あとがき

僕は頭や頭が大きい。

この言葉を何度も、何度も書いたことだろう。何度書くんだよ、と言いたくなるほど書いただろう。

コンプレックスというのは、根本が解消されなければ一生付きまとってくるものだろう。

今、このエッセイを書いている僕だって、コンプレックスを大きく感じている。

顔が大きい。

頭が大きい。

腕が短い。

脚が短い。

胴が長い。

ネガティブ。

コミュ障。

頭が悪い。


コンプレックスを語り出したらキリがない。

だけど。だけどだ。

コンプレックスがない人間なんていない。もし満たされているなら学んだり、働いたり、運動したり、ゲームしたり、現実逃避したりなんかしない。

全ての分野で、一位を取るなんてことできないのだ。

それにもしコンプレックスがない人がいるとするならば、それはコンプレックスがないことがコンプレックスのはずだ。

誰にでもコンプレックスはあるものだ。


あだ名で呼ばれた時。

床屋や美容院の椅子に座った時。

写真を撮る時。

柔道部の同級生相手に持ちこたえた時。

驚いた顔を見た時。

帽子を被ろうとした時。

威圧感があると言われた時。

美容院で髪を洗うためにリクライニングシートを倒される時。

顔を覚えられていた時。

モテるために縮毛矯正をかけた時。

改めて客観的に自分の顔を見た時。

頭が大きいから頭良いと勘違いされた時。

脚の短さに気が付いた時。


きっと僕はこのように様々なタイミングでコンプレックスを知る、もしくは思い出すだろう。

それでいいじゃないか。

コンプレックスを失くそうとするから辛くなるんだ。

だから、コンプレックスと寄り添って、墓まで連れて行こう。そして、心に余裕がある時に向き合って。他人と比べて、たまに燃料に変えてやればいい。

新たな長所を作り上げて、心の中でその相手に言ってやる。


「確かに自分はこんなコンプレックスがあるけど、自分はあなたにこれで勝っている。だから上とか下とかないんだよ」


心の中でそう叫んでやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モアイのコンプレックス 鈴木 正秋 @_masaaki_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