ー 34話


キン!(金属音)

キン!(金属音)

ザシュ!(切断音)

赤いエフェクトと共に1本の腕が宙を舞う。

???「ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ".......。」

洞窟の中で轟く悲鳴、歯を食いしばり涙の流す少女は、憎しみの目を相手に向けて牙を剥く。

Debuff:欠損、出血、狂乱、弱体化、衰弱化、...........。

沢山のデバフが私を襲うがそんな些細な事を気にしている暇なんてない。

「ちょっと~、辞めてよね~。」

そんな狂気に満ちた相手を、片手にペロペロキャンディーを持った状態の少女が、宙を舞いながら飴を舐めて呆れたように応戦する。

???「お前らのせいでぇ!!!」

怒号と金属音が洞窟の中で鳴り響く、

「ちょっとちょっと、私が何したって言うのよ~。」

「急に攻撃してきたのは、貴方の方じゃない!怒りたいのは、こっちなのよ!」

腹を立てて怒る少女をよそに、彼女は怒声を浴びせる。

???「しらじらしい!お前たちのその計画のせいで.....多くの人が犠牲になるのよ!」

計画と聞いて、ピクっと眉を動かし、イラっとした表情を見せる。

「あんたねぇ!私達がどれだけ......もう!聞きなさいよね!」

???「うるさい!うるさい!黙れ!この化け物!」

罵詈雑言の嵐と、恐ろしい剣技で辺りに金属音が鳴り響く。

「もう!何なのよ~。ちょっとだけ寝てなさいよね!」

そう彼女が言った瞬間、辺りが真っ暗になり身体が動かなくなる。

「なんなn,..@;:/;]:/\」

彼女は、何かをぶつぶつと喋っているようだが、だんだんと聞こえなくなっていって、意識も遠のいていく。

(何をされたの?)

(またやり直すの?)

(もう私の力だけでは、これ以上は先に進めないの?)

彼女の中で巡る"回帰"の言葉と、挫折の数々。

(もう......辞めていい?)


バタン(倒れる音)


夢の中で何度も見た光景、真っ暗な世界で目の前に浮かぶウィンドウには、

回帰者の称号を剥奪しますか?

と言う文字に、

 [Yes / No]

と書かれている選択肢、

夢の中の私は、迷わず[Yes]を押す。

「やっと......やっとこの地獄から解放され.......。」

振り返ると"××"の死体と、血まみれの"××"、

「どうして助けてくれなかったの?」

「きっとやり遂げるって"約束"したじゃない!」

「どうして諦めてしまうの?」

私に掛けられる言葉はどれも残酷で、私の心を凍り付かせてしまう。

「辞めてよ......。(震え)」「頑張ったんだよ?(小声)」

「もう....辞めて......。(震え)」

私に向けて掛けられ続ける言葉は絶えることが無く.......。

ついに私は泣き崩れてしまう。

「いやあああああああああああああああああああああああ。(大声)」

うずくまって泣き叫んだ私は、涙と共に目を覚ます。

???「..................。死んで.....ない?」

辺りを見渡すと、先ほどまで戦っていた洞窟で、気絶して倒れていた私には、毛布が掛けられていた。

そして毛布の近くには、1枚の紙が置いてあり要約すると、

私たちの計画を邪魔しないでという内容と、私達が決してプレイヤー達の敵では、無いという言葉。そして最後に、追記:あなた女性だったのね、男だと思っていたわ。腕吹っ飛ばして御免なさいね。でもあなたも人の話聞かないのがいけないのよ!と書かれていた。

???「フフ.....何よこれ。信じられるわけ、ないじゃない.......。」

負けたという悔しさを感じ、口元が歪むが、何処か憎めない.....信じてあげたいと思う自分がいて戸惑う。

???「もう騙されるなんて懲り懲りよ。」

そう言い、毛布をその場に置いて立ち上がる。

???「もう.....負けたりなんかしない......諦めるのも嫌..........。」

(先ほど見た夢の続きなんて二度と見たくない......。)

そんな事を思いながら洞窟の外に出ると、洞窟の外では、いつの間にか雨が降っていた。

上を見上げて静かに雨の中に立った少女は、泣いているようにも見える....。

???「12月25日.........。」

彼女は、それだけを言い残して深い森の奥に進んで行った。


ダン!(ハンコを押す音)

ダン!(ハンコを押す音)

「ご主人しゃま!ご主人しゃま!」

ダン!(ハンコを押す音)

