2 エリザベスの実

 こちら『エリザベスの実』でございます。


 子どもの握りこぶしくらいの大きさの黄色い実になります。

 ちなみに『エリザベス』とは、国宝指定樹である肉食花の原種に贈られた称号になります。


 数十年に一度、数個の実をつけるという……とても貴重で、瑞兆の徴ともいわれていますが、発情によって実をつけるという異世界ならではの植物でございます。


 こちらの実は、とてもよく効く、まあオトナな生薬として有名なのですが、それは、本編でお確かめください。


――――


「うおおおおおおおんんん――!」


 地面が小刻みに揺れ始めた。

 と、突然。


 ぼたぼたぼたぼた……。

 ぼたぼたぼたぼた……。

 ぼたぼたぼたぼた……。

 ざざざざざ……。


 ものすごい勢いで、黄色い実が空から落ちてきた。


「痛っ! 痛い!」


 ひとつ、ひとつの落下の痛みはたいしたことがない。この程度で、オレのヒットポイントはびくともしないが、痛覚はあるので、痛いものは痛い。

 しかも、大量に、途切れることなく落ちてくると、地味に痛みを感じてしまう。



――――(『勇者召喚された魔王様は王太子に攻略されそうです〜喚ばれた先は多夫多妻のトンデモない異世界でした〜』本編より)


「お兄さま、お兄さま、こちら、エリザベスさんの果実らしいですわ」

「うむ。大量に収穫できたようだな。数十年に一度、数個の実をつけるらしいが、なにかの手違いか、大量収穫された年があったようだな」

「まあ! 異世界って、ホント、不思議なことばかり起きるのですね。驚きましたわ!」

「そうだな。予想外のことが起こるから面白いな」

「どのようなお味なのかしら? わたくしも食べてみたいですわ!」

「……それはやめておいた方がよいだろうな」




〈イラスト掲載先・近況ノートに飛びます〉

https://kakuyomu.jp/users/morikurenorikure/news/16818023211950511057


〈この作品は……〉

第29章−2 異世界のエリザベスは熱烈です(2)

https://kakuyomu.jp/works/16817330660778992634/episodes/16818023211926345008

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