ー 50話
トコトコ(足音)
聖女「何かあったのですか?」
神官「せ、聖女様。」
騒がしい様子の下級神官たちに、聖女は何があったのかを質問する。
慌てた様子の下級神官たちは、聖女様を見て口を紡ぎ、ソワソワした様子で向こうの方を見ては下を見てキョロキョロしている。
神官「せ、聖女様....その........。」
何処か様子のおかしい神官達に、溜め息を付いた聖女は、
聖女「もういいです。下がりなさい。」
と言い、先ほど神官たちが見ていた方へ歩き出す。
(全く、私が巡礼している間に何があったというのよ。)
(使えない神官に使えない聖騎士......本当に嫌になるわ。)
やれやれと言う風に頭に手をやり、下を向きながら歩いていると、
ぴちゃ......(雫が落ちる音)
天井から肩に何か雫が落ちて来た。
(本当に....ここの下級神官達は役立たずね。廊下の掃除もまともに出来ないのかしら。)
と上を見上げて、聖女様は不敵な笑みを浮かべる。
聖女「ねぇ.......。」
神官「は、はい!」
近くにいた下級神官の肩を思いっきり掴みかかりこれが何か聞く。
神官「っい.....あの、地下にいた化け物が......。」
と言う言葉を聞いた瞬間、おぞましい笑顔を見せた聖女は、下級神官の肩に爪を喰い込ませて、大声で笑う。
聖女「ついに出来たのね.....。」
そのまま聖女様は、下級神官を突き飛ばし、そのまま血まみれの廊下を渡り、破壊された扉を蹴飛ばし地下に進んで行く。
聖女「あら.....あの変態はいないのね。」
パンパン(手を叩く音)
聖女様が手を叩いた瞬間、聖女様の後ろに黒い服を着た人物が現れて、全員がピシっと整列をした状態で聖女様の命令を待つ。
聖女「ここで何があったのか、あの変態がどこにいるか教えなさい?」
黒い服「ッハ、カール様の実験は成功したようです。」
黒い服「しかし、制御が出来なかったようで、この有様です。」
黒い服「当の本人は、C地点に行くとのことでした。」
喋り終わった黒い服の人物は、そのまま何処かへ消えて去って行ってしまった。
聖女「はぁ.....あの研究馬鹿は、生きてるのね。」
辺りを見回し、悲惨な状態の研究室を見た後に溜め息を付く。
聖女「後片付けもしないで、しかも"動物"の管理も出来ないなんて.......。」
聖女「使えない.......。」
チリン(鈴の音)
特級神官「はい、聖女様。」
鈴を鳴らした瞬間、いつもとは違う白く綺麗な服装を着た女性神官たちが現れる。
聖女「ここの後片付けを頼むわね。それと、この地下室を知った人、上で何かを見た人......それから邪魔な"動物"も........。」
聖女「全部消しなさい。」
特級神官「畏まりました。」
聖女様の命を聞き、頭を深く下げた神官たちは、聖女様に何名かついて行き、何名かは地下に残って掃除に取り掛かる。
特級神官「はいはい、皆さん。先ほど聖女様のおっしゃられたように、これからここの大掃除の時間です。」
一級神官「はい。」
特級神官「心してかかりなさい。」
それを聞いた一級神官たちは息をのんで、皆深々とお辞儀し、掃除に取り掛かる。
特級神官「はぁ、あのバカの後始末を私達がしないといけないなんてねぇ。」
溜め息を付いた特級神官は、上にいる下級神官達が少し不憫に感じるが、聖女様の命令であるため仕方がないかと割り切って考える。
バタン(扉を閉める音)
2階にある綺麗な部屋にやってきた聖女様は、溜め息を付いて神官を見つめる。
特級神官「聖女様。お召し物を頂いてもよろしいでしょうか?」
聖女「そうね......先ほど、ここの下級神官の掃除の出来が行き届いていないせいで、天井から垂れて来た血で汚れたの。」
と、何事もなかったかのようにサラっと言った聖女様は、来ていた上着を脱いで神官に渡す。
特級神官「こちらは、新しい物を用意いたしますね。」
と言い、受け取った上着を二級神官に渡して、そのまま聖女様の側に仕える。
聖女「
特級神官「はい、私どもは聖女様のお世話係ですので。」
特級神官「聖女様がお気になさらずとも、命令通り私どもが速やかに処理いたします。」
と丁寧にお辞儀をし、聖女様に微笑みかける。
聖女「そう.....なら問題ないわ。」
聖女「あぁ、そうだったわ。あの変態が作ったっていう"動物"は、どうなったの?」
特級神官「どうやら森の方へ逃げてしまったようです。」
はぁ....とため息を付いて呆れた顔をした聖女様は、
聖女「勇者様の捜索は、一旦辞めね。」
と言い、心底残念そうな顔をしてソファーの上に座る。
