ー 33話
ヨリヨリ「最近、リュウさんゲームにログインしませんけど、どうしたんですかね?」
夏休みの間は、ほとんど毎日一緒に夜から朝にかけてレベル上げをしていたリュウが最近はゲームに来ないことを心配して他の人に聞いてみる。
ゲン「なんだ、ヨリヨリ知らないのか?」
どうやらゲンさんは、リュウが最近ゲームに来ない理由を知っているらしい。
ヨリヨリ「えっ?知ってるんですか?」
と言うとヒマさんが、
ヒマ「この前、言ってたじゃないの?」
と教えてくれる。どうやら知らなかったのは、僕だけらしい.....というかこの間、来れない理由を言っていたらしい。
ヨリヨリ「そうでしたっけ?」
ヒマ「えぇ、言ってたわよ?」
ヒマ「そろそろ勉強に集中しろって言われてゲームを没収されるって....。」
その言葉を聞いてこの前、リュウがレベル上げをしながらぼそぼそと何か愚痴を言っていたのを思い出した。
ヨリヨリ「そうでした......愚痴ってましたね.......。」
ゲン「あいつは、まだ学生だからなぁ.....若いなぁ。」
とゲンさんは、僕の方を見てから頭を掻き、若いなぁと呟くが、この人も社会人ではあるものの、まだ若い男性プレイヤーである。
ヒマ「何言ってんのよ。まだ私たちも若いわよ。」
ゲン「いやぁ、この前のラーメンは...........この年になると胃もたれがねぇ。」
と腹をたたきながら笑いながら言う。
ヒマ「もう、何言ってんのよ。あんたこの前のオフ会の事言ってんでしょうけど、あんな油多め硬さマシマシだかなんだかよく分かんない呪文唱えて.....。あんな量食べたら胃もたれもするわよ。」
ヒマ「見てるこっちまで苦しかったんだからね。」
とヨリヨリの方を見てそうよねぇと言う。
ヨリヨリ「そ、その......あの、この前は奢っていただいてありがとうございました。」
この前のオフ会でラーメンを奢って貰った事に対してお礼を言うと、
ゲン「良いってことよ。未成年に金なんて払わせられねぇだろ?」
とゲンさんは、格好を付けながら言う。
ヒマ「本当に気にしないでね?この人格好つけたかっただけだから....。(小声)」
とヒマさんが小声で教えてくれるがそれを聞いたゲンさんは、
ゲン「なんだよ。いいだろ?ヒマにだって奢っれやったんだし!」
と言い、格好くらいつけさせてくれよ~と言う。
ヒマ「はいはい。カッコよかったわよ。」
と言いながら、今日も僕たちのパーティーは楽しくレベル上げをしながら雑談する。
ゲン「まぁ、お前も学校行きたくなったら行けよ?(小声)」
ゲン「辛い事や、悲しい事、嫌な事だって多いが.....その分自分の役に立つことも多いんだからな?(小声)」
ゲン「まぁ、ムリする必要はねぇ。辛くなったりしたらいつでも俺らが愚痴聞いてやるし、一緒になってそいつの事怒ってやるからな?(小声)」
と優しく励ましてくれる。
ヨリヨリ「はい、ゲンさん.....ありがとうございます。」
そう言うと、ゲンさんは、頭を掻きながらモンスターのタゲを引き受けて離れているヒマさんの方へ行く。そんなゲンさんを、ヒマさんが横腹を突いてコラ!と怒っているのが見えるけど、たぶん僕の事で言ってくれているのだろう。
いつも励ましてくれる二人を見ながら、たまには行ってもいいかななんて思うが、まだ勇気が出てこない。ムリする必要はないって言ってくれるけど、その言葉を言い訳にしていい理由にはならないのを僕は知っている。
ヨリヨリ「ほら、モンスター行きますよ!」
と優しい二人の方に駆け寄って、今日も楽しい日を過ごす。
その頃のリュウこと達也は、というと夏休みの宿題をさぼったことで地獄の日々を送っていた。佑真に鬼指導を受けながらも、なんとか登校日までには宿題を間に合わせてその後、即受験勉強であるから発狂ものだ。
(こんな事なら、受験が終わるまでVRなんて買うんじゃなかった.......なんて思うが、そうすると今の人たちと会えなかったかもしれないため、そうでもなかったかもと上を見上げる......。)
達也のそんな悲痛な叫びは、もちろん誰にも届くはずがなく.......。
達也を見た同じ学校の人達は、達也の事をゾンビと言っていたというのは、また別の話である。
場面は変わり、高梨さんはというと、とっくの昔に新大陸に無事到着する事が出来た。
いや.......これは無事なのだろうか?
高梨「あがががががががががが.......。」
チュチュ「うっせぇんですよ!この配信者様は!」
高梨「そそそ、そんなこととととと言わんでくダダダささささいっスよぉぉぉお。」
ガタガタと震えているこの高梨さん.....それもそのはずここは、雪山の山頂付近であり、気温がマイナスを下回っている場所なのだ。
高梨「どどどどどどぉしてぇぇぇチュチュさんは、ささささむくくくくないんででですか?」
チュチュ「っさっむいわよ!このアホポンタン!」
味塩「まぁまぁ、チュチュさん落ち着いて。」
チュチュ「うっさいわよ、このドデカ!なんであんたわ平気なのよ!」
味塩「そりゃぁ、竜人ですし......。寒さの耐性も持ってるんで。」
チュチュ「せっこいのよ、この馬鹿!」
ププ「まぁまぁ、私も寒いですし頑張りましょ?」
チュチュ「あんたも寒そうには、見えないのよこの.....ア.....。」
チュチュ「こっち来なさいよね。」
ププ「はいはい.....。」
やれやれと言う感じでチュチュの方によるとチュチュがぎゅっと抱きしめて寒いんだからもっとこっち寄りなさいよねと言う。
カモメ「百合ですね.....。」
チュチュ「うっさいわよ変態!」
カモメ「はいはい、何も見てませんよ。」
シュッ(消える音)
それを見た高梨さんが、羨ましそうにこっちを見る。
高梨「いいなぁっス、私も寒いっすよぉぉぉぉお。」
チュチュ「うっさいわよ、近づいたら炎上よ炎上!」
高梨「分かってるっしゅよぉぉぉお。(凍え)」
チュチュ「噛んじゃってるじゃない。ダッサ。」
高梨「皆さんずっと俺に厳しいっス......。」
味塩「どんまいだな.....高梨。」
味塩は高梨の背中をドンと叩き、俺にでも抱き着くか?と冗談交じりに手を広げて言うので嫌っスよ、変に視聴者に誤解されるっスと言う。
高梨「それにしても、称号もらえませんでしたね。」
味塩「そうですねぇ。貰えると思ったんですが、残念です。」
と肩を落としがっかりする。
チュチュ「ほんっと最悪!称号も貰えないし、こんな寒いとこなんて来たくなかったんですけどぉ......。」
高梨「それは、御免っすよ。」
味塩「まぁ、高梨さんが道を間違えた結果がこの雪山ですからね.....。」
と、高梨の肩をトントンと叩きながら、まぁこれからも文句言われるだろうがドンマイと言ってあげる。
カモメ「11時の方向、建物確認!」
味塩「どうやら、カモメさんが休める場所を見つけてくれたようですね。」
チュチュ「ナイス変態忍者!」
カモメ「変態は余計だアホ!」
チュチュ「フン!褒めたのに。」
ププ「まぁまぁ、喧嘩しないの。」
こんな感じで、仲良いのか悪いのかよく分からない関係が1か月ほど続いたこともあり、このチャンネルでは、配信者である高梨さんだけでなく他の4人も人気になってしまっている。特にこのカモメさんのクールな感じなのが視聴者的には良いらしく、隠れファンまでいるようだ。そのため最近では、カモメさんを真似た忍者スタイルというがゲームで流行っているらしい。
高梨「ありましたねぇ。た...たたたてもの?というか小屋?(凍え)」
チュチュ「ちょ、これ山小屋じゃないの!」
カモメ「でも建物だろ?」
チュチュ「も~!美味しいものとか食べたい!あったかい布団で寝たい!」
ププ「ほらほら、落ち着いて?山小屋があるって事は、誰か管理している人が近くにいるか、街が近くにあるかもでしょ?」
チュチュ「こんな雪山に~あるわけないでしょー!(大声)」
「ないでしょー!ないでしょー......(やまびこ)」
その直後カモメが山の下の方を指差しながら言う。
カモメ「あったぞ、街.....。」
チュチュ「ドアホ―そっちを先に紹介しなさいよね!」
カモメ「うっせぇアホ、モンスター警戒もしてんだからそんな事まで気が回るわけないだろ!」
チュチュ「う..う......うっさいわねぇ!(大声)索敵なんだからしっかり確認しなさいよね!(小声)」
ププ「ほらほら、喧嘩しない.....。」
チュチュ「ププー、あいつきらーい。」
ププに泣きついたチュチュは、カモメを指差して嫌いと言い、あっかんべーをする。
ププ「あらら.....、御免なさいねカモメさん。」
カモメ「良いですよ。はぁ......。」
これがクールなのか分からないが......。視聴者にはどうやらそうやって映っているようだ。
高梨「はぁ、いつもの光景っすねぇ。」
味塩「まぁ、動画的にも賑やかでいいじゃないですか?」
高梨「そうっすけどね。」
味塩「出演料期待してます。(冗談)」
高梨「良いっすよ?」
味塩「マジか!?」
高梨「えぇ、この1か月あなたたちのおかげで視聴者が伸びましたし、チャットでこの人達にも出演料払うべきだろとか、カモメさんやチュチュさんに寄付って感じでお金が送られてきたりしてたんで.......。」
味塩「冗談って言ってみるもんですねぇ.....。」
と頭を掻きながら、高梨さんの方を見る。
高梨「まぁ、今度その話もかねてオフ会でもしましょっか?」
味塩「ぜひ!」
チュチュ「ちょっとそこー、何こそこそしてんのよ!」
味塩「どうやら、今度高梨さんが飯奢ってくれるらしいぞ?」
チュチュ「マジ?じゃぁ高級店ね!」
高梨「マジかぁ.....まぁいいっすよ。」
チュチュ「え!やったー!ププ―高級な料理だよ料理!」
チュチュ「冗談は言ってみるもんよねぇ。(小声)」
高梨(味塩と同じこと言ってるっス.....。)
ププ「ほらほら、落ち着きなさいチュチュ。いいんですか?高梨さん。」
高梨「えぇ、いつもお世話になってるんで、あと今後の事でご相談もありますし。」
チュチュ「楽しみねぇ!」
カモメ「焼肉か寿司がいい.....。(小声)」
チュチュ「寿司か焼肉なら焼肉一択よ!」
高梨「どっちも食べれるとこにしますから、喧嘩は無しですよ?」
高梨「あと、今後の相談もあるんでその事を念頭に入れといてください。」
チュチュ「はーい。」
味塩「ゴチになります。」
そんな話をしながらも、やっとの事で初めての新大陸の街に到着したのであった。
PlayerName:配信者高梨
種族:人
職業:記者
Level:62
Skill:.../Mapping(地図作成)/Recording(記録)/Rising Speed(速度上昇)
称号:プレイヤー/届ける者
PlayerName:ププ(-ω-)
種族:森人
職業:不明
Level:不明
Skill:不明
称号:プレイヤー
PlayerName:味塩パッパ
種族:竜人
職業:不明
Level:不明
Skill:不明
称号:プレイヤー
PlayerName:チュチュ
種族:獣人
職業:不明
Level:不明
Skill:不明
称号:プレイヤー
PlayerName:カモメ
種族:人
職業:忍者
Level:不明
Skill:.../Search(索敵)/隠れ身の術(初段)/空歩(初段)/身代わりの術(初段)/投擲術(初段)
称号:プレイヤー/忍者の先駆け
<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>
「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」
「あらあら、久しぶりに登場した人が多くいる回でしたね。」
「どうやら新大陸には無事到着できたようです。」
「リュウさんに関しては、自業自得でしょう。」
「それでは、本日もサクッと解説のコーナーのお時間です。」
「本日は忍者の先掛けという称号について解説いたしましょうか。」
「この忍者の先駆けという称号は、忍者という新たな職業が書架に飾るというゲーム内で有名になったことが主な原因だと思われます。」
「そのため、先駆けとなったプレイヤー、それに最も貢献したプレイヤーに称号が付いたようです。」
「一体どこでそんな事を判断したんでしょうね?」
「まぁ、それはおいておいて、効果の事をお話ししましょう。」
「効果は、忍者に関する技の開発と技能化が簡単になる効果があります。」
「これだけ聞くとヤバイ特典なのでは?と思う方も多いでしょうが、そんな甘いことはありません。」
「その技についての理解力や知識力、発想力等が非常に高くなければ、身に着けることは出来ませんし、そもそも技能として使うことが出来ません。」
「そのため、簡単になるとは言ってもその道のプロだったり、オタクだったりしなければ、ならないというわけです。」
「そうですねぇ例えば、軍事関係で働いている人間(戦争の体験もあり、銃や戦車を扱ったことがある人)が、戦車や銃に関しての知識がありしっかりとその武器を扱うことが出来ますよね?」
「逆に知識のない一般人に、戦車の操縦や銃の組み立てをして扱えるかと言われれば、無理だと答えるのが普通だと思います。」
「しかしここで、本を読んだことがあり、動画などを見てしっかりとした知識はあるが、実践はしたことのない人がいたとしましょう。」
「それくらいの人だったら、技能化や開発の特典の効果を得られるという感じです。」
「簡単とはいうものの、決して生易しい物では無いという事を覚えておいてください。」
「それと、称号を入手したのにこれしか効果がないという点においても非常に厳しい称号だという事です。」
「このカモメさんではない。ただの一般人がそれを手に入れていたとしたら、何の効果もない名前だけの称号という風になるという事です。」
「それでは、本日の解説はここまで!」
「いろんな質問やコメントをお待ちしております。」
「いつでも、どんなのでも歓迎です!」
(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))
「ばいば~い。」
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