ー 48話

聖夜の老神が倒される前の話。

ユーマ「こんなところにいたんですね。」

大聖堂の祈りの間にやって来たユーマは、フードを被った女性に話しかける。

ヒカリ(?)「誰?」

と言い振り返ったヒカリは、フードが取れて長い髪が靡き月明りに照らされる。

ユーマ「驚かせてしまいましたね.....すみません。」

と言って瓦礫を退かし、彼女に近づこうとすると、

ヒカリ(?)「来ないで。」

と言われてしまいユーマは、その場に立ち止まる。

ヒカリ(?)「あなた.......魔族だったの?」

と聞かれるが、ユーマはそれを否定する。

ユーマ「いえ、違いますよ。族で言うとあなたと同じ人間です。」

と応えるが、ヒカリは横に首を振り、そんなはずはないと言う。

英雄の時は見えなかったのだが、勇者になったことで仮面の男に禍々しいオーラがまとってあるのが分かる。

ユーマ「私は本当に魔族ではないんですけどね......。」

と言って溜め息を付くと、

ヒカリは、嘘をつかないでと言い後退りする。

近づくのを辞めて少し離れた場所の瓦礫の上にユーマは、腰を下ろして座り、女性に向かって話がしたいんですけど構いませんか?と問いかける。

ヒカリは、少し迷った後に頷いて少し離れた場所に座りフードを深く被って黙ってしまった。

ユーマ「まずは、自己紹介から........。」

ユーマ「私の名前は、グリードです。種族は、人で職業は剣士です。」

ユーマ「貴方は?」

と言い、フードの女性に問いかける。

ヒカリ(?)「ヒカリ.....種族は人.....職業は知ってるでしょ?」

と言ってそっぽを向く。

ユーマ「はぁ.....私は別に貴方に対して何かした覚えは全くないんですけどね。」

ユーマ「むしろ助けたと言っても過言ではないと思うんですけど。」

と言いユーマは上を見上げて溜め息を付く。

ヒカリはそれを聞いて何も反論する事が出来ずに、下を向いたまま黙ってしまう。

ユーマ「出来れば、仲良くして頂きたいんですけどね.......。」

ユーマ「無理そうなら、私とは仲良くしなくてもこちら側で、時間がある時で構いませんので協力してほしいですね。」

と言ってニコっと笑って見せるがたぶん仮面で見えていないだろう。

ヒカリ(?)「それは......。」

と彼女が何か言いかけた瞬間、後ろからイラフィリスが走って来て。

「やっと見つけた!」

と息を切らしながら、

「早く!何してんのよ!このままじゃプレイヤー達たくさん死んじゃうわよ!」

と言い、手招きする。

ユーマ「取り敢えず、話は後にして先にボスを倒しちゃいましょうか。」

と言って立ち上がった仮面の男の腕をイラフィリスが早く来なさいよと言って引っ張る。

ユーマ「貴方、初対面で......まぁいいですけど、すぐ行きますんでそんな急かさないで下さい。ちょおま.......。」

と言って腕を引っ張られて連れ去られてしまった。

ヒカリは、その光景を見て立ち止まっていたのだが、ふと我に返ってすぐに向かわないとと思い彼らを追いかける。

大聖堂に着くとすでにボスの姿は無く、プレイヤー達が召喚されたであろうモンスターと戦っていた。

ユーマ「どうやら、ラウンドを飛ばしたことで、袋の中に残っていた玩具がボスのアシストとして召喚されてしまったようですね.......。」

(結局.....意味なかったじゃないか。)

と呆れてユーマは悪態をつく。

遅れてやって来たヒカリは、この光景を見てすぐさま剣を構える。

ユーマ「ここは、任せても構いませんか?」

と言い私は、向こうに行ったと思われるボスを追うのでとジェスチャーするが、

ヒカリ(?)「貴方がここをやりなさいよ。」

と言われて、それじゃぁ半分ずつ倒しましょう。と言う感じで話は収まった。

プレイヤー達がモンスターに押されている中、後ろから勢いよく駆け抜けてきたユーマとヒカリは、それぞれ1体ずつモンスターを攻撃する。

Monster:パペットドールハウス

「シュアァアァ」

Monster:聖霊の魔女

「ヒャッヒャッヒャアァ」

後ろに吹っ飛んだ2匹のモンスターは、身体を起こして反撃する。

それを華麗に避けた二人は、カウンターで攻撃し、モンスターを押しのけていく。

周りのプレイヤー達もそんな二人を見て、やる気を漲らせ、二人に続いて攻撃する。

みるみるうちにモンスターのHPは減っていき倒されエフェクトとなって消え、それと同時に空から雪が降りだす。

リン(鈴の音)

