第51話
一瞬意識が飛んでいたようだ。旭は目覚めて、すぐに目の前に静夜の顔があって思わず飛び起きた。
「おはようございます、三峰さん」
「お、おはようございます、静夜さん。あれ? わたし、死にませんでしたか?」
「身体は縫い合わせました。その後、黒魔術で蘇らせました」
首に手を当てると、几帳面なステッチがされていた。
「ああ……、そういえば黒魔術の本読んでましたね」
「【僕が死ぬまでその姿で生きる】よう契約したので、あなたは僕が死ぬまで一生その姿になってしまいますが、今後とも宜しくお願いします。ついでに魔術の代償として寿命も半分持っていかれたので長生きは望めませんが、諦めてください」
「はい。――ところで、置いてきてしまった生田はどういう用事だったんでしょう」
「うーん、あの雰囲気からすると聞かないほうが良さそうですね」
「どうしてですか?」
「多分彼もあなたのことが好きだったので。横取りをしてしまいました」
「え?」
「自分が恋を自覚してみるとなんとなくわかるものですね。告白されるまであなたからの好意に気づかなかった自分が信じられないです」
旭はそれを聞いて生田に電話した。静夜は特に止めなかった。
「もしもし、生田?」
『上手く行ったかよ』
「うん、先輩、わたしのこと好きだって」
『よかったな』
「ありがとう」
『お前が不幸せに見えたら俺が静夜先輩ぶっ飛ばすからな。伝えておけよ』
「わかった、ありがとう」
通話を切った。生田は本当に良いやつだなと思った。
「なんて仰ってました?」
静夜が問いかけた。
「わたしのことを不幸せにしたらぶっ飛ばすらしいです」
「ぶっ飛ばされるのは怖いですね。なるべく幸せにします」
「末短くよろしくお願いします、わたしの愛するフランケンシュタイン」
「こちらこそ、僕の僕だけの欠陥だらけの愛しき怪物<イヴ>よ」
恋するゾンビの殺し方 蓮海弄花 @rwk
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