ー 8話

ユーマ「ふぅ、逃げきれたか?」

死亡フラグな事を言いながら、俺はヴィギルアの町に帰ってきた。

ユーマ「薬草も回収できたし、ギルドに行くか。」

(その前に、あいつに終わった事をメッセージで知らせとくか。)

--PosM--

達也:俺はリュウ。 20:11


佑真:おーい、リュウ。今からギルドに行って試験のやつ提出してくる。 21:24

達也:了解!俺も、やる事終わったら、ギルドに向かうわ。 21:26

佑真:了解。 21:27


ギルドに着くと、最初に来た時とは変わったBGMが流れてくる。ギルドの中では、多くのプレイヤーが手にビールジョッキを持ち飲んだり、骨付き肉....いや漫画肉(?)を持ったりして雑談している。

ユーマ「本当に、酒場みたいになっているな。」

ゲームの中とはいえ、何処か後ろめたさを感じて、少し後ずさりしてしまう。

(まぁゲームの中だし早く報告しないとあいつが来るからな。)

そんな事を考えながら、カウンターの方へ向かう。

NPC「こんばんわ、ユーマさん。」

ユーマ「あ、はい。こんばんわ、えっと。」

NPC「あ、自己紹介がまだでしたね。リリスと言います。」

ユーマ「リリスさんですね。よろしくお願いします。」

リリス「はい、よろしくお願いします。それでユーマさん、どのようなご用件でしょうか?」

ユーマ「えっと、試験の薬草を集め終わったので、それの報告に来ました。」

リリスはぎょっとした顔をしてから、

リリス「ユーマさん夜に町の外へ出たんですか!?」

と言う。

(なるほど、講義でカメラ機能にしてた人の気持ちが少しわかったかもしれない。)

そんなことを考えながら、

ユーマ「はい、そうですね。何かまずかったですかね?」

と言い、薬草をインベントリーから取り出す。

リリス「夜はモンスターが凶暴化してとても、とっても!危険なんですよ!」

そう言いながら、どれだけ恐ろしいのかを身体で表現しているのだが、小さいせいもあって全然怖くない......。

ユーマ「そうなんですね。確かに、ウサギに襲われて大変でした。」

リリス「えぇ!?ビギナーズキリングに襲われて逃げきれたんですか!?」

そう言いながら、また驚いた表情をして、何処もケガしていないですよね?と良いながら俺のところまで来てグルグル回る。

ユーマ「はい、ところでそのビギナーズなんちゃらってなんですか?」

リリス「ビギナーズキリングは、冒険者の間で付けられた名前でして、入会したての初心者がその可愛い見た目のモンスターを侮ってよく大怪我をしたり、最悪殺されたりすることからつけられた名前なんです。」

リリス「講義で説明しましたよね?」

そう言いながら、聞いてなかったんでしょ!と言う風に口をぷくっと膨らませて怒っている。

ユーマ「すみません。そういえば、講義に絵が貼ってありましたね。」

リリス「そうですよ。気を付けてくださいね。命大事に!です。」

そう言いながら、薬草を数え終えて扉の向こうに消えて行った。

数分してリリスがカードを持って戻ってきた。

リリス「こちら身分証になるギルドカードです。」

ユーマ「ありがとうございます。」

リリス「これからは、夜の冒険は控えるんですよ!」

そう言いながら、リリスは書類を抱えて消えて行った。

(怒られてしまったなぁ。それにしてもNPCって感じしないんだよなぁ。)

そう思っていると後ろから声を掛けられる。

リュウ「やっと見つけたぞ!」

ユーマ「あ、悪い。忘れてた.....。」

リュウ「おい!まぁ、無事にクエスト終わったみたいで良かったよ。」

ユーマ「というか、リュウ。夜があんなに危険だったら教えといてくれよ!」

そう言うと、アハハ、わりぃわりぃ。と言いながら頭を掻く真似をして、

リュウ「無事だったんだからいいだろ?」

と言いながら、酒場の席についていつの間にか頼んでいる料理を食べて始めている。

リュウ「まぁ取り敢えず食えよ。俺の奢りだぜ?」

ユーマ「もしかしてこれで、奢りはチャラとかいうんじゃないだろうな?」

リュウ「アハハ、やっぱダメか。」

ユーマ「はぁ、まぁそれはさておき、これからどうするよ?」

リュウ「あ~、さすがに俺も始めたばっかで夜を探検する勇気....というか無謀?なことはなぁ。」

そう言いながら、俺の方を見てにやにやする。

ユーマ「おい!俺はゲーム初心者なんだから夜が危険だなんて知ってるわけがないだろ?」

そう言って反論すると、

リュウ「悪かったって。まぁ取り敢えず町の探索かな?」

リュウ「んで、本格的に遊ぶのは明日の昼からってことで。」

ユーマ「了解。それより夏休みだからって宿題はサボるなよ?見せてやんないからな?」

リュウ「そんな!お前に頼るつもりだったのに!」

そう言いながら、お願い!という風に手を合わせてくるがそれを無視する。

ユーマ「それより、味もするんだな。」

リュウ「すごいよなぁ。俺、漫画肉なんて初めて食ったぜ。」

と言いながら、両手に漫画肉を持って豪快に食べている。

ユーマ「それじゃぁ、これ食べ終わったら町の探索してから今日はゲーム辞めるか。」

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