ー 18話
シュイン
「お~い!いたいた!」
俺に大声で手を振りながらやってきたリュウは、ニッコニコな顔で近づいてきた。
リュウ「おっそいぞぉ。ユーマ」
ユーマ「いや、時間通りだし、というかお前ん家あそこから結構距離あったよな?」
リュウ「そんなもん爆速よ爆速!」
と言いながら、それより行くぞ!と言って俺の腕を掴んで引っ張る。
ユーマ「ちょい待てって、まずは回復薬だとかそういうの買ってくぞ。」
リュウ「お前、ヒールあるんだしいいじゃんか。」
ユーマ「MP切れたらどうすんだよ!」
※MP:マジックポイント、いわゆる魔法を使うための器。ゲームなどでよくある魔法を撃つための容量。
リュウ「もう、心配性だなぁ優等生君は。」
ユーマ「ほら、変な事言ってないで、買いに行くぞ。」
リュウ「ほ~い。」
ダッシュで向かうリュウを追いかけながら、いつも利用させて頂いているアイテム屋に入る。
カランカラン
NPC「いらっしゃいませ。」
リュウ「包帯6つと塗り薬10個くれ!」
リュウ「あと、ポーション6個。」
速攻でカウンターに向かって行ったリュウは、NPCにまくしたてながら話をする。
NPC「畏まりました。少々お待ちください。」
ユーマ「ちょ、普通に棚からアイテムを取ってから渡して買えばいいだろ?」
リュウ「んなもん、取るのめんどいしよ。言ったほうが探す手間と取る手間が短縮されんじゃん?」
ユーマ「それだとNPCがカウンターの後ろの棚からアイテム取ってくる羽目になるんだから、あんま時間変わんないって。というか店員さん可哀そうだろ?」
リュウ「NPCなんだから良いって良いって。」
ユーマ「はぁ、NPCだったとしてもこんだけリアルだったらちょっとはなぁ。」
呆れながらも、ゲームだし皆そんな感じだもんなぁと思っていると、アイテムの代金を払い終えたリュウが、
リュウ「ほら、行くぞ。」
ユーマ「おい、ちょ。ありがとーござry。」
リュウに思いっきり腕を掴まれて引っ張ってられていく。
俺は、店員さんにお辞儀と挨拶ができず、
NPC「ありがとうございました。」
遠くで、NPCの言葉が聞こえるが、俺はなすがままにそのままリュウに引っ張られていく。
ユーマ「明らかにお前、強くなってるよな?」
ふと竜人と人でステータス差があるとはいえ、ここまで抵抗できない事に違和感を感じる。
リュウ「フッフッフ、気付いたか!」
待ってましたと言わんばかりの笑顔で俺を振っぱりながら応えるリュウは、本当にムカつく顔なんだが引っ張られている状況なので殴れない。
ユーマ「そりゃどんだけ抵抗してもお前に引っ張られるんだから、気付くわな。」
リュウ「なんとこの前、レベル11になりました!」
ユーマ「は?お前マジ?」
あれから数日リュウと遊んでいないとはいえ、明らかに上がりすぎているレベルにドン引きする。
リュウ「それはそれは、もう地獄のようなレベリング作業だったわ。」
※レベリング:レベル上げの事。
上を見上げながら言うリュウは、疲れたわ~と言いながら町の外向かって走っている。
ユーマ「最近一緒にできないって言ってたくせに一人でやってたんだな。」
リュウ「いや、それは夜中にやるからお前から連絡来た時ってマジで寝てただけ。」
ユーマ「ってことはだ。宿題は?」
リュウ「ッグ。」
ユーマ「おい!痛いだろ。」
リュウが急に停まったので、リュウの背中に鼻をぶつける。
リュウ「お前が嫌な事思い出させるからだろ?」
助けてくれってマジでっという顔で言うリュウを無視して俺は、
ユーマ「まぁ、頑張れよ。」
と、リュウの肩を叩く。
リュウ「そんなぁ。」
しばらく駄々をこねていたんだが、町の外に着いたことで一旦収まった。
リュウ「着いたぞ。」
ユーマ「いや、まぁいつもの草原に着いたわけだけども。」
リュウ「こっからは、森を使ってショートカットで最前線までレッツゴーだぜ!」
ユーマ「は?今何て?」
リュウの言葉が理解できずに聞き返す。
リュウ「いやだから。ショートカットで最前線だって。」
ユーマ「何処行くって?」
リュウ「モッリ!」
ユーマ「いや、モッリじゃねぇよ。」
危険だとあれだけ言われていたし、初めに教えてくれたのがリュウなのに....
