天魔の書
天魔の書
遠い昔、まだ人類が創造される前の世界では、天に住まう翼の生えた種族、天使が地上に来ていた。彼らは、"創造主"と呼ばれる存在に最初に創造された生き物であり、この世界の管理を任された者であった。
地上には、様々な動物が暮らし、実り豊かな大地が広がっている。それらを管理し天使たちは、その実り豊かな大地から僅かな恵みを頂きながら平和に暮らしていた。
しかし、そんな平和な暮らしは長く続くことはなかった。
ある日、とある天使に動物が話しかける。
動物「あなたの伴侶である天使さんが、天界にある開けてはならない扉を開けようとしてるそうですよ?」
動物「あなたは止めに行かなくていいのですか?」
それを聞いて慌てた天使は、急いで天界へと戻る。
しかし、そこには伴侶の姿は無く、現れたのは別の天使だった。
「あぁなんと罪深い。ここへは来てはならないと言いつけられていたのに。」
「あなたはどうして"開けてはならない扉"に現れてしまったのか。」
「この行いをどう罰するすべきだろうか。」
天使は戸惑いながらも、私が来た理由を説明する。
「私がここに来た理由は、私の伴侶がここにいると聞き、天界へと急いで戻ってきたのです。私の伴侶はどこにいるのですか?」
天使は呆れた口調でそれに応える。
「あなたを除き、ここへは誰も来ていない。そのような事を言ってはぐらかし、言い逃れをしようとは、あぁなんと罪深い事でしょう。」
「本当です。私は、地上にいる動物にここへ私の伴侶が来て扉を開けようとしているという話を聞いたので、急いで止めに来たのです。」
「そのような事は、ありえない。何故、地上の者が天界の扉の事を知っている?」
「そのような事はあるはずがなかろう。」
「本当です。"主に誓い"私は、嘘を言っておりません。」
「ハッハッハ、愚かにも天使が主に誓うか、なら噓であったならそれ相応の罰を受けてもらおう。」
「承知しました。」
「この者を牢に!」
それから天界では、慌ただしい日々が続き、真相を解明すべく動いていた。
途中、私の伴侶が何度か牢に現れては、私の心配をし帰っていく。
次第に私の心は疲弊し疲れていった。
幾年の月日が流れ、判決が下された。
私は、"罰"を受けることになった。
周りの天使は、私の事を見下し、私に罪を問うた天使は嘲笑っていた。
ただ一人、私の伴侶を除いて......
私の伴侶だけが、私を見て泣いていた。
最後まで私の味方でいてくれた。
(あぁ.....私はあなたを悲しませてしまったのですね。)
罪人は翼をもがれ落ちてゆく、二度と天界に登ることは許されない。
地上に着いた罪人は、暫くはどうにか生き残ることができていた。
地上に追放されてからは天使を一度も見ていない。
(あぁ....私の伴侶は、元気にしているのだろうか。悲しんでいないのだろうか。)
それから幾年の月日が流れ、私の目の前にあの時私を嘲笑っていた天使が舞い降りた。
「ハッハッハ、愚かにもまだ生き残っていたのか。本当に目障りでならない奴だ。」
「あの時、貴様が天界の扉に来るように仕向け、天使の翼を奪うところまでは計画通りに進んだというのに。」
「な....何故そのような。」
「ハッハッハ、何故か知りたいか?」
「まぁ説明したとて仕方のないことよ。貴様はもうすぐ死ぬ手はずとなっている。」
「潔く死ね。」
バタ......
「ハァ....やっと死んでくれたか。」
伴侶「今の話、どういうことでしょうか。」
「ッチ、貴様、地上への立ち入りは暫くの間、禁止だと言われておっただろうに。」
「残念だよ。」
グサ.....
「ハッハッハ、これでもう、目障りな奴は全て消えた。」
「これで私の計画は、次の計画に移すことができる。」
(あぁ.....なんと罪深い。)
「誰だ。」
(あぁ......なんと欲深い。)
「姿を現せ。」
バキ、バキ......
バキ、ボキ.......
月がその怪物を照らす。
美しかった白い翼は、蝙蝠のような醜い翼に代わり、額には角が生え、あの美しかった頃の面影はもうそこにはない。
「な、なんだ貴様。その姿は.....。」
「グァァァァァァァァァァァァァァ」
甲高い声が地上に響き渡る。
月が照らすその怪物は真っ赤な血に染まり天を見上げ嘆く。
(あぁ....なんと汚れているのだろうか。)
(全て....消えて無くなればいいのに。)
血に染まった怪物は、地上に怨念を振りまく。
やがて地上には後に魔素(怨念)と呼ばれる物質が広がり、地上の生き物は変わっていく。動物は血に飢え、姿形が凶暴な容姿へと変貌し、全てを蹂躙する悪と為す。
「あぁ.....私は、彼を救えなかったのね。」
生涯最後に流す涙と共に彼女は、天に向かって羽ばたく。
この世の全てを滅ぼすために。
友人「っていうのがこの世界の始まりで、この化け物というか魔王的な奴を倒すゲームらしいのよ。どうよ、このゲーム面白そうじゃね?」
俺の友人は、俺の顔を覗き込みながら、ワクワクした顔でそう言う。
「それで?それが最近話題のVRゲームとかいうやつで出るってわけ?」
友人「そうそう、佑真もやってみようよ。お前バイトで溜めた金の使いどころ分からねぇって言ってたじゃん。」
佑真「言ってねぇよ。バイトの金を溜めてるとは言ったけど、生活費にするんだよ。勝手に決めんなって。」
友人「良いじゃん。ケチケチすんなって、しかもこれ今話題の、ゲームで手に入れたアイテムを現実のお金と交換できる機能までついてんだぜ。」
佑真「はぁ。そんなうまい話あるわけないだろ?せいぜい稼げても、数円程度だって。それに俺VRゲームとかいうやつやったことないし。」
友人「良いじゃん。この機に始めようぜ?協力プレイとかもできるからさ。」
佑真「はぁ。分かったって、そんで?そのゲームアルヨ電気に売ってんの?」
友人「売ってる売ってる、今から買いに行こうぜ。明日から夏休みだしさ、今日の夜からログインして遊んでみようぜ。」
佑真「おい、待てって。達也!」
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