ー 60話
国王「して、聖女様......教会側からは良き返事が頂けましたかな?」
国王は、聖女様との2回目の食事をしながら質問する。
聖女「国王様、ご機嫌を害されないと良いのですが、教会側からのお願いを2つ申し上げてもよろしいでしょうか?」
それを聞いた国王は、一瞬眉をひそめたが聖女様に向けて笑顔を向けて応えるが、内心では何をお願いされるのかがある程度予想で来ていた。
(1つ、寄付金のことだろう。)
聖女「それでは、1つ目のお願いなのですが、少しばかりの寄付を教会にして頂いてもよろしいでしょうか?」
聖女「昨今は「して、聖女様......教会側からは良き返事が頂けましたかな?」
国王は、聖女様との2回目の食事をしながら質問する。
聖女「国王様、ご機嫌を害されないと良いのですが、教会側からのお願いを2つ申し上げてもよろしいでしょうか?」
それを聞いた国王は、一瞬眉をひそめたが聖女様に向けて笑顔を向けて応えるが、内心では何をお願いされるのかがある程度予想が出来ていた。
(1つ、寄付金のことだろうな......。)
聖女「それでは、1つ目のお願いなのですが、少しばかりの寄付を教会にして頂いてもよろしいでしょうか?」
聖女「昨今は、魔族の動きが活発で......教会側としてもこのまま何もするわけには行かないのです。民のためにもどうか、少しばかりの寄付をお願いいたしますわ。」
(.......民のためと聞こえは良い事を言っておるが、実際は違うのであろう?)
(まぁ、この聖女に言っても仕方のない事なのであろうが......。)
国王「して、2つ目の願いとは?」
(祭事の事であろう?)
聖女「2つ目のお願いは、此度の祭事の件でございます。」
聖女「貴族以外の民も城門前に招いて、演説をさせていただけないでしょうか?」
国王「な!?」
(祭事の事であろう事はある程度予想で来ていたが、このような頼みごとをされるとは思っていなかった。)
国王「それは、貴族街の門を開けよとの事か!」
声を荒げてしまった国王は、我に返って溜め息を付き項垂れる。
聖女「はい、そうなります。」
国王「......聖女よ。」
聖女「はい、なんでしょうか?」
国王「其方も分かっておろう?」
国王「貴族共は、平民を.....いや、厳密には
聖女「はい、知っております。」
聖女「しかし、これ以上争っている場合ではないのではありませんか?」
聖女の眼差しを見て、国王は前聖女の事を思い出し、何も言えなくなってしまう。
国王「分かっておる。共に協力し合う事が何よりも大切であることは......。」
国王「しかし、その2つ目のお願いは聞けぬ願いじゃ。」
国王「分かっておろう?」
聖女「では、貴族の方々に承諾して頂ければという事でよろしいでしょうか?」
(.......何を考えておるのだ?)
