ー 25話

キン!ッキン!

「ギャッギャギャッギャ!」

ユーマ「あぁ、もうこいつら!」

ドラフニルに向かう道中、少しだけ寄り道してしまったのが間違いだった。

と言っても、寄り道しようがしまいが、結局はこいつらに出くわしていたような気はするのだが.......。

Monster:Goblin Merchat Group (ゴブリン商団)

ユーマ「本当に、運が良いんだか悪いんだか!」

キン!カキン!

このゴブリン商団という、名前のモンスターは、定期的にワールドのどこかで度々見受けられる。レアモンスターのような存在だ。

倒せば、億万長者になれる可能性が秘められており、沢山の物資や珍しいアイテムを手にすることが出来ると言われている。ただ、そもそも出くわす可能性が非常に低く、ゴブリンのレベルもそこそこ高いため、逃してしまったり、倒されてしまったりすることがほとんどだそうだ。それに、そもそも億万長者になれる可能性があるというだけで、極めてその可能性は低いというのが問題である。

と言うのも、プレイヤーに出会った時点でこのゴブリン商団の商人らしき人物と、物品を持ったゴブリンが、一瞬にして逃げの姿勢に入るのが問題だ。何故、追いかけないのかって?それをさせないように立ちふさがる憲兵のような役割をするゴブリンが逃げる時間を死に物狂いで稼ぐからだ。

それも、どんなに汚い手を使ってでも行く手を塞いでくるのが、問題である。

ある高レベルプレイヤーが、このゴブリン商団から手に入ると言われる非常に珍しいアイテムというのが気になるため、壊滅まで追い込んでやろうと、沢山のプレイヤーをかき集め進路を調べ上げ、回り込み、追い込もうとしたが、結果は惨敗した。

見たことのない技能スキルやアイテムで、場をかき乱され、逃げられ、やっとの事で手に入れることが出来たのは、金で出来た謎の指輪1個だった。

これには、準備に大金を積みいろいろ対策を立ててきたプレイヤー達もさすがに付き合いきれず、呆れてしまい。今後、ゴブリン商団に関する事には、一切関わらないと誓うほど、手痛いものとなったようだ。

「ギャギャッギャ!」

「ギャブジャジャギャルバ!」

ユーマ「あぁ、もう何言ってのか分かんないって!」

「ギャッブルジャジャ!」

「ギャッバルバーギャギャ!」

キン!ッキン!

ユーマ「ッグ!」

「ギャルバギャギャ!」

ユーマ「痛ってぇなぁ!」

刺された背中からは、赤いエフェクトが撒き散らされる。

ユーマ「Healing!」

一定の距離を保ちながら、剣と盾を持ったゴブリンが、俺のタゲを取り、打ち合ってる隙に回り込んだ別のゴブリンがHidieing技能スキルで忍び寄って攻撃してくる。近づいたのを確認して、後ろのやつを攻撃しようとすれば、横から弓を持ったゴブリンの矢が飛んできて、横腹を刺されてしまう。逃げようとすれば、いつの間にか仕掛けられている罠に引っ掛かり、足元をすくわれてしまう。それに一番厄介なのは、ゴブリンもポーションを使って回復しているところだ。

ユーマ「お前らゴブリンだろ!こんなんどうやって倒しゃぁいいんだよ!」

「ギャッギャッギャ!」

ユーマ「ッチ!ほんとに.....。」

先日戦ったゴブリンの事を思い出して、あいつらの方が千倍マシだったなと、思いながら、逃げるの一手に賭ける。

ユーマ「ほらよ!」

掲示板で聞いた話が本当なのかは、確かではなかったのだが、俺はインベントリーから金貨を取り出して、数枚森の奥に投げ、道中で手に入れて保管したままのモンスターの素材などもその場にばらまいた。

「ギャ?ギャッギャッギャ!」

明らかに喜び顔のゴブリン達、俺は、そいつらが、アイテムに気を取られている隙に、森の中にHideing技能スキルを使って逃げる。

プシュルルルルー。ザク!

