ー 26話

俺は、夕食を終えて、家族との団欒を楽しんだ後に、ゲームにログインした。

明日ログインしようと思っていたのだが、少し時間も余っていたし、何よりデバフをそのままにしたままだったのが気になったため、ゲームにログインする。

シュイン

ユーマ「ふぅ、時間に間に合ってよかった。」

???「よかったじゃないよ~。現在進行形で危なかったのに~。」

振り返ると、鉛筆を持ち椅子に座って何かを書いているプレイヤーが、俺に向かって話しかけてきた。

ユーマ「えっと、それはどういう事でしょうか?」

訳が分からずそのプレイヤーに聞いてみると、

???「君~、システムのメッセージをろくに見ずに落ちたでしょ~。」

ユーマ「メッセージ....ですか?」

???「な~んだ。気付いてすらなかったんだ~。」

こっちの顔は見ないでスケッチと睨めっこしながらずっと鉛筆で何かを書いている女性(?)いや、男性(?)どっちかは分からないが.....。

俺に、システムのメッセージがあった事を教えてくれたので確認する。

ユーマ「えっとちょっと、確認しますね。」

ユーマ「え~っと、なになに?警告します。ここでのログアウトは、危険です。戦闘エリアとなっているため推奨できません?って....え?」

???「気づいた~?ここ~、戦闘エリア~。」

???「一応ね~、ここは村の中では、あるんだけど~。ここって普通の村じゃないんだ~。」

???「君~、よく周りを確認しないでこの村に来たでしょ~。」

ユーマ「えっと、はい。ちょっとリアルで急ぎの用事があって、それで急いでた時にこの村を偶然というか逃げた先というか.....発見して、村の中なら安全だと思って即ログアウトしちゃいました。」

???「危なかったね~。お姉さんが君の事見てなかったら~。今頃~、死ぬことはないだろうけど~。いたずらされてたよ~。」

(あ、女性の方だったんだ。勘違いするところだった....。)

それよりもいたずらと言う言葉に、どういう事か分からずに聞き返す。

ユーマ「えっと....いたずらってどういうことですか?」

???「あ~、そっか~。君~、知らずに来たんだもんねぇ~。」

???「ここは~、運が良くないと入れない~。幻の村~、妖精さんの村なのだよ~。」

ユーマ「妖精ですか?」

???「そうだよ~、妖精さんの村~、殺されたり~、危険な目に会うことは~、基本的に~、無いと思うけど~。代わりに~、いたずらされるんだよ~。気を付けな~。」

なんというか、眠くなるような独特な喋り方をずっとしてくるので、内容が頭に入りにくく感じるが、取り敢えずこの人のおかげで俺は、その妖精だとかいうのにいたずらされることなく助かったようだ。

ユーマ「えっと、そのありがとうございました。」

???「いいよ~、お礼に~、絵でも買ってくれたら~嬉しいんだけどなぁ~。」

ユーマ「あ、はい。是非、買わせて頂きます。」

???「ほんと~?ありがとぉ~。」

ユーマ「ってそうじゃなくて、いたずらと戦闘エリアってこの村にどう関係してるんですか?」

???「あ~、それはね~。ゲームの使用上~、NPCである妖精さんのいたずらは~、戦闘扱いになってるみたい~。だから~ここって戦闘エリア扱いで~、プレイヤーからの攻撃も~、NPCからの攻撃も~、モンスターからの攻撃も~推奨されてるってわけ~。だから~君~、危なかったんだよ~。」

ユーマ「な、なるほど。助けて頂いて本当にありがとうございました。」

???「いいよ~、どうせ~私は~、ここで絵を描いてるだけだし~。」

と言って、絵を描きだした。しばらく待ってから、

ユーマ「え~っと、その.....絵を買いたいんですけど....。」

と言って、絵を買おうとする。

???「あ~、そうだったっけ~?えっと~、ちょっと待ってね~。」

そう言って数十種類のいろんな絵を並べだす。

???「これは~、水彩画で~、これは~色鉛筆~。それで~これが~、絵具で書いたやつで~、これは~、水墨画~。そんで~これが~、花の汁みたいなので書いたやつで~、これが~.....。」