(あの連中がそれを承諾するはずがないであろうに......。)
国王「聖女よ、其方は何も分かっておらぬ。」
国王「貴族共は、この2つ目の願いに関しては決して首を縦に振る事はないであろう。」
それを聞いた聖女は、手に持っていたフォークを置いて俯いてしまった。
(やはりこの小娘も.....前聖女のように心の優しい聖女なのであろう。)
(皆が協力し合い助け合える存在であると信じておる。)
聖女「でしたら、私が貴族の方々のいる場所に赴き、直接お願いを申し上げます。」
聖女「もし、承諾を得られた暁には、2つ目のお願いを聞いて頂いてもよろしいでしょうか?」
(......問題はそれだけではないのだが......。)
(まぁ、まずあの豚どもが簡単に首を縦に振るはずもないので不可能であろう。)
(ここは、承諾しておいて聖女に現実と言うものはそんなに甘くない事を教えてあげ、無理だと聖女が言った時に私が手を差し伸べて妥協案として、貴族街と平民街を分ける城門前での演説をしようと提案しよう......。)
(そうすれば、この小娘........いや、聖女様を前の聖女様とは違って我々が救う事が出来るかもしれない。)
(まずは、信頼を得なければならんな.....。)
国王「.....許可しよう。」
国王「しかし、貴族の.....それも貴族街の外で活動する貴族ではなく貴族街にいる貴族の過半数以上の同意書が必須である。」
そう言って、申し訳ななそうな顔をしながらも、国王は教会側の要求と聖女様のお願いを聞き入れる。
聖女様「ありがとうございます。」
聖女様「国王様の快いお返事に感謝いたします。」
聖女様の嬉しそうな表情を見た国王は、胸が苦しくなるが顔には出さないようにして、返事をする。
国王「良い.....。もしも何か入用であれば、メイドに頼みなさい。」
国王「我も出来うる限りで協力しよう.....。」
食事を再開した国王に、聖女様がまだ話があるのだと話をしだす。
聖女「国王様......。」
国王「どうした?聖女よ、お願いは2つではなかったのか?」
聖女「はい......。教会側のお願いは2つです。」
聖女「これは.....私自身のお願いになるのですが。」
その言葉を聞いて、教会から助けて欲しいと言われることを期待するのだが、
国王「言ってみなさい......。」
聖女「よろしければ、私にあのメイドを頂けないでしょうか?」
予想外のお願いに、国王は咳払いし今聞いた事をもう一度確認する。
国王「メイド....というと、其方に付けたメイドか?」
聖女「はい、あの子がとっても気に入りまして、良ければ私専属の神官にしたいと思っております。」
それを聞いた国王は、驚いて少し考え込んでしまった。
(もしや何か.....王国側の情報を得ようと?)
(しかし、この聖女は白であるからまずそれは、ないであろう。)
(だとすれば、本当に気に入ったということか。)
(暗部からは、メイドと凄く仲が良いという報告も聞いておるし、聖女も教会側で良い扱いをされておらず、寂しいのであるかもしれん。)
(それに、教会に我が国の民を連れて行くのは気が引ける。)
(しかし、これはチャンスでもあるかもしれない。)
(教会に王国のメイドを侵入させることが出来る。)
(これで、向こうの情報を手に入れる事が出来る.....さらには、聖女様に万が一の事があった時に、メイドを使って教会に王国の兵士を送り助け出すこともできるかもしれぬ。)
聖女「やはり、聞けないお願いだったでしょうか?」
聖女「王国の大切な民ですものね......。」
悲しそうに落ち込む聖女を見て、やはりこの聖女は白だと断定した国王は、聖女のお願いを聞き入れる。
国王「よかろう、ただし本人の意思を最大限に尊重する事が条件である。」
国王「また、我が国のメイドを連れて行くのであれば、連れて行くことを事前にお伝え願おう。」
聖女「はい、ありがとうございます。」
聖女「国王様......本当に感謝いたします。」
涙を流しながら笑顔を向ける聖女を見て、国王は胸が苦しい思いでいっぱいになってしまった。
(やはり.....教会ではぞんざいに扱われてきたのであろう。)
(あ奴らは、信仰心さえ手に入れば、後の事などどうでも良いのだろう。)
(心優しき者が救われないのは、なんとも不憫でならない。)
聖女が涙を流しながら、下を俯いた瞬間、国王は背中に寒気を感じ聖女の方に向き直る。しかし、聖女はどうかしましたか?と言わんばかりのきょとんとした顔をし、笑顔を向けてくるだけであった。
(我の気のせい....であろう。)
聖女「それでは、御食事も終えた事ですし、私はこれで失礼いたします。」
