ー 28話

???「おかしい.....。」

 始めに違和感を感じたのは、"聖印の書"をすぐに手に入れられなかった時からだ。しかし、これは俺があまりに事を急いでしまったのが原因だろう。そのせいで、本来話さなくていい話までアグネフにしてしまった。次に違和感を感じたのは、ヴィルギアへの大侵攻が以前よりも早まったことだ。これも少なからず早める原因となってしまったのは、俺で間違いないだろう。ただし、そうだとしても俺の予想を遥かに超える速さでこの侵攻が始まってしまった。そのせいなのか、本来の大侵攻よりも難易度が下がり、被害は以前よりも最小限に抑えられた。

 ヴィルギアの結果としては良かったが、他のプレイヤーの成長の面を考え見れば、良くない傾向にある。それに、このままいけばいずれ最悪の結末を辿る事になる。

 まだまだ先の話では、あるのだが......。

  やはり、仲間を.....。

   いや、俺一人でも変えなければ.......。

いずれ訪れる最悪の結末を回避するために。

???「...........。本当に、最悪だ。」

これからの事を思いながら、フードを深く被り、ダンジョンの深層に潜る。


ゴーン、ゴーン、

 ゴーン、ゴーン。(鐘の音)


"主"は、"6種"の聖なる命を創造なさりました。

一に、主に仕える天人を、

二に、主を守る竜人を、

三に、主を脅かす存在を倒す獣人を、

四に、主の世界を守り浄化する森人を、

五に、主の生活を助ける土人を、

六に、主を信仰する人を、

"主"は"6種"の"聖命"に、祝福を与えました。

一に、救いを、

二に、知恵を、

三に、力を、

四に、精霊を、

五に、技能を、

六に、信仰を、

"主"に感謝を示さなければなりません。

あの忌まわしき"怪物"を滅ばさなければならないのです。

主は、我らに応えてくださいました。次は、我らが応える番なのです。


教壇の前に立ち、演説を行う"白い服"を着てフードを被り、手に十字架を持った女性。

フードのせいで顔はしっかり見えなかったのだが、この絵本にそっくりの服と十字架を持っている。

そして、それを見た瞬間からひしひしと湧いてくる怒りの感情.....。

ここで間違いないのだろう。

あの後、教会にやってくると、教会の中では、神官が今のように教壇の前に立ち演説を行っていた。左右には、3人ずつ神官が座っており、天に向かって祈りを捧げている。

(はぁ.....これからどうしろと?)

取り敢えず、座席に座って祈りの言葉(?)を聞いているわけなのだが、正直に言うと居心地が悪い。こういうのもなんだが、別に信仰心があるわけでもなければ、ゲームの中の宗教にはまりたいとは思えない。一種のゲームの演出であるのは、分かっているが.....。なんというか居心地が悪いため早くここから出たいとすら思えるのだ.......。

しかし、どうやらそうはさせてくれないらしい。

(どうしろっていうんだよ.....。)

ヒントも無ければ、何かやって欲しいと言うのでもない。ただただ、ここに導かれるままにやって来て、そのままほっぽりだされている状況に、だんだんと苛立ちを感じる。


祈りが終わり、6人の神官が立ち上がる。真ん中で演説していた神官が、杖を取り出し、床にトンと1回鳴らす。


ゴーン、ゴーン、

 ゴーン、ゴーン。


先ほど教会を入る時に鳴った鐘の音が、何処からともなく聞こえてくる。


神官「先日、素晴らしき報告を受けました。ここより遠くの街にあるヴィルギアという街で大侵攻があった際に"英雄が帰還された。"という報告を受けたのです。」

神官「我らも、大侵攻という報告を聞きつけてすぐに増援にやってきましたが、大侵攻はすでに終わっており.......英雄と呼ばれた者に会うことは叶いませんでした。」

神官「我々は、"英雄の帰還"を心よりお待ちしております!」

神官「"主"に仕えるため、"主"に応えるためにもどうか、どうか.....些細な事でも構いません。英雄に関する情報をお持ちの方がいましたら、我らにお伝えください。」

深々と頭を下げた神官は、振り向き教壇の後ろに造られた巨大な像に対し一礼して去って行く。

それに続いて、6人の神官が一礼し去って行った。

光り輝いていた聖堂もそれと同時に、光を失い本来の明るさに戻る。


(いなくなったんだけど........。)