いろんな絵がインベントリーから次々と出て来て並べられ、一つ一つこんな調子で説明してくれる。

ユーマ「絵が好きなんですね。」

???「?」

???「う~ん、どうだろ~。絵が私の"人生"だから~。」

なんというか、良く分からない感じで返答されてしまったが、たぶんこの人は絵が好きなのだろう。ニコニコしながら、次々と絵を出していって、

???「そんで~?なんだっけ~?」

ユーマ「えっと、絵を買いたいんですけど.....。」

???「そうだっけ~?何か気に入ったのあった~?」

(いろんな絵を見せてもらい、どれも凄い絵では、あったのだが何せ美術的な物について俺は何も知らないので、どれがどうという風に分からない。)

ユーマ「えっと、その....。」

絵を見ながら悩んでいると、

???「良く分からなかったら~、なんかこれが好きかも~って言うのでも良いんだよ~。」

と優しくアドバイスしてくれたので、

ユーマ「そ、それじゃぁ、この絵を貰っていいですか?と言って一つの絵を指す。」

???「これ~?」

ユーマ「はい。」

???「これでいいの~?」

ユーマ「えーっと、これは、売り物じゃない感じですか?」

???「ううん、売り物だよ~。じゃぁ、2500 Shellでいいよ~。」

ユーマ「え、そんな安くていいんですか?」

美術的な物について分からないし、価格的な物について何も分からない俺でも、圧倒的に値段に見合って無いのだけは、伝わってくる。

???「うん、いいよ~。」

ユーマ「そ、それじゃぁ。はい。」

と言ってお金を渡して、絵を買い取る。

???「フフ。」

と言って、何処か嬉しそうなお姉さんは、また絵を描きだした。

ユーマ「あ、ありがとうございました。」

???「こちらこそ~、あ、フレンド登録する~?」

と言う風な感じで、フレンド登録することになり、このお姉さん(?)とフレンドになった。

ユーマ「えっと、シェリフィスさん?」

シェリー「長いから、シェリーでいいよ~。ユーマ君。」

ユーマ「あ、はい。分かりました。シェリーさん。」

シェリー「それじゃ~。いたずらには~、気を付けるんだよ~。」

ユーマ「あ、はい。」

と言う風な感じで、俺は、広場から離れてシェリーさんと別れた。

(なんというか、不思議な感じの人だったな.....ってそうじゃなくって、ここ何処?)

進路的に、辿り着いたのが、ドラフニルに行く道中にあるカフカルって場所の村だと、思っていたが、どうもそこではないらしい。

無我夢中で森の中を走っていたため、進路からずれてしまったようだ。

(取り敢えず、進路を確認しないとな.....。)

