1 デイラル先生の薬

 デイラル先生の薬……でございます。

 見るからに不味そうです。

 激まずです。

 バリウムの方が、はるかに人体にやさしそうなお薬です。



――――


 あたしは大きく息を吸い込むと、右手でコップをぐいとつかみとる。

 そして、左手で鼻を強くつまむと……一気に、コップの中身を飲み干した。


(ママママ、マジューイっ!!!!)


 覚悟はしていたが、六歳の少女にこの味は……厳しすぎる。

 全身の毛穴から、嫌な汗が一気にどばーっと吹き出すような感覚だ。

 この味をなんと表現したらいいのだろうか……。


 言葉にならない不味さだ。


 あたしは薬の不味さに身悶えながら、涙をだらだらと流した。

 薬と一緒に、さっき食べたドロドロ朝ごはんまでが逆流してきそうだ。


「レーシア! 我慢しろ! 吐くな! 味わうな! 飲み込め! 飲み込め! がんばって飲み込むんだ!」


――――(『お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす~激ムズ乙女ゲームに転生したけど攻略キャラの設定がおかしいです』本編より)




「お、お、お兄さま! なんて不味そうなお薬ですの! これは、本当にお薬なのですか! 毒薬もびっくりな気配をはなっていまわ!」

「そうだな。良薬は口に苦しというが……これは、飲むものの生命を奪いかねない色と香りだな」

「なんてお気の毒な……。でも、お兄さま、見てください。このマグカップのうさぎさん、とっても可愛いとおもいません?」



〈イラスト掲載先・近況ノートに飛びます〉https://kakuyomu.jp/users/morikurenorikure/news/16818023211894743929


〈この作品は……〉

2-5.デイラル先生の薬

https://kakuyomu.jp/works/16817330667671419555/episodes/16817330669631385441

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