空(くう)になる

古 散太

空(くう)になる

宇宙まで見えそうな青空の下で

大の字に寝転がるビルの屋上

ゆっくりと流れていく小さな白い雲

明日のことなんて考えられない

この後のことなんて考えたくない

流れていく雲のテンポで

青空に吸い込まれていくように

わたしは無から空になる


どこかから聞こえるクラクションは

世界に広がるこの世の叫び声

誰の耳にも届いてるはずの悲鳴

わたしはもうその世界にいない

わたしはすべてを知ってしまった

幼稚な頭をフル回転させて

青空と混ざりあい溶けあうように

わたしは無から空になる


幸せと喜びがひしめき合っている

世界はもっと極楽浄土

ゆっくりと流れていくやさしい時間

何を学んできたのか分からない

この世が何なのか分からない

誰もが見ているこの世とは

違うこの世もあったりするから

青空と同じものになって

わたしは無から空になる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空(くう)になる 古 散太 @santafull

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