほど皇太子殿下が、悪しきプレイヤーを倒して下さった今、我々と話し合いをし解決いたしましょう!」
皇太子「...................。」
冷や汗をかきながらも、何とか言い切ったプレイヤーは、顔を上げて皇太子の方を見た瞬間、急いで下を見て俯く。
恐ろしい目でこちらを見つめ、今にでも殺してきそうな圧を皇太子の方から感じたからだ。
Player「あの......皇太子殿下?」
皇太子とプレイヤーの無言の状態が続き、先ほどまで沸き立っていた声援が消えて城門前は静まり返る。
皇太子「だから何だと言うのだ?」
皇太子「その言葉の真意は?誰が犯罪者共を取り締まる?」
皇太子「それに.....貴様らプレイヤーは死ぬ事もないのであろう?」
皇太子「これは、今まで貴様らプレイヤーが犯して来た事への清算に過ぎない。」
皇太子「話し合い?そんな事が言える
皇太子「だからな........。」
皇太子「すまない。(小声)」
一瞬、耳元で皇太子殿下の悲しそうな声が聞こえたような気がした。
その瞬間、世界が回転し視界が暗転する。
[―は、モンスターの攻撃により死亡しました。」
Player「キャァァァァァ!(叫び声)」
その場にいた全プレイヤーは、背筋が凍るような感覚に襲われて恐怖する。
Debuff:恐怖、絶望。
「さぁ、本格的に始めようか。今まで貴様らが犯して来た"罪の清算"を。」
騎士団長「ガッハッハ、皇太子殿下と共に私も最後までお供しましょう。」
騎士「我ら一同も最後まで殿下にお供いたします!」
聖女(ふふ......ふふふ...........こんなに面白い事になるなんてね。本当に最高だわ。)
顔を手で覆い隠しておぞましい笑みを浮かべる聖女は、この素晴らしい光景に歓喜する。
聖女(それじゃぁ、私のお役目もしっかり果たさなくちゃね。)
拡声聖道器を手に取り、箱の上に立った聖女は、皆に向けて演説する。
聖女「どうやら、皇太子殿下は悪しきプレイヤーの魂を殺害したことで、その怨念に取りつかれモンスターになってしまわれたようです。」
聖女「あぁ.....なんという事なのでしょうか........。」
聖女「プレイヤーの皆様、市民の皆様、ここは一丸となってあの皇太子を.....いいえ、モンスターを倒しましょう。」
騎士「な、何を言っているのですか!」
NPC「そうですよ。聖女様?」
騎士「それに、間違っているのはプレイヤーじゃないですか!」
聖女「まぁ、大変!皆さんも既にモンスターの洗脳にかかってしまっているのですね!」
聖女「私が、解呪してあげます!」
聖女「さぁ!皆さん私の近くに!」
Buff:聖力による影響(詳細不明)
騎士「な、なんと!私は、皇太子殿下に洗脳されていたのか!?」
NPC「こ、皇太子殿下の周りにおぞましい何かが見えるわ!」
騎士「あ、あれは!も、モンスターだ!」
「.........聖女よ。」
皇太子は聖女の言動に驚きつつ、今までの聖女の怪しい行動に全てのピースが当てはまり納得する。
「そうか.....我は騙されていたのだな......。」
「こうなる前に気付けていれば良かったものを........。」
「我が騎士達よ!命令だ。」
「今すぐこの場を離れ逃げよ。」
「いいえ、我々は最後まで殿下にお供いたします。」
「そうか........ならば我についてこい。」
Name:表示不可
種族:人
職業:国王陛下
Level:表示不可
Skill:..../王国騎士流体術(最上級)/王国騎士流剣術(最上級)/王の威圧
称号:...../国王
Name:セドリック・レイン・アルドリック
種族:人
職業:執事
Level:表示不可
Skill:..../王国騎士流体術(最上級)/暗器術(最上級)/闇魔法(上級)[闇に関する魔法技能統合]
称号:...../卓越した指導者/国王の執事
Name:♰イザナ・ファルネアス皇太子殿下♰
種族:人 → モンスター
職業:皇太子殿下
Level:99 → 370(?)
Skill:........../王国騎士流体術(中級) → 王国騎士流体術(伝説級)/王国騎士流剣術(中級) → 王国騎士流剣術(伝説級)/王の威圧
称号:...../皇太子/罪への清算
※システムの限界を突破し、願いと無念によりNPCという枠から逸脱した優しき英雄的な存在、一部スキルとステータスが偉業の達成により上方修正されました。
Name:第二騎士団長
種族:獣人 → モンスター
職業:第二騎士団長
Level:表示不可
Skill:表示不可
称号:...../第二騎士団長/ソードマスター
※ファルネアス王国のNPCの中でプレイヤーに対して好感度が下回らなかった偉大な人物。
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「王国編第12話です。」
「皇太子殿下は、システムによりモンスター認定されてしまいました。」
「何を思って、このようにプレイヤー全員を敵に?」
「なんて分かり切っていることですよね。」
「NPCの尊厳と意志を取り戻すためですもんね。」
「............本当にこのままでいいのでしょうか?」
「ここからの大逆転はあるのでしょうか?」
「以上でサクッと解説を終了します。」
「いろんな質問やコメントをお待ちしております。」
「いつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「さようなら~。」
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