大陸の書
大陸の書
このゲームは、マップがとてつもなく広大で数多くの大陸が存在する。
そのため、まだ誰も訪れた事ない大陸やダンジョン、見た事の無いモンスターや植物等が数多く存在していると言われている。
例えば、このゲームでまだ誰も見た事の無いと言われているモンスターの中で一番有名なものだと、"怪物"や"ラスボス"と呼ばれている存在だ。
チュートリアルを始める前に誰もが知る事になるこのゲームの世界の成り立ち、蝙蝠のような醜い翼が生えていて、額には角が生えている恐ろしい"怪物"という存在がいることが語られ、それを倒すために我々プレイヤーがいると誰もが信じているのだが、そんなラスボスを誰一人まだ見たことが無いし、そのボスがいる場所まで知られていない。
そんなゲームで遊んでいるプレイヤー達の中には、誰も見た事の無い植物やモンスター、大陸やアイテム等を探し、一番最初に発見する事を目標に、多くの時間やお金を掛け、探索しているプレイヤーが存在する。
自身を"探検家"や"トレジャーハンター"等と名乗り、誰よりも先にマップを知りつくし、誰よりも先に多くの情報を手にしている。
そんなプレイヤー達がいても誰も、このゲームのラスボスに出会えていない理由には、いくつか仮説があった。
1:誰も辿り着くことが出来ない、踏み込むことすら不可能なレベルの高難易度な領域にいるため。
これが一番有力な仮説であり、例えばチュートリアルが終わり、皆が最初にスポーンする街、"ヴィギルア"ここの近くの森がいい例である。難易度が非常に高く、誰も生きて帰れないという鬼畜なレベルの難易度ではないにしろ、普通のプレイヤーは誰も入りたがらない森の中、木々が生い茂るだけでなく、川や崖等の地形も入り組んでおり、迷子になりやすいため探索もなかなか行き届かないでいるのだ。
そのため、探検家やトレジャーハンター達でさえ、なかなか探索しない場所なのである。
他にも、水や食料も無く、歩くたびにHPが削られ続ける砂漠、一面雪景色で、常に寒い吹雪の中を進み続けなければいけない氷山、呼吸が続かないため実質不可能だと言われる海の中、空を飛ぶ方法が一部の方法しか限られておらず、アイテムの製作がなかなか出来ないでいる火や蒸気を利用した気球や空中船や魔法船等で向かうしかないであろう存在すら不明な天空の存在、また難易度が高すぎて踏み込むことすら許されない大陸等がある。
補足して説明しておくと、探索家やトレジャーハンター達は、罠の回避やモンスターから逃げる技、罠の解除等がメインであるため、なるべく戦闘を避け、速やかにマップを埋めてアイテム等拾える物をかっさらっていく傾向にある。そのため、足場が悪くさらには、アイテムがあまり手に入らず、背後からの奇襲や地形を活かした戦い方をするモンスターが多い森の中等の一部の地域は、あまり探索をしたがらないのである。
2:そもそも存在しない可能性。
これだけ多くのプレイヤーがいて、レベルの高い人間もそこそこいるのに対し、まだ情報が一つも上がっていないのは、そもそも存在すらしていなくて、あれはゲームを楽しませるための一種の演出にしかすぎないという説だ。
これには、理由があり、ボスが倒されてしまった時のこのゲームがどうなるのかという疑問や、もし誰も到達する事の出来ていない高難易度な領域にそんな化け物がいるのであれば、誰もクリアする事ができないだろうという事だ。さらに、もしボスがいる場合、他の種族がどうなるのかという話だ。プレイヤーは最初に8種類の種族を選ぶことが出来る。その中の3種は明らかに敵側の種族であるため、もしボスが存在し、倒せるのであれば、いろいろと不都合が生じるだろうという話だ。
3:すでに倒されているため。
もし、倒されているのであれば、誰も見つけることが出来ないし場所も知る事ができないのは納得だ。
この説の理由には、過去に勇者がいたという話が元ネタである。絵本や童話、小説に本やNPCの話の中で、よく過去にいたであろう勇者の話が出てくるのだ。特に教会関連のクエストや、教会が開催するお祭りや村や都市でのお祭りで勇者に関する話を聞くことが多く、勇者をモチーフとしたお土産や、劇などまで存在する。そのため一部のプレイヤー達の間では、すでに倒されていて、これは倒された後の世界を探索するゲームなんじゃないか?という話だ。
ただこれには、否定する人間も数多く存在する。
理由は、それだとつまらないという話だったり、最初にチュートリアルの前に説明される内容が嘘をついていることになるし、その場合詐欺である!という話が多く上がるからだ。それに教会でたびたび魔族の話や、怪物の話が出るのはおかしな話である!というのもこの話を否定する理由に大きく貢献している。
4:新たな怪物の誕生。
これは、掲示板で書かれたとある投稿がきっかけとなって出来た説なのだが、新たな怪物いわゆる魔王がそのうち誕生するという話だった。