しかも動画でも危険すぎて入れる人がほぼいない森を突っ切るというリュウの考えに俺は、無理だろと反対する。
リュウ「えぇ一回さ?試しに行ってみよう!」
ユーマ「いや、お前はいいかもしれんけど、俺はレベル低いんだが?」
それでも行こうぜ行こうぜと何度も急かすので、
ユーマ「分かったよ。じゃぁ、こうしよう。もし危なくなったり敵に出会ったりしたら引き返すぞ?もちろん敵と出会っても速攻で逃げるぞ。」
リュウ「えぇそれじゃぁ俺の強さが......」
ユーマ「いや、お前が強いのはわかったけど、これ守れないなら俺行かないからな?」
リュウ「チェ、速攻で最前線にいけるかもしれない良い作戦だと思ったのになぁ。」
がっかりしながらも、まぁいっかと言う風に武器を取り出して俺たちは、戦闘モードに切り替える。
「お~い、そこのお前たち~。」
何処からか声がしたので振り返ると、
「そっちは危険な森だぞ?」
と、親切なプレイヤーが教えてくれる。
ユーマ「あ、どうも。親切にありがとうございます。俺たちは知ってて行くんで大丈夫です。」
「そうかぁ、レベルが高いんだなぁ。すまんかったな邪魔して。」
と言ってその親切なプレイヤーは、何人かいる方に戻って行った。
ユーマ「おい、やっぱ危ないんじゃないか?強くなったって言ってもたかだかレベル11なんだろ?」
リュウ「レベル11は、11でも竜人の11なんだからな!」
自信満々に応えるリュウに呆れながらも、こりゃ1回、痛い目でも見ないとわからないわ。と諦めて森の中に入って行く。
PlayerName:ユーマ
種族:人
職業:剣士
Level:6
Skill:Healing/体術(未完成)/Slash(斬撃)/Magic Control(魔力操作)(未完成)/Boost Slash (斬撃上昇)
称号:プレイヤー
PlayerName:リュウ
種族:竜人
職業:槍士
Level:11
Skill:.../Dragon Heart (竜の心臓)/Stab Spear(突槍)/Boots Spear (突上昇)
称号:プレイヤー
<スキル効果をネタバレにならない程度で少しだけ解説>
Boost Slash (斬撃上昇)
自身の剣の攻撃力が一定時間上昇する。SPを消費する。
[隠しステータスである熟練度によって攻撃力が上昇し、効果時間も増加。]
取得条件:剣を一定回数使用し、斬撃系スキルを習得している事。
Boost Spear (突上昇)
自身の槍の攻撃力が一定時間上昇する。SPを消費する。
[隠しステータスである熟練度によって攻撃力が上昇し、効果時間も増加。]
取得条件:槍を一定回数使用し、突槍系スキルを習得している事。
※[]の部分は、プレイヤーのステータス内でも表示されていません。そのため現在、"普通のプレイヤー"が隠しステータスの存在を知ることはありません。
※SP:スタミナポイント、いわゆる肉体系スキルを使うための物。ゲームなどでよくあるスキルを撃つための容量。
※隠しステータス:それぞれの隠れた才能や、潜在能力などをデータで数値化したもの。また、この隠しステータスではNPCの好感度なども管理されており、書架に飾る"聖命の書"で書かれた。"一部の種族からの好感度は最低値を下回っており、"という部分に該当する。また、他にもいろいろな要素が隠しステータスで管理されていますが、別の書で書き記されます。
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