ＦＷ〜ファンタジーワールド〜

五月雨安奈

ＦＷ〜ファンタジーワールド〜公式ガイドブック

それは

乙女ゲーム【ＦＷ〜ファンタジーワールド〜】の中で悪役令嬢とされていたフィリ＝エクスプロットのファン達の中では聖書と扱われるほどの代物だった。

「私がもしあの世界にいたらどうなってただろな。」

ガイドブックを読んでからずっと思う疑問だ。

本当にどうなってたんだろ？

「また、その話？」

「うん、だってだよ？なんでシナリオライターさんはフィリの救済エンドを作らなかったの？ひとつぐらい作っても良くない！？フィリは何にも悪くないのに！まさかの、まさかの公式だよ！？」

「確かにそれはそうだけど．．．」

「それにフィリの不運体質はライターさんが意図的にやってるとか思えない。」

「たしかシナリオライターやってる人ってアーミンさんだよね？」

「うん、鬱エンドしか書かないことで有名な。」

なぜか家にその人が書いた作品が沢山ある。お母さんが言うにはお父さんが揃えたらしいけど何思って置いてるんだろ？

「そういえば最近近くに美味しいカフェ屋さん出来たらしいよ。行かない？」

話を変えるように仁乃がカフェに誘ってきた。

「それいいね！」

＊

＊

＊

「結局、話変えようと思って行ったのにフィリのことばっかり話すじゃん。」

「ごめんって！でもあそこのパフェおいしかったね！」

「うん、気に入ってくれてよかった。」

やっぱり仁乃って普段仏頂面だけど笑うと本当にかわいいんだよね。背が小柄なのも合間ってかもしれないけど小動物感が。

「私、そこまで背低くないし。」

拗ねたようにそっぽをむく。そういう態度（とこ）なんだよ、仁乃。

喋っていたその時だった。

「どけぇえええええ！」

その声に驚き振り向いた瞬間、鋭い痛みと共に意識は薄れていった。

「うぁ、．．．」

「安奈ぁ！？」

仁乃の声が聞こえた気もしたけど．．．

あ、れ？

ここ病院？

目がぼんやりしてる

「ケイト！生まれたよ！！元気な女の子だ！！」

誰？？？

「よか、った．．．」

What?

ﾅﾆｶﾞｵｺｯﾃﾙﾝﾃﾞｽｶ?

「アンナ、どうか元気に育ってくれ。」

「ふぇー？」

え？え？なんでちゃんと喋れないの！？

え、まさか．．．

信じたくないけど、

転生した！？