国王「あぁ.....聖女よ。」
聖女「はい、いかがなさいましたか?国王様。」
国王「困った事があったらいつでも言いなさい。」
聖女「国王様のお心遣い感謝いたします。」
一礼をして部屋を出て行った聖女は、自身の部屋に戻る。
(危なかったわ.......。)
聖女は先ほど嬉しさのあまりに、あのおぞましい顔をしてしまっていたのだった。幸い国王に気付かれることは無かったが、気を抜くわけにはいかない。せっかく、良いペットが手に入りそうなのだから。
聖女「まぁ、それよりも貴族から過半数の同意書がいるのよねぇ。」
聖女「でも.....その半数以上の同意書が今では、私の手の中にあるのだけれど。」
ニタァっと笑う聖女は、聖遺物を使用して亜空間から貴族たちの同意書を取り出して微笑む。
ちなみにこの同意書は、司教の働きによって手に入れた物がほとんどだ。
そして、黒服を使って私に届いたってわけで......。
聖女「ふふ、王国の未来は明るいわね。」
ゴロゴロゴロ(雷の音)
今日も今日とて、天気が悪い王国の空、まるで王国の未来を暗示しているかのように、暗くそして、明るく雷が照らし鳴り響くのであった。
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食事を終えた国王は、溜め息を付いて真っ暗な外を眺める。
国王「暗部.....。」
???「ッハ、国王陛下。お呼びでしょうか?」
国王「即刻、聖女の監視を辞めよ。」
???「よろしいので?」
国王「.....確実に白だと分かった今、もう監視も必要ないであろう。」
???「畏まりました。」
ッシュ(消える音)
執事「......陛下。」
国王「これでよいであろう?」
執事「ありがとうございます。」
執事「私は.....聖女様の事を思うと、今も心が張り裂けそうです。」
国王「.......今回は、どうにかして聖女様もお救いしよう。」
国王「幸い、こちら側からメイドを1人送る事が出来る。」
執事「誠でございますか?」
執事「あの教会が外部の....それも王国側の人間を?」
国王「あぁ、聖女様が気に入ったそうだ。」
国王「それならば向こうも断る事は出来ぬであろう?」
執事「確かに.....それならば、しかしそのメイドは大丈夫でしょうか?」
国王「.....今のままでは何も出来ぬであろう?」
国王「執事よ、貴殿が教えて育て上げよ。」
国王「期限は、そうだな......。」
国王「2か月と少しくらいは時間があるであろう?」
国王「今から、あの聖女が豚どもに同意書を貰いに行くことを考えれば、それくらいの期間になろう。」
執事「畏まりました。」
溜め息を付いた国王は、今回の事で頭を悩ませるのであった。
Name:表示不可
種族:人
職業:聖女
Level:表示不可
Skill:......./聖力(伝説級)[聖に関する技能統合]/神聖[神聖に関する技能統合]/聖なる威圧
称号:...../聖女
Name:ファミリス
種族:人
職業:メイド
Level:表示不可
Skill:表示不可
称号:平民/王宮メイド
Buff:聖力による影響(詳細不明)
Name:表示不可
種族:人
職業:国王陛下
Level:表示不可
Skill:..../王国騎士流体術(最上級)/王国騎士流剣術(最上級)/王の威圧
称号:...../国王
Buff:聖力による影響(詳細不明)
Name:セドリック・レイン・アルドリック
種族:人
職業:執事
Level:表示不可
Skill:..../王国騎士流体術(最上級)/暗器術(最上級)/闇魔法(上級)[闇に関する魔法技能統合]
称号:...../国王の執事
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「王国編第7話です。」
「あらら、既に同意書まで手に入れてしまっているご様子。」
「すべて計画通りだったようですね。」
「もしかして前回、司教の契約が取れたというのが同意書の事だったのでしょうか?」
「私はてっきり、資金の事だと思っていたのですが......。」
「本日のサクッと解説は、お休みです。」
「サクッと解説ではないですけど、国王様もいつの間にかBuffがついちゃってますね.....。」
「恐ろしや......。」
「いろんな質問やコメントをお待ちしております。」
「いつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「さようなら~。」
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