第4話 清水景治

 204回目~216回目までの関ヶ原の戦いでは、何度戦っても宇喜多秀家は鉄砲で討ち死にした。おかしい。絶対におかしい。

 217回目の戦いで、松尾山に陣取っていた大谷吉継から報告が入った。小早川秀秋配下の鉄砲隊が、宇喜多秀家の後ろに回り込み狙撃していたのだ。その鉄砲隊を指揮していたのは清水宗治次男の清水景治。大谷吉継は清水景治を固縛し尋問したところによると、なんと、毛利家はもともと今回の戦いのドサクサに紛れて宇喜多秀家を亡き者にするという計画だったのである。

 宇喜多秀家が戦死させるところまで西軍として戦い抜き、その後、さっさと和睦する。宇喜多の旧領は毛利家で奪い取る。なんと都合の良い計画なのか。では、実行役が清水景治の部隊だったのはどういうことなのか?

 清水景治は、備中高松城の水攻めで自害した清水宗治の次男であるが、結果として清水家は没落し、清水景治は小早川秀秋の配下である。宇喜多秀家の所領となっている備中は、もともと毛利家が清水宗治に与えた領地であるが、それを宇喜多秀家が奪って治めている形になっているのである。

 宇喜多秀家が戦いで戦死した場合、備中高松城は清水家に与えるという毛利輝元の密約まで存在していたそうだ。毛利輝元め、大坂でただ座っていればよいものの。余計なことを。しかし、再び、宇喜多秀家は戦死し、217回目の関ヶ原の戦いも敗戦に終わった。

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