特級神官「よろしければ私達が速やかに処理いたします。」
と言う神官に、
聖女「貴方達がどうにかこうにか出来る話じゃないでしょ?」
と言い、机の上に置いてあるティーカップを取って紅茶を飲む。
特級神官「差し出がましいことを言いました。お許しください。」
と言い、丁寧にお辞儀した神官に、
聖女「いいわよ。本当貴方達って........。」
と言ってからティーカップを置いて、溜め息を付く。
聖女「私が勇者様を探しに行こうかな?(小声)」
バタン(扉を勢いよく開ける音)
大司祭「行けませぬぞ。聖女様!」
と大声で怒鳴りながらやって来たもう歳のせいか頭に毛が一本も生えてない禿が入って来る。
聖女「はぁ、分かってるわよ。」
聖女「これだから年寄りは嫌ね.....だから禿るのよ。(小声)」
大司祭「聖女様!私の
と言いカンカンに怒った大司祭は、聖女の言った言葉を否定する。
聖女「あら、いつから私よりも偉くなったのかしら?」
と言い片手にティーカップを持って優雅に紅茶を嗜んでいる聖女は、大司祭の方を見て不敵な笑みを浮かべる。
大司祭「ッグ.....と、とにかく!行ってはいけませぬ。」
大司祭「近頃何かとおかしなことが起こっているのと、聖女様にはやって頂かなければならない事があるのです。」
と慌てて別の話に持って行った大司祭は、冷や汗をかきながら聖女様を説得する。
聖女「分かっているわ。あの"クリスマス"だとかいう良く分からない名前の大祭の時に起きた事件を全て魔族側のせいにするんでしょ?」
大司祭「せい、ではなく実際にあの者達がしたのです。」
と冷や汗を拭いながら、聖女様を睨む。
聖女「はいはい、あの人たちのせいなのよね。そういう筋書きだったわね。」
大司祭「た、頼みますぞ。これは、あの方に頼まれた使命なのでございますから!」
と言いながら慌てた様子で部屋を出て行った大司祭は、最後にお願いしますぞ!とだけ念を押して行ってしまった。
聖女「はぁ....本当にとんだ茶番よね。」
と、神官の方を見つめて溜め息を付く。
特級神官「......................。」
聖女「はいはい、貴方達は何も言えないわよね。」
ともう一度ため息を付いた聖女に、神官は丁寧にお辞儀をし、黙ったままその場に立ち尽くす。
(今日はうんざりする日ね.....何回溜め息を付いたかしら.....。)
(どっかの誰かさんがそういえば、幸せは溜め息を付くと逃げていくって言ってたのよね......)
と思いながら、ティーカップをそっとテーブルの上に置く。
聖女「それじゃぁ、聖騎士全員を集めるように伝令を出しておいてね。」
黒い服「ッハ!」
いつの間にかソファーの後ろに立っていた黒い服の人物は、聖女様の命令を聞いて何処かへ消えてしまった。
Name:表示不可
種族:人
職業:聖女
Level:表示不可
Skill:表示不可
称号:...../聖女
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「聖女様が巡礼から帰って来たようです。」
「これからどうなるのでしょうかね?」
「聖女様曰く、本当に使えない人間ばかりで嫌になるそうです。」
「それでは、本日もサクッと解説をやっていきましょう。」
「そうですね。本日は階級についてやっていきましょうか。」
教皇と聖女 → 神聖守護騎士 → 大司教 → 司教 → 守護騎士 → 大司祭 → 司祭 → 聖騎士 → 神官と騎士
「と言う風になっています。」
「正確に言うと騎士の中にも階級があり、大司祭よりも偉い立場の騎士も存在しますが、ここでは省略しましょう。」
「さらにさっきのような黒服の別動隊も存在しますので、階級を正確に言うともっと複雑になります。」
特級神官 → 一級神官 → 二級神官 → 三級神官 → 四級神官 → 白服の神官見習い → 黒服の神官見習い
「と言う風に神官の階級はなっています。」
「黒服は基本平民で、白服は基本元貴族や商人と言う風になっています。」
「ちなみに商人は、商人でも平民であるため一部灰色の服の神官も存在します。」
「階級が露骨に存在しているため、日ごろから虐めなども陰では起こっているようです。」
「それでは本日のサクッと解説を終了します。」
「質問や解説してほしいものがある人はいつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「それでは、ばいば~い。」
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