第102話決着と旅立ち

「キャプテンハルクは、出来ればフローリ様の言う通り。シスターリリーの傍にいてやってください」


「わかった、聖女の護衛の範囲で。シスターリリーを見ておこう」


「私は、シスターリリーは大丈夫だと思う。敵をいたぶらず一撃で倒すのは、聖職者らしい慈悲ある倒し方だし。流石シスターと思えるわ」


 フランの言葉に、青いつばさのメンバーの皆が、賛同したのでキャプテンハルクも俺も、保険として見ていこうと言った。


「私を、信頼して認めてくれて嬉しい。確かに怒りで倒したのもあったが。決して自分の私怨ではないです」


〖ご主人様、右前よりSランク魔族5体と。Aランク魔族10体が近づいてきます。左に避ければ大丈夫です〗


「全員で、右前を警戒しながら左へ移動」


 俺の号令で、左へ移ったとたん右前から魔族の群れが現れたが、そこへ仙人の長老と四天王と16人の、Aランク冒険者級の仙人が現れ交戦してくれた。


 仙人達は、魔族の魔法を仙気という独特のオーラで、防いだり攻めに応用したりして戦っていたが、仙人の長老がフローリ様から話を聞いている、ここは任せて先に進まれよと言ってくる。


「長老ありがとう、リョウよ索敵で敵意がない魔族の。居場所がわからないか」


〖山の麓に、微かに反応がありましたが。他に強力な反応が5つあり竜族です〗


「アームよ、俺も頑張るが竜族5頭は。流石に無理だぞ」


「キャプテンハルク、あたしに考えがあるので。任せてもらえませんか」


 ライラが、そういうので失敗したら逃げる方向で、話が進められ皆もライラの案を実行すべく、目的地に近づいた。


 目的地には、レッドドラゴン2頭とブルードラゴンと、ブラックドラゴンとドラゴンゾンビが1頭づついたが、俺とライラが飛び出して聖竜の紋の入った盾を構えて見せると、大きな方のレッドドラゴンがしゃべり出す。


〖お前達は、聖竜の友であるかそれなら。われらは戦う事は出来ぬ〗


〖ブルードラゴンも、この場から退散する事にする〗


 3頭のドラゴンは、空のかなたに飛び去ってくれたが、ブラックドラゴンは邪竜の味方だからかかって来いと言い、ドラゴンゾンビは最初から話の通じる相手ではなかった。


 俺と、ドムとシスターリリーとキャプテンハルクで、ブラックドラゴンにあたるライラとフランとマリアとリョウで、ドラゴンゾンビを倒してくれ。


「あ 相手はブラックドラゴンだぞ。逃げるんじゃなかったのか」


「何を言ってるんだ、攻撃のかなめのキャプテンハルクが。弱気な事を言ってどうする。もしかして怖いのか」


「俺は、ブラックドラゴンだけは苦手なんだ。こいつに尻をかじられたのがトラウマで。他のドラゴンなら平気なんだが」


「このビビリが、私が頑張るからホーリーウエポンを。かけてやるからドラゴンゾンビと。戦ってきてくれるかしら」


 ビビリと、シスターリリーに言われてうなだれながら、キャプテンハルクはフランと交代して、ドラゴンゾンビに向かって行った。


〖なんだ、Sランク冒険者がいなくなったな。お前らなど相手にならんわ〗


 ドムは、右から切り付けてシスターリリーは左から手とう切りで、俺は正面から4の型からの下段からの逆斜め切りを繰り出すが、いずれも浅く傷つけたに過ぎなかった。


 ブラックドラゴンの、反撃は重く強くドムは片手を折られ、シスターリリーも肩口を爪で裂かれ、俺も腹を叩かれ後方に飛ばされたが、フランが新しく覚えたエリアヒールで皆を治してくれる。


 長引くかと、思われた時ブラックドラゴンの背に、無数の魔法攻撃が加えられのけぞった所に、右腹にドムの烈火斬が決まり、左腹にシスターリリーのホーリーパンチが炸裂し、俺のウォーターカッターが首を切り裂き、フランのテレポートからの魔法の空間斬が首を落とす。