店らしき場所を見つけて入ってみると、妖精が出迎えてくれる。

NPC「やぁやぁ、珍しいお客さんだね?いたずらされに来たのかな?」

ユーマ「えっと、ドラフニルに行きたいんですけど.....。」

NPC「な~んだ。いたずらされに来たんじゃないんだ~。」

明らかに拗ねてしまっている妖精を見た俺は、

ユーマ「わ...わぁいたずらさ、されたいなぁ。その代わりに、ドラフニルの場所って教えてくれたりとかし、しないかな~?(棒読み)」

NPC「な~んだ!それならそうと言えよ~!」

と、機嫌を直した。妖精(俺よりも圧倒的に小さいNPC)は、俺の頭の上を勢いよく飛んで周り、何かを唱える。

NPC「ふっふっふ!」

えっへん!と言う感じに腰に手を置いて満足気な顔をする妖精が、どこかのリュウとかいうやつと重なり、笑いそうになる。

特に何か変わった様子や、何かされた形跡がないので、

ユーマ「わ、わぁ何されたんだろ~。(棒読み)」

で言うと、妖精は鏡を持ってきて、ほら!と言う風に見せてくる。

見て見ると、俺の目の色が、赤色と水色のオッドアイに変わっている。

ユーマ「うお!なんだこれ!」

鎧と剣を装備しているため、さらに中二病臭い感じになってしまった俺の容姿に、違和感と少しのワクワクを感じてしまう。

NPC「へっへ~ん、すごいだろ~!」

ユーマ「いや、すごいけど....。これ戻るのか?」

NPC「時間が立ったら戻るよ~。俺たちは、いたずらがしたいだけで、困らせたいわけじゃないからね!」

と言って、満足げに飛び回る。

ユーマ「そ、そっかぁ。それじゃぁ、ドラフニルの場所って教えてくれるか?」

NPC「そんなの、村を出て、まっすぐ進めば、舗装された道に出るはずだから、そっから道なりに進めばそのうち着くんじゃないか?」

と言って、ブンブン飛び回る。

ユーマ「って、それじゃぁ。お前も知らないのかよ!」

NPC「だって、ここに入ってきたのが何処からか俺たちは知らないからな~。」

ユーマ「それってどういう事だ?」

NPC「そのままの意味だよ~。」

と言う感じで話が嚙み合わない。

ユーマ「ま、まぁ。道なりに進めばいいんだもんな。」

NPC「そうだぞ~。」

ユーマ「そ、それじゃぁありがとな。」

NPC「あぁ!いつでも来いよ!いたずらさせてくれる人間は大歓迎だ!」

と言って、宙を一回転して手を振ってくれる。

(と、取り敢えず急いでこの村から出るか.....。ここって戦闘エリアなわけだし、早く安全な場所で休みたいしな.....。)

本当は、もっとゆっくりこの村を探索して見て回りたかったのだが、早くログアウトして寝たいという気持ちと、もうすでに夜ではあるのだが、夜の戦闘は危険なため、俺は急いで安全な場所であるカフカルという村に向かう。

ただ、そうとう後になって知った事なのだが、あの妖精の村は、あのお姉さんが言っていた通り、本当に幻の村だったようだ。そうだと知っていれば......。戦闘エリアと知っていても、いたずらされたとしても、俺はあの場に留まっていただろう......。

System:新たな称号を手に入れました。


PlayerName:ユーマ

種族:人

職業:剣士

Level:19

Skill:Healing/王国騎士流体術(未完成)/Meditation(瞑想)/Slash(斬撃)/High Slash(高斬撃)/Double Slash(二連斬)/Magic Control(魔力操作)(未完成)/Boost Slash (斬撃上昇)/Hideing (身を潜める)/Search(索敵)/Magic Regulation(魔力調整)

称号:プレイヤー/竜の心呪/妖精の歓迎


PlayerName:シェリフィス

種族:不明

職業:不明

Level:不明

Skill:不明

称号:.../プレイヤー/妖精の祝福


<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>

「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」

「なんということでしょう.....。ユーマさんが来た村って妖精さんの村だったんですね!」

「いたずらされなくて良かったですね.....。って最後結局いたずらされてる!?」

「まぁ、情報を手に入れる対価としては、仕方のない事だったのかも?」

「その後、ユーマさんは無事にカフカルに着くことは出来たのでしょうかね?」

「さぁさぁ、そんなことは置いておくとして、今回もサクッと解説していきましょう!」

「そうですねぇ、妖精のいたずらってどんなのがあるのかを解説しましょうか?」

「まずは、先ほどユーマさんが受けたような、見た目の変更です。」

「髪の色や形、目の色や、瞳の形、耳の形や大きさに、鼻の大きさ等、様々ないたずらがあるようです。」

「他には、インベントリーからアイテムを奪われ隠されるといういたずらに、声の変更、アイテムの見た目の変更や、服装の変更等様々ないたずらがあるようです。」

「ちなみに面白いいたずらばかりだけではなく、本当に危険ないたずらもたまにございますので、注意が必要なんですよ.....。」

「危険ないたずらだと、落とし穴や、視界反転に、見た目の変更、モンスターのおびき寄せ等です。」

「見た目の変更では、たまにプレイヤーの見た目をモンスターに変更させる"失敗"を起こすため、他のプレイヤーに襲われるという危険がございます。」

「ただまぁ、全て時間経過で解除されるのでご安心ください。」

「他にも、危険ないたずらは御座いますが、"プレイヤー関連"のいたずらは、こんなもんでしょうかね?」

「それでは、本日の解説は以上とさせて頂きます。」

「ばいば~い。」

「あ、解説してほしい事があったら是非コメントにお書き添え下さい!」

「いつでも、どんなのでも歓迎です!」

(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))

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