この説の理由には、敵側の陣営である魔人や、血人、霊人等が存在している点や、たびたび教会で、怪物を打倒しましょうという話などが多く上がる点、さらには最近になって勇者が誕生したという噂が流れたからだ。
そのため、新たな怪物が封印から解き放たれるか、召喚されるかして、この世界を暗黒に変えてしまうため、その前準備の段階なのだという話だ。
最初は、この話に対して、「バカげている。」「アホか。」「そうだったらいいな。」くらいの話でしか聞いていなかったプレイヤー達も、最近クリスマスの日に変なイベントがあり、それが魔族に関連したクエストであったと教会で発表したため、信憑性が生まれ、多くの人が議論している。
ちなみに掲示板で投稿した人曰く、「なんかすげぇ大事になってる.....。」だそうだ。
どうやら適当に言ったことが、それっぽく偶然、辻褄が合ってしまったらしい。
5:隠している可能性。
一部の高レベルプレイヤー達が、他の誰かが先に攻略されることを恐れて、情報を隠しているという説だ。
これには、多くの有名ギルドやランカーと言われる強いプレイヤー達が否定をしたが、掲示板が大荒れしてしまったため。結局はこの話はうやむやになり、誰かがやっぱり隠しているという風に結論付けられて終わってしまったのである。
補足しておくと、ギルドはゲーム内のシステムとは、全く関係ありません。例を上げておくと、"冒険の書"で出てきた生産組合の話などがそうです。
プレイヤー達が集まって代表を決め、物件を買って組合として運営しているような感じです。そのためゲームのシステムではなく、ゲームの中でプレイヤー達が作った会社のようなものですね。
ランカーについても補足しておくと、これもゲーム内のシステムとは、全く関係なく、ゲームでプレイヤー達が開いた大祭等で行ったPVP等にランキング付けしただけのものになります。そのため、ランカーと言われていても地域によっては、別の大会等が開かれており、ランキング1位を名乗る人が何人かいたりするようです。ただこれは、今後何処かの誰かが作ったサイトが掲示板にアップされたことで、そのランカーのランキングが今何位であるかが周りに周知されるようになったことで解決したようなのですが......。
いったい誰がそんな物を作ったのでしょうか?
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このように、まだまだプレイヤー達に数多くの事が知られていないゲームとなっています。
そんな場所であるはずの、情報が一切ない高難易度な場所にいるプレイヤー。
「はぁ......ど~してなのぉ。いっつもい~っつも私にばっかり、あれやれこれやれって.....。自分の部下には、あんなに優しいくせに!」
メガネをくいっと上げながら、目を細めて私を睨んで来るあの忌々しい奴の顔を思い浮かべて、溜め息を付く。
「もぉ~!塔なんてどうでもいいでしょ!」
「翼あるんだから飛べよ!羽ばたけよ!私も飛べるからそれでいいでしょ!」
「というか塔作るくらいなら、魔法で作れよ!というか気球でも飛行船でも作りなよ!そっちの方が楽だし早いでしょ!」
「魔法ある世界なんでしょ!このアホポンタンのタコのすけ!」
「ぜぇはぁ.....ぜぇはぁ......あ~もぉ.....勇者ちゃんは、全く私の話聞いてくれないし、上司もまともに話を聞いてくれないし、パパとママも私の事無視するし.....皆み~んな大っ嫌い!でも......お菓子くれるイブちゃんは大好きかも。」
よだれをタラっと垂らしながら、ふと我に返ってよだれを拭う。
「っは!?またあのクソメガネに怒られる!」
「ほら、レイスちゃん達、集まって!」
「ひゃ~あ」「ひゅ~あ」「ひぃ~あ」
「ほらほら、整列!こっからこっちまで調べて~あとは、生態系も調べて~。」
「ひゅあ?」
「いいから、これもってメモしてきて!」
「ひゃ~あ」
「え?めんどくさい?」
「ダメ!貴方達のお仕事なんだから!」
「ひぃ~あ」
「え?私は仕事してないくせに?」
「って!私はちゃんと仕事してるでしょ!」
「私の能力なんだからこれがお仕事だし、貴方達がやってることは私の手柄なのよ!」
と言ってフン!と言ってレイスに怒ってあげる。
「ひゅあ~。」
「な、なによ!」
「ひぃ~~あ」
「分かったわよ!報酬としてお菓子あげるから!」
「いたずら禁止!」
「もう、ほんと.....なんなのよ!使えない能力よね。」
「ひゃ~あ!」
「わ、分かったわよ!言い過ぎたわよ......ごめんなさい!」
「これでいいでしょ?」
「ひゅ~あ」
「も~、分かったわよお詫びにお菓子多く渡すから!」
「ひゃ~あ」「ひゅ~あ」「ひょ~あ!」
「はいはい!もう行って!」
「はぁ.....もう!使えないなんて本当に思ってるわけないわよ.....。(小声)」
(本当は、ここに1匹か2匹残して私の世話して貰うつもりだったのに!)