 隣では、ライラがドラゴンゾンビの動きを止めストロングウェーブで切りリョウが10連雷撃をくらわしキャプテンハルクが両腕を切り落としたところでこのひと実力はあるんだよなと思いマリアがホーリーレーザーを逆鱗に打ち込みとどめを刺しいていた。


 魔法の援護射撃は、18体の敵意がない魔族達によるものであり、近くに行き感謝の言葉を伝え女神様の頼みで助けに来たことも、伝えると喜んでお願いしますと頼まれる。


 青いつばさの、メンバーのレベルは64に上がり、シスターリリーだけはレベル66に上がっていた。


「貴方は、人間を食べたことがあるのですか」


「いいえ、此処にいるもの達は。一度たりともありません」


 シスターリリーの、質問にとても綺麗でスタイルの良い女魔族のマローラが、答えてくれてこの18体の敵意がない魔族を助けることで、のちに魔族達との和平の懸け橋になってくれると思えた。


「アンギャー」


 遠くの空で、大きな絶叫と共に首を食いちぎられた、邪竜バルモスが断末摩の声を上げきりもみじょうに、地上に落ちていく。


〖魔のもの達よ、邪竜達は聖竜ドラカニが全て倒した。戦意を失ったものは魔界に。逃げ帰るがよい〗


 聖竜ドラカニの、一声にて魔の者たちと生き残りの魔族達は、こぞって魔界の門を通り逃げ帰っていくが、一部の者は徹底抗戦の気で向かってくるが、フローリ様を中心にSランク冒険者に打ち取られる。


 こちらの損害も、小さくは無く聖竜の2頭が倒され近衛魔法兵が4名に近衛兵2名に仙人の四天王の2名とAランク冒険者級の仙人5名が尊い命を落とした。


 青いつばさのメンバーと、18体の敵意がない魔族が、キャプテンハルクのアルカ号に無事に乗船すると、例の人間のこない所で静かなダンジョンのある島に向かうと言うと、聖竜ドラカニが護衛も兼ねてついて来てくれる。


 7日の航海のあと、島に上陸すると聖竜ドラカニが、敵意がない魔族では言いにくいので善魔族と呼ぶと言い、わしもこのSランクダンジョンの最下層に、別部屋を作って住むからと宣言した。


 さらに、善魔族が助けを求めたい時用にリーダーのマローラに、念話スキルを授けて島のどこからでも話が出来る様にして、食糧などの保存用にアイテムボックス(中)のスキルも授ける。


「過分なる配慮、痛み入りますが本当によろしいのでしょうか」


〖気にするな、わしはお前達が気に入ったのだ。魔族でありながら人間を食わず。謙虚な立ち振る舞いには。魔族との共存の可能性も見て取れる〗


「私達も、魔族と人間が共存できないかと。色々と考えてみます」


〖それから、アーム達への女神様の褒美の事なのだが〗


「待ってください、そのことについて皆で相談したのですが。褒美をもらい過ぎているので。Sランク冒険者になった時に。貰いたいと思います」


〖あいわかった、だがこれはアドバイスなのだが。フランのアイテムボックス(小)は。レベルが上がったので念じれば。アイテムボックス(中)になるぞよ〗


 やってみますと、フランが念じると無事に、アイテムボックス(中)が使えるようになりお礼を言った。


 それでは、青いつばさは女神の試練も終えて、キャプテンハルクの案内でダンジョンを巡り、Sランク冒険者になるためにレベル上げの旅にでますので、聖竜ドラカニもお元気でとお別れの挨拶をする。


 

 このあと、青いつばさの自由な旅は続くのですが、それは別のお話として女神の試練もこなしたとの事で、一旦この物語の終了としますので皆さまもお元気で、愚作をお読みいただきありがとうございました。

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愛犬とスローライフを楽しもうとしたら女神様に聖女を育てる様に言われました。 竹本りょう @akikaxx777

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