何処からか鈴の音が大聖堂の周辺から鳴りだし、全員がそれに反応するが何処から鳴っているのか分からない。

取り敢えず残りの2匹のモンスターを攻撃し、ラストスパートにかかる。

プレイヤーの人数も増えた事で、2匹のモンスターはあっという間に倒され、二人はそのまま大聖堂を抜けて街の中へ入る。

ヒカリ(?)「一体どこにいるのよ.......。」

と言い悪態をつく彼女に、

ユーマ「鈴の音がする方角じゃないか?」

と言って走り出す。彼女もそれを聞き、屋根を伝って走り出した。

リン リン(鈴の音)

次第に鈴の音も大きくなり、数も増えたように感じる。

街の入り口付近に差し掛かった時、衝撃音と砂埃が舞っている場所に目が入る。

ユーマ「あそこだ。」

二人は急いでその場所に駆け寄って本日2度目のありえない光景が目に入る。

次々と現れる真っ赤なウィンドウにエラーと書かれて囲まれている異質な形のモンスター......。名前も文字化けして読むことが出来ず、HPバーも減ったり増えたりを繰り返している。

俺は、そのままモンスターに剣を突き出し走り抜け頭部であっただろう部分を切り抱いて吹き飛ばす。

そしてヒカリは、屋根の上から降り立ち、そのままモンスターを真っ二つに斬り割いてしまった。

弾け飛んだエフェクトは、雪の粒と混じり合って消えてしまった。

ふと一瞬だけ見えた消えゆく老人の笑顔に、その場にいた全員が一瞬だけ固まるが、俺だけしか、その老人の事をしっかりと理解できていなかったのだろう。

他の人には一種の演出か、もしくは意味の分からないモノに見えたはずだ。

(胸糞わりぃ........。)

俺は空を見上げ深呼吸する。

冷たい空気が喉を通り、雪の粒が頬に落ちたことで溶けて水になる。

ユーマ「やはり協力はできませんか?」

彼女の方を見て聞くが、やはり先ほどの提案は却下されてしまう。

(人生って......うまくいかないなぁ。)

そう思いながら、全員と別れて今日のゲームをログアウトしたのだった。


リュウはというと、実はこのイベントに参加していた。

いつものメンツで集まって参加していたのだが、結局は何回か仲間が死んだ事で途中でリタイアしてしまったのだ。

それにあまり長い事やってると母ちゃんに怒られるというのもあり、最近は長時間のプレイを控えているのだ。

そのため、序盤の序盤でリタイアし、結局イベントには参加できなかったのだが、いろいろバグだとかそういうのがあったおかげで、後日アイテムを入手していたことを知り、しかもイベントに最初だけでも参加していた事で貢献度は他の人より少ないがイベント報酬まで貰えていた。

あんまりイベントは、楽しめなかった半面、アイテムはしっかり手に入りしかもリュウは1回も死んでいなかったので損を全くしていなくてむしろ得をしたっていう.......。

そんなイベントだったそうな。


PlayerName:ユーマ

種族:人

職業:剣士

Level:67(+50)

Skill:High Heal/Essence of Life(生命の源)/王国騎士流体術(中級)/竜装/Meditation(瞑想)/竜葬剣術(上段)[剣に関する技能統合]/Battle Up(バトルアップ)/Magic Control(魔力操作)(上級)/Boost Slash (斬撃上昇)/Hideing (身を潜める)/Search(索敵)/Magic Regulation(魔力調整)/火魔法(上級)[火に関する魔法技能統合]/炎魔法(初級)[炎に関する魔法技能統合]/契約魔法(初段)/水魔法(中級)[水に関する魔法技能統合]

称号:プレイヤー/竜霊魂(ドラゴンレイス)の欠片/妖精の歓迎/竜霊の弟子/虐殺者/不可能を可能に。

Buff:[竜霊の加護][魅入られた者][虚栄心]


<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>

「本日はお休み。」

「ボス倒したけど、そういえば残りの召喚されたやつどうなったん?」

「プレイヤー達大丈夫なん?」

「についてを書かせて頂きました。」

「番外編にしようか迷ったのですが、内容が本篇よりなので48話にしました。」

「第47.5話とかにしようと思ったのですが、それだと番外編じゃね?」

「ってことで48話です。」

「いつでも、どんなのでも歓迎です!」

(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))

「ばいば~い。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る