ユーマ「ッグ!」

足から鈍い感触が伝わってくる。右上に新たなアイコンが現れる。

ユーマ「はぁ、本当に、欲張りな奴らだな!」

ユーマ「これでも!くらっとけよ!」

進路とは、違う方に金貨を数枚投げて、そっちにおびき寄せる。

ユーマ「はぁ、はぁ。麻痺って痛ってぇ.....。」

足が遅くなっていくのを感じるし、痛みが増してくるが、死ぬよりはマシなのでそれでも、踏ん張って走る。

森の中は危険だが、そんな事を言ってられないヤバい集団が後ろでギャッギャギャッギャ騒いでるのだから。本当に最悪の状況だ。

こんな時に森の中でモンスターに出会いでもすれば、俺は死んでしまうだろう。

(それよりもっと最悪なのが、もうすぐ夕食時だという事だ。)

これじゃぁ、ゲームを辞めることも出来なければ、休んで回復することも出来ない。

取り敢えず近場の休憩できる街か村.....。

森の中をひたすら走っていると明かりが見えてくる。

(こっちの進路だと.....。この村か!)

俺は、やっとの事で辿り着いた村をひたすら走って村の広場らしき場所で、すぐにログアウトすることが出来た。

これで取り敢えずは、死ぬことはないはずだ。

シュイン

[ユーマさんがログアウトしました。]

System:警告します。ここでのログアウトは、―。


PlayerName:ユーマ

種族:人

職業:剣士

Level:19

Skill:Healing/王国騎士流体術(未完成)/Meditation(瞑想)/Slash(斬撃)/High Slash(高斬撃)/Double Slash(二連斬)/Magic Control(魔力操作)(未完成)/Boost Slash (斬撃上昇)/Hideing (身を潜める)/Search(索敵)/Magic Regulation(魔力調整)

称号:プレイヤー/竜の心呪

Debuff:麻痺(軽傷)/出血(軽傷)


<ネタバレにならない程度でサクッと解説コーナー!!!>

「どうも書架に飾るを書いている白ウサギです。」

「ちょ、ユーマさん....システムが何か警告してくれてましたよ!」

「はぁ、皆さんも1回くらい経験あるんじゃないですか?私は、経験ありますよ。ゲームをしている途中で、ちょっと放置したままにしていたらいつの間にか死んでた!?って状況。」

「ユーマさん、死ななければいいんですけど.....。」

「ただ、この警告が何の警告かまだ分かりませんもんね。」

「良い警告ってなんだって感じですけど、もしかしたらなんかこう、その......。」

「アプデの警告?だとか~。麻痺してますよ!そのままログアウトしていいんですか?的な警告かもしれません!」

「って....。誰に言ってるんでしょうね。まぁ、そんなことは、次回分かるとして、今回も解説しましょう。」

「今回は、前回新たに手に入れた称号、竜の心呪について解説しましょうか。」

「竜の心呪.....。不気味な名前してますね。」

「どんな効果があるのでしょうか?」

「まず、この称号を持っている"人物"の現在位置が分かります。」

「え、GPSって?はい、GPSみたいなもんです。ただそれよりたちが悪いかもしれませんけど....。」

「次にこの称号を持っているプレイヤーは、精神汚染系に対して、若干の耐性がUPします。」

「あら、ちょっといいスキルなのでは?って?そんなわけありませんよね....。」

「代わりに、竜に対する敵対心や反逆心が減少します。」

「さらに、竜の言語理解に若干補正が入ります。」

「え?う~ん....。敵対心や反逆心の減少ってどういうこと?って思われますよね?」

「竜の命令やお願いに対して、断れなくなってしまったりするという意味です。」

「ただ、自害しろ等と言うプレイヤーの意志に反する命令やお願いに対しては、効果は薄いようですが、簡単な命令やお願いに対しては、叶えなければならないという思いに支配されてしまいます。」

「ある意味、デバフ効果のある称号です。」

「称号は、全てにおいてプラスに働くわけではありません。」

「本当に最悪な称号の中には、プレイヤーがゲームを辞めるのではないかと思うような称号も存在しています。」

「それでは、本日の解説は以上とさせて頂きます。」

「ばいば~い。」

「あ、解説してほしい事があったら是非コメントにお書き添え下さい!」

「いつでも、どんなのでも歓迎です!」

(ただ、ネタバレを含む解説は出来ませんので悪しからず。(小声))

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