(あんな小言言われるんじゃ溜まったものじゃないわ!)
(まぁでも......リアルみたいに1人になるよりかは、ましよね........。)
上を見上げながら、魔法で"ミミックハウス"を召喚しソファーの上に寝っ転がりペロペロキャンディーを舐める。
「私のお菓子......。まぁイブちゃんにまた貰いに行くからいいけど.....。」
インベントリーの中身を見て溜め息を付いた私は、ごろごろしながらレイス達の報告を待つ。
「ひゃ~あ」
「なに?」
「ひゅ~あ」
「働けって?報酬渡すんだからいいでしょ?」
「ひゃ~あ」
「俺たちは、働いてるから報酬を貰ってるけど、私は何もしてないのにお菓子を食べてるのがずるいって?」
「ひぃ~あ」
「分かったわよ、もう!」
立ち上がって、浮遊し魔法を唱える。
「サーチアイ♡」
「これでいいでしょ!私も働いてる!」
「だからストライキ辞めて働きなさい!」
溜め息を付いてから、今空中から見ている
「もぉ~、私がイブちゃんのところに来たのは、こんなに働くためじゃなくて....お菓子を貰って毎日、ごろごろして過ごすためだったのに......。」
「ひゅ~あ」
「え?なに?」
「ひゅ~~~あ!」
「頑張って主?」
「わ、分かってるわよ!頑張るわよ!」
真っ赤な顔でそっぽを向きながら、必死にメモを取って仕事をする。
「よしっと、あとはあの子たちの報告ね。」
「それまで私は寝るわ。」
「ひゅ~あ」
「ん?お疲れ様?」
「ありがとう!そっちも私が起きるまでそこに置いてあるお菓子食べてていいからね。」
「言っとくけど、他の子達にも分けなさいよ!」
「ひゅ~あ」
「それじゃぁ、おやすみ。」
ソファーの上に寝っ転がった私を見て、レイスはテーブルに置いてあるお菓子の箱に手を伸ばして必死に5等分に分けている。
「ガタン!?」
「ひゅ~あ!」
貰えると思っていなかったミミックハウスが、驚いて家具を揺らしながらレイスに反応する。
「ガタンガタン?」
「ひゅあ」
震えながら、貰っていいのか聞くミミックハウスに(゚д゚)(。_。)ウン(゚д゚)(。_。)ウンと頷くレイスを見て、ガタガタと震えだす。
「もぉ~、寝てるんだからガタガタしないでぇ.....。(小声)」
「カタン.....。」
「そぉ.......静かにお願いね~......。(小声)」
嬉しそうに小刻みに揺れながら、貰ったお菓子をむしゃむしゃと食べる。
レイスもそれを見てむしゃむしゃ食べる。
戻って来たレイス達も、自分たちの分は?と首を傾げて見下ろしているので、しっかりと分けてあげ5匹(?)なかよく分け合って食べたのであった。
PlayerName:不明
種族:霊人
職業:
Level:不明
Skill:不明
称号:..../Perfect Ghost(パーフェクトゴースト)/GhostPrincess(ゴーストプリンセス)
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「第30話、第34話に出てきたゴーストプリンセスさんのお話のようです。」
「今回は、いろいろな話が出てきましたね。」
「大陸の話や、塔の話、それから仮説等。」
「それにイブちゃんって誰でしょうか?」
「それでは、本日もサクッと解説をやっていきましょう。」
「今回の解説は、称号:Perfect Ghost(パーフェクトゴースト)と職業:
「職業:
「また、称号:Perfect Ghost(パーフェクトゴースト)が、霊に関する召喚項目を全て納めた人にのみつく称号で、これを持っている人は全ての霊に関するモンスターの召喚が可能だという事です。」
「ミミックハウスって霊なの?に関してですが、ミミックハウスは生物よりであるため正式には霊ではなく、普通に生きている擬態型モンスターです。」
「しかし、ミミックハウスの上位存在であるゴーストハウスが召喚できるため、その下位であるモンスターも召喚できるようです。」
「つまり、上位存在が召喚できるのであれば、だいたいの下位である存在のモンスターも召喚できるという事です。」
「それに霊特化版の特殊職業ではありますが、前職に召喚士を納めておく必要があるため、召喚士の出来ることは、たいていできます。」
「ただし、霊特化版と言われるだけあって、召喚された霊系以外のモンスターは、霊モンスターよりもレベルや能力が低いようです。」
「以上で解説を終了します。」
「質問や解説してほしいものがある人はいつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「それでは、ばいば~い。」
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