「ご主人しゃまってば!」

「ん?どうしたんだい?」

「もうしゅぐでしゅよ!ご主人しゃま!」

「おっほっほ!確かにもうすぐだね。楽しみだね?でもね?今からそんなに張り切ってちゃ~いけないよ?」

「僕"たち"は、"×"を楽しませるために生み出された存在では、あるけど!」

「頼まれた目的は、ちゃんとこなさないといけないんだ。」

「そのために、こんなに早くから準備を任されているのだからね?」

「しっかりやるでしゅ!わかってるでしゅ!」

「おっほっほ、そうかいそうかい!任せたよ?」

「それじゃぁ"初め"の"大祭"に向けて!頑張って準備をしよう!」

「あいでしゅ!」「がんばるでしゅ!」「りょうかいなのでしゅ!」

ダン!(ハンコを押す音)

ダン!(ハンコを押す音)


「キッシッシ、張り切っちゃって~。」

「まぁまぁ♪

   彼が張り切るのも分か~るさ♪

        だって一番槍なのだか~ら♪」

「キッシッシ、一番槍って言葉は?違うんじゃねぇか?」

「そうなのか~い♪」

「キッシッシ、まぁそんなことよりさ、人間共が乗り越えられると思うか?」

「無理だね.......。」

「キッシッシ、俺も無理に一票!」

「悲鳴の歌が世界に響きわた~るよ♪」

「キッシッシ、満場一致じゃぁ賭けにすらならねぇじゃねぇか?」

「そんな掛けしたって無駄でしょ?」

「キッシッシ、ちげぇねぇ。だってお前らは絶対に俺たちに票を入れるもんなぁ。」

と笑いながら転げまわる。

「もう、お行儀が悪い.....。」

「キッシッシ、こりゃぁ人間側に誰かサポートしてやらねぇと可哀そうだなぁ。」

「そこまでは、頼まれてないでしょ?」

「キッシッシ、良いじゃねぇか?」

「だめだ~よ♪」

「ッハっつんまんねぇ~。」

「まぁま~ぁ♪

   12月25日まで、あと少しなんだか~ら待ちなさい~よ♪」

「キッシッシ、何時だよそれ!」

「後、3か月と半月後くらい?」

「キッシッシ、長いなぁ。俺が先に出てもいいか?」

「ダメ~だよ♪」

「駄目だね、確実に"×"様に怒られるよ?」

「あ"ぁ"もう、最悪だ!そこらで遊んでくる。」

「いってらっしゃ~い♪」

「ばいば~い。」


ダン!(ハンコを押す音)


「あいつさ~、12月25日過ぎても俺たちの出番は、まだまだ先だって事忘れてるんじゃない?」

「仕方な~いさ♪」

「彼もわく~わ~く♪

   してるか~らね~♪」

「はぁ.....僕たちが止めてあげるしかないってことだね?」

「そ~うい~うこ~と♪」


ダン!(ハンコを押す音)


PlayerName:不明

種族:人

職業:不明

Level:不明

Skill:不明

称号:プレイヤー/回帰者/.../Pioneer(先駆者)/英雄


<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>

「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」

「最後の愉快な人達は、誰なのでしょう?」

「12月25日と言えば、は!?」

「そんなまさか~ですよね?」

「それにしても初めての大祭とは、どういう事なのでしょうか?」

「また何か嫌な予感がしてきます......。」

「それでは、本日もサクッと解説をやっていきましょう。」

「勇者様(?)まだ英雄様?と戦っていた宙を舞っていた人物は、第30話で一瞬だけ登場したソファーで寝転がってお菓子を食べていた人物です。」

「そうとうお強いみたいですね....。」

「そんな彼女のステータスがこちらです。↓」

PlayerName:不明

種族:霊人

職業:不明

Level:不明

Skill:不明

称号:..../GhostPrincess(ゴーストプリンセス)

「あらあら、不明ばっかりですね.....。」

「あとは、お化けの王女様っぽいですね。」

「そりゃぁ強いわけですよ.....。」

「そもそも、この霊人っていう種族が半透明な身体を持ち、全ての物理を透過し、操ることに特化した種族ですからね......。ただでさえ反則級なのに、その頂点に君臨する存在なわけです......。」

「それにしても.....お菓子食べれるんですね.......。」

「まぁ操れる事にも特化してるってことは、実体化も出来るって事?なのでしょうかね?」

「それでは、本日の解説はここまで!」

「いろんな質問やコメントをお待ちしております。」

「いつでも、どんなのでも歓迎です!」

(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))

「ばいば~い。」

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