ー 35話
「ちょっと待ち!」
「ア"?」
不機嫌な顔をしながら振り返る男性、その顔は何というか.....。
人を殺してそうな鋭い目つきと、腰を曲げてポケットに手を入れている姿は、誰がどう見てもそういう関係の人としか思えないのである......。
これでグラサンでも掛けていれば、誰も近寄ってこないだろう。
「まぁた、怖い顔して!」
勢いよく走ってきた女性は、バシ!っと音を立てて男性の背中を叩く、それを見ていた周りの人は、あの子、大丈夫か?という風に心配して見ているが、男性が怖くて見て見ぬふりをする。
「ア?アァ...........ア"?」
俺か?と言う風にポケットから手を出して自分に指を指してから、何言ってんだてめぇと言う風に顔をしかめている。あぁ....あの子、殴られちゃうかも.....。大変だわ。と周りの人達がオロオロして見ていると、
「そうが?」
とだけ言ってその怖い顔の男性は、振り上げた手を頭の後ろにやって頭を掻く。
「んだごどいっでもよぉ?」
と猫背の男が頭を掻いて不機嫌そうな顔をしていると、
「ちょっとぉ、まぁたお腹出して寝たんでしょ!」
と大きな声で怒りながら、女性が男性に詰め寄って指を指している。
「ア"?うっせぇなぁ"。」
と男性は、またも不機嫌そうな顔をしながら溜め息をついているのだが、とても怖くて見てられない。
「声ガラッガラじゃない!」
「ぞうがァ"?」
「なんて言ってんのか分かんないくらいかすれた声してんわよ!」
「そうかぁ".......」
と二人の仲良さげなやり取りを聞いて、少しだけ周りの人達はホッとする。
「ア"ァ"......ア"?」
男性が治ったぞと指で自分の喉を指しながら声を出すが、
「治ってないわよ!」
と言いながら、バシ!っと女性の方がナイスなツッコミをする.....ただ、男性があまりにもその......強面なので.....ハラハラしてしまう。
最悪、運営に通報するなりレベルの高いプレイヤーが間に入って止めるか、警察に連絡するなりをしなければ、と見守っていた人たちも今の一連のやり取りで大丈夫かな?と少し安心して離れていく。
「ハァ"....。」
と言って先ほどよりも猫背になった男性は、手であっちいっとけとジェスチャーして歩き出す。
「バカ!一緒に遊ぶのよ!」
と言って男性の手を女性が強引に引っ張って行くが、強面は本当にだるそうな顔をしながら、溜め息を付いてされるがままに引っ張られていく。そんな彼を見ながら女性が、
「もぉ!ちょっとちゃんと歩きなさぁぁあい!」
と大きな声で言うと、男性が指で鼻の付け根を抑えながら、舌打ちをしてから立ち上がる。ゾッとするほど怖いその顔つきに周りもそっと男性から離れて行く。
「ア"んだ?道が広いな?」
いつも昼間は、賑わってる通りが嘘みたいに閑散としてしまっている事に気付いた男性は、さっきまで自分を引っ張っていた女性の方を見てから、なんでだ?と言う。
「あんたが怖い顔してっからでしょ!」
と女性がゲンコツをし、
「いっでぇなぁ。」
と男性が頭を押さえて座っているのを見て、なんだあんまり怖くない?と周りの人達は一瞬だけ感じてしまうが、再度顔を上げた男性を見て、そっとプレイヤー達は道脇による。
「それじゃぁ、今日も楽しくゲームで遊ぶわよ!」
「ッチ、あぁったよ。」
と言って不思議な関係の二人は、村の東の出口から出て行った。
夏が終わり、秋に入ると佑真達の高校では、体育祭や学園祭等の行事が始まる。3年生で受験勉強に忙しい時期とは、言っても高校最後の行事になるわけなのだから、皆張り切っていろいろ準備や練習をして頑張っていた。達也は、と言うと.......。家でこっぴどく親に怒られたのか、ゲームが禁止になったからかは分からないが、生気が抜けたような顔をしていた。
佑真「大丈夫かよ?」
達也「........、もう終わりだ。」
佑真「どうした?何があったんだよ?」
達也「勉強教えて下さぃ。(小声)」
佑真「了解......。」
と言った感じだ。
それから慌ただしい学生生活もひと段落し、冬が始まった頃に学校推薦型選抜が始まった。行きたかった大学へ達也と一緒に受け、なんだかんだいろいろ辛い事やしんどい事もあったが終えることが出来た。
と言ってもまだ合格発表は、先なのだしのんびりしていられないのだが達也は、終わったぞ.....やり遂げたんだ.......と言いながら、力尽きて倒れていた。
佑真「おい....達也?」
達也「終わったぞぉ......。」
佑真「まだ分かんないだろ?」
達也「受かって無かったらそん時は、そん時で........。」
佑真「気楽なやつだな。」
達也「心臓バクバクしててヤバいけど、考えだしたら死にそうだから......。」
佑真「な、なるほどなぁ......。」
と苦笑いしつつも、俺自身も心臓バクバクで内心はずっと不安なままだ。
達也「今日くらいは、さすがの母ちゃんもVR返してくれるはず......。」
佑真「そ.....そうだと....いいな。」
その言葉を聞いて、そういえばあれからVRを起動していなかったのを思い出す。
(そういえば、俺はVRで何してたんだったっけ?)
達也「あ!」
考え事をしていると、後ろで達也が大きな声を上げたのでびっくりして振り返る。
佑真「なんだよ?」
達也「3か月くらいゲームってやってなかっただろ?」
佑真「そ、そうだな?」
達也「皆に置いて行かれたかもしれねぇ.....。」
と達也は、がっかりした顔をしているのだが、
佑真「俺は、お前に置いて行かれてるんだがなぁ。」
と冗談で言うと、やべっと言って、まぁ今度一緒にレベル上げしようぜとかなんとか言い出してきた。
まぁ、俺的には、本人がゲームを楽しめていればそれでいいからあんまり気にしていなかったのだが、達也がすまんと手を合わせて変なフォローを挟んで謝るもんだから、なんだか少しだけ申し訳ない気がしてきたのだが、よくよく考えて見たら、俺は特に悪くないのである。
佑真「冗談だよ。」
と言うと、アハハと苦笑いしながら今度絶対やろうな?としつこく言ってくるので承諾した。
佑真「とりあえず終わったし、飯食いに行くか?」
達也「行く!」
と言って俺達は、いつものファミリーレストランへ向かう。
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「久しぶりの二人の登場ですね。」
「いやぁ、あれから3か月もたってしまったようです。」
「いろいろ忙しかったみたいですね。達也さんに関しては、VR取られてしまったようです。」
「ドン( ゚д゚)マイ、達也さん」
「さぁさぁ本日もサクッと解説と行きたいところなんですが。」
「今日は、お休みにしましょう。」
「楽しみにして下さっている方がいたらすみません。」
「思いつかないというわけでは、無いんですが、今日はほのぼのとした雰囲気で終わりたいと思います。」
「いろんな質問やコメントをお待ちしております。」
「いつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「ばいば~い。」
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