第2話沢村和希
セイヴァーズ本部は今起きている事に驚愕した。SAC・NO30の起動及び着装によるパワードスーツ起動は、彼らの悲願でもあり長く険しい道のりだったからだ。ある者は拳を握りしめ、またある者は座っていた椅子から勢いよく立ち上がった。総司令官の新庄及び本部長の草野も喜びを隠せずにいた。しかしそんな中、ただ世界最高峰のAiアースだけは戦況を静かに見守っていた。
「見せてもらおうか適合者君。君の力を」
〈なんで…着装できてるの?〉
《もしかしたら彼だったのかもね。アースが言ってた適合者は》
叶は自分の目の前で起きていることに脳が追いついていなかった。突然現れた男子生徒が起動させた
ソレは人類の希望そのものだったからだ。
〈なるほどこういう視界になるのか〉
言うと男子生徒は一気に一体のアンノウンに詰め寄り、一撃拳を叩き込んだ。アンノウンのボディに入ったその威力は絶大で身体を吹き飛ばすほどだった。
【グゥ…】
すぐにアンノウンは立ち上がる。それを見て男子生徒はアンノウンに手のひらを仰ぎ挑発をしかける。
アンノウンは怒り突撃してくる。それをいなしアンノウンの腕を持ち背負い投げをする。
叶は優勢な男子生徒の戦闘に見入っていたがすぐにもう片方のアンノウンに向き直る。
《早いとこ終わらせましょう》
NO・19の言葉に首肯し銃を構える。手負いのアンノウンは機動力を失っており突撃こそしてこない。
叶は引き金を引いた。するとアンノウンは後ろを向き甲羅でその弾丸を防ごうとする。
〈無駄よ〉
弾丸は甲羅を貫通しアンノウンの身体を貫いた。声もあげずアンノウンはそのまま地面に倒れ息絶えた。
〈向こうの加勢に…ってもう終わってるじゃない〉
謎の男子生徒はアンノウンすでに倒していた。
遅れて援軍の第8支部の部隊が到着する。怪我人の有無や二体のアンノウンの死体持ち帰り、被害の規模などの業務を行った。叶は換装を解き男子生徒に詰めよった。
「聞きたいことは山程あるけどまずは本部に来て」
男子生徒も換装を解く。その瞳は真っ直ぐに叶を見る。強い目だ。叶がそう思っていた時だった。
『ふぁ~あ…てドコだここ!?』
男子生徒のブレスレット型の機械が声を荒げる。
「うるさいやつだな」
『うるさいって何だこの野郎!この俺様を誰だと思っていやがる!SACの王様だぞ!』
その言葉を聞きNO・19は反応する。
『裸の王様かもしれないわね』
『何を〜?お前10番代のくせに偉そうに』
いがみ合う両Aiに叶は肩を落す。それと同時に、
NO・19がこのような態度を取ることが意外でもあった。
「とりあえず!本部に向かいましょう」
その場を仕切り皆をまとめる。そこで叶は肝心なことを聞くことを忘れていた。
「ところで貴方の名前は?」
「俺は沢村和希」
やっと知ることができた名前。しかし口数が少ない為それ以外の情報は得られなかった。
第8支部が用意した車に乗り込む。目的地へと向かう道中Ai同士の口喧嘩で車内は賑やかだった。
セイヴァーズ 秋月睡蓮 @akizukisuiren
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。セイヴァーズの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます