6 茶トラの子猫

 こちら『茶トラの子猫』でございます。


 子猫でございます。

 木に登って降りることができなくなったとか。

 救出されるのでしょうか。

 ちなみに、豚はおだてたら木に登るとか。実際に見てみたいものです。


――――


 みやぁ。みゃぁ。みゃぁ……。

 怯えたような子猫の鳴き声が、夏もそろそろ終わろうという空の中に吸い込まれていく。


「大丈夫。大丈夫、だから……じっと、じいっと……してるのよ……」


 あたしは幹に捕まりながら、そろそろと、枝の先端へと手を伸ばしていく。

 なんとかがんばって、ここまで登ることはできた。

 けど、もう、あたしの体力は限界にきていた。

 ちょっとこのところ、身体の調子がよくなったから……といって、無理をしすぎたみたいだ。


――――(『お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす~激ムズ乙女ゲームに転生したけど攻略キャラの設定がおかしいです』本編より)




「お兄さま、猫ですわ!」

「ああ、猫だな……。異世界デパートでは生体も扱うのか……」

「見てください! 子猫なのに、もう獰猛なハンターの目をしていますわ! 恐ろしいですわね」

「捕獲されないように気をつけないとな。イトコ殿はとても可愛いから、すぐに捕まってしまうだろう。気をつけないと」

「まあ! 失礼な! わたくし、こう見えても、カクレンボとニゲアシは熟練ですのよ! 木から降りられなくなった猫などに負けませんわ!」

「イトコ殿、頼みますから、勝負はしないでくださいね」




〈イラスト掲載先・近況ノートに飛びます〉

https://kakuyomu.jp/users/morikurenorikure/news/16818023212153184041



〈この作品は……〉

1-1.茶トラの子猫

https://kakuyomu.jp/works/16817330667671419555/episodes/16817330667671574497

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