第33話 赤黒い彗星
剣と盾、斧槍と盾。両者攻防に隙の少ない武装に対し、俺は
こんな時、父やアーサー騎士長様ならどんな行動をするのだろうか。
真面目で合理的な父なら、1度外へ出て助けを呼ぶだろう。
豪快で戦闘好きなアーサー騎士長様なら、不利な状況をものともせず立ち向かっていくだろう。
俺は見よう見まねで吸収したアーサー騎士長様の剣の構え方をする。腰を落としてエクスカリバーを担ぐようにして相手を観る。
「なんでござるか? 我がロリ騎士長のような構えは。バカにしているのでござるか?」
マーリンはアーサー騎士長様が描かれた盾をペロッと舐める。
「それがしのロリ騎士長を穢すなぁぁ!!」
咆哮をあげ剣を振ってくるマーリン。穢しているのはお前だろう。
ギイィン!――
剣と剣がぶつかり、火花と炎が散り合う。マーリンの太刀筋は見事なもので、腐ってもサンクロス王国騎士なのだとよく分かる。
「邪魔なマーリンを消すため、拙者も加勢いたしますぞ」
マーリンの背後からハルバードの重い一撃が下ろされる。マーリンはそんな背後からの攻撃を読んでいたのか、盾を上手く使い黒いローブの一撃を逸らした。
2対1のこの状況は、元々不利だった俺には好都合な展開。このまま押し切って先にマーリンを始末する。
正面戦闘は黒いローブの男に任せ、俺はとにかく駆けた。駆けて斬って駆けて斬って。そうやってマーリンの神経を削ぎ、速く確実に仕留める。
防戦一方だったマーリンも、さすがに波状攻撃には対応しきれなかった。彼の鎧には傷が増え、鎧の隙間から流れる血の量も多くなってきている。
このまま押し切れる。おそらく黒いローブの男も思っていただろう。しかしここで思いもよらない事が起きる。
「
マーリンが叫んだ。
ボガァァァァンッッ!!――
突如何者かによって部屋の壁が破壊され、壁の破片と共にその何者かは現れた。
白いローブに赤黒いハルバード。そいつはソラと戦った時に苦戦した信者だった。マーリンの言葉通りならば、俺の知る
「マ、マキュリー殿……!」
黒いローブの男は武器を落とし、白いローブを着たマキュリー聖騎士を見つめる。マキュリー聖騎士はそんな彼をゴミでも見るかのような顔で一瞥し、ハルバードを構えて俺の方へ向かってきた。
あまり大きくないこの部屋で、とても長いハルバードを振り回すマキュリー聖騎士からは、波ならぬ殺意が伝わってくる。
(なぜマキュリー聖騎士がこんな宗教に……。なんで地上で戦った時も俺ばかりを狙ってたんだ)
考えれば考えるほど彼女の行動理由が分からず、俺は重いハルバードの猛攻を受けるだけで必死だった。
「あぁ、普段はオドオドしているマキュリー殿が、あんなに積極的になるとは…。拙者にも積極的になってほしいですぞ! ドュフフフフ」
マキュリーの後ろから黒いローブの男が抱きつこうとした。すると彼女は体を捻って男へ裏拳。バギィ、という骨の砕ける音がこちらまで聞こえ、壁にめり込む勢いで男はぶっ飛ばされた。
「デュフですコポォ。お前はそこで寝ていろランスロット。それがしは
マキュリー聖騎士の猛攻に加え、隙を潰してくるようなマーリンの牽制が追加された。こんな無理ゲーどうすれば良いんだ。
発破を使えばマーリンをダウンさせる事はできるだろう。しかし酸素が薄くなり煙幕も張られる。そうなると体力も戦闘センスも上のマキュリー聖騎士に殺られるリスクが跳ね上がる。
エクスカリバーの炎も弱まりはじめ、攻撃力が落ちてきてしまった。こんなピンチを乗り切るため、アーサー騎士長様ならどうするだろうか。
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ロリ騎士長の英雄譚 @Nola_neko
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