柱の方に並んで立っていた黒い服を着た神官達が動き出し、

神官「お帰りの方は、こちらへ。御祈りを続ける方は、こちらへ。神官に祝福を頂きに参った方は、こちらへ。お話がある方は、こちらへお越しください。」

と、NPCやプレイヤーを含め全員に指示を出す。

どうやら、階級によって服の色が違うらしい。今のところ出会ったことはないのだが.....もしかしたら俺が気付いてないだけなのかも知れないが、貴族やら王族がいるゲームだ。教会の中で上下関係があってもおかしくは、ないのだろう。

指示に従って移動するが、どこへ行くのが正解なのだろうか.....。

せっかく来たのだし、祝福だとかいうのを貰う方がいいのだろうか?それとも、神官と話したほうがいいのだろうか?しかし、このお話がある方っていうのは、英雄だとかについて聞きたいだけなのだろう.....。個人的な話であるのなら、聞いてはくれないだろう。もう帰ってしまってもいいのだろうか?

悩んでいると、早くしろよと言わんばかりに、後ろのNPCに睨まれてしまったので、取り敢えず教会を出ることにする。


(はぁ......ッグ!)

教会の外に出て腕を伸ばして深呼吸をする.....。

日差しが心地よく、息苦しさが消え、胸のつかえが取れた事でやっとの事でゲームを辞めることが出来た。

シュイン

[ユーマさんがログアウトしました。]


(しばらくは....ゲームをやらなくていいか。)

布団の上で溜め息を付いて、暗くなってきた窓の外を見ながら、昨日の朝の事を思い出す。

佑真「これがVR.....か......。」


PlayerName:ユーマ

種族:人

職業:剣士

Level:19

Skill:Healing/王国騎士流体術(未完成)/Meditation(瞑想)/Slash(斬撃)/High Slash(高斬撃)/Double Slash(二連斬)/Magic Control(魔力操作)(初級)/Boost Slash (斬撃上昇)/Hideing (身を潜める)/Search(索敵)/Magic Regulation(魔力調整)

称号:プレイヤー/竜の心呪/妖精の歓迎


<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>

「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」

「教会にやってきたユーマさん、ゲームを終えた時に少しお疲れのようでしたね.....。」

「ゆっくり休んでください。」

「それよりも、お気づきの方は、いるのかもしれませんが、"6種"の聖なる命を創造という文面に疑問もしくは、間違い?だと思った方は、いるのではないでしょうか?」

「何処がおかしいの?って思った方は、"竜人の書"を思い出してみて下さい。」

「冒頭に、主が創造した種族は、"5種"と書かれています。」

「え?ミス?間違った?と思った方、間違いではないのでご安心ください。」

「今後、解説が入る内容なので.....今は、お伝え出来ませんので、このことを心の片隅に覚えておいて頂けると嬉しいです。」

「今回も、サクッと解説のコーナーをやっていきましょう。」

「コメントを下さりありがとうございます。」

「シスターさんの事で1つ話せる事としましては、シスターさんは"人"ではないという点です。」

「皆さんもシスターさんは、何者なのか?種族はなんなのか?予想してみて下さい。もしも当たってた人がいたら、びっくりです。Σ(・ω・ノ)ノ!」

「それぞれの種族に冠するバフやデバフについては、あまり考えていなかったので、あったら面白そうだなって思いました。」

「称号に関しましては、もともとこの話を書く前から考えていて、書くつもりでいたのですが.....。ステータスを書く際に書き足すのを忘れていたのが原因なんです。(´;ω;`)ウゥゥ」

「それで、そ、そうだ!アップデートって事にしよう!って風になり追加されました。」

「どうしても今後の展開で必要な追加でしたので、慌てて考えたお話が、アプデのお話だったのです......。」

「もともと日常回で終わらせるはずが.....アプデって事になっちゃいました。」

「そうなったら、アプデでいろいろ追加したいって事になり、話しの流れ的に、新大陸がちょうどよいってなったのですが......。ちょっと早すぎた気がします。」

「なんて裏話があるんですよね......。お話を書くのって本当に難しい......。」

「コメント、本当にありがとうございました。実は、サクッと解説で書くことが無くなってきてこれを書く内容を考える方が本篇を書くより時間がかかってたりするんですよね.....。」

「いろんな質問やコメントをお待ちしております。( ノД`)」

「いつでも、どんなのでも歓迎です!」

(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))

「それでは、本日のサクッと解説のコーナーは以上とさせて頂きます。」

「ばいば